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病気のプロフィル No.2

器質化肺炎について

 器質化肺炎 organizing pneumonia という病気の概念は比較的新しいもので、医学の教科書や辞書のすべてに記載されているわけではない。例えばわが国の最新医学大辞典(医歯薬出版、1987年)には器質化肺炎 organized pneumonia として出ているが、世界的なStedmanの医学辞典(1992年版)には登録されていない。つまり、この病気はまだ完全に病気としての市民権は得ていない。
 いまのところ、この病気はclinical disease entity というよりは anatomic disease entityとみなしたほうが良さそうである。
 今から約7年前の1985年にEplerらによってbronchiolitis obliterans organizing pneumonia (BOOP)という病気の概念が提唱された。それから俄かにこの病気は注目されるようになったが、organizing pneumonia の用語を用いたのはEplerらが最初ではない。その前にGrinblatら(1981)やDavisonら(1983)も用いている。しかしEplerらの仕事が際だって評価されるのは、開胸肺生検をした500例の患者から慎重に67例のBOOPを選んで、本格的に検討を加えているからであろう。
  EplerらはBOOPの組織学的な特徴として次の四点をあげている。

  1. (1)肺は正常な解剖学的構築を保っているが、終末細気管支腔から呼吸細気管支腔にかけて未熟な肉芽が形成されている(閉塞性細気管支炎の像)。
  2. (2)以上のような器質化にともなって肺胞管から肺胞嚢にかけて散在性に滲出物が見られる(器質化肺炎の像)。
  3. (3)肺胞壁と細気管支の壁は肥厚している。これは壁が浮腫状になり、リンパ球や形質細胞が浸潤していることによる(胞隔炎)。
  4. (4)肉芽組織は線維化していない。

 しかし以上の組織学的所見がBOOPだけに特異的であるかどうか私にはわからない。事実、BOOPと類縁疾患、例えば特発性のびまん性間質性肺臓炎や汎発性細気管支炎の病態と病因の異同について今なお議論が百出している。これは私見だが、BOOPの最大の特徴は「抗生物質に反応しない肺の非結核性の炎症」ということだろうと思っている。

診断の過程

 開胸肺生検も経気管支肺生検もできない診療機関では、次に述べるような病気を考えて鑑別診断を進めていかねばならない。抗生物質に反応しない肺の陰影を見たときに、内外の胸部専門医がこぞって警戒する病気は三つある。第一は肺結核、第二は原発性または転移性肺腫瘍、第三はクリプトコックス症である。これらを除外できればだいぶん気が楽になるが、さらにまぎらわしい病気が沢山ある。重みをつけずに任意にあげていくと、次のものがある。

 開胸肺生検ができなかったわれわれは、次のような場合にBOOPを疑った。

  1. (1)数種類の抗生物質と抗結核剤を使っても呼吸器症状がはかばかしく改善せず、肺の陰影もさほど変化せず、血沈、CRPなどのデータが好転しない。
  2. (2)マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、その他の病原微生物に対する抗体は陰性である。
  3. (3)PIE症候群を示唆する所見がない。

 肺のX線フィルムでmultiple nodular reticulationやmultiple spotted shadowといった細気管支炎、胞隔炎、間質炎を示唆する所見がみられたとしても絶対的ではない。逆に抗生物質や抗結核剤に容易に反応しない少数の斑状陰影や随伴胸膜炎のバックに器質化肺炎の疑いをかけてみる必要がある。

治療

 器質化肺炎を疑ったら、ステロイドを使ってみる。その際最も恐いのは結核である。われわれはステロイドを長期間使用して粟粒結核と結核性髄膜炎を起こしたSLEを2例経験している。このどちらも原発の結核巣がどこに存在するか全く分からなかった例である。ましてや肺に何らかの陰影がある場合には、結核には細心になったがよい。
 同様に、最後まで問題になるのは肺と胸膜の腫瘍である。後に悔いが残らないように、これらは絶えず疑っていなければならない。
 BOOPに使用するステロイドの量は30-60㎎/dayと記載されているが、これは体格がひとまわり大きい外国人への使用量で、体重が60-70㎏の日本人の初期使用量は30-40㎎/dayで、これを1-2ヶ月続けて、ゆっくりと減量していくのが良い。
 medicationなしで自然に治癒した例もあるという。
 Eplerらによると、ステロイドを使用した37例のうち治癒したものは約65%、進行する一方のものは8%、呼吸不全で死亡したものは5%だったという。この数字は参考になろう。

(1993.2.5.柳瀬敏幸)

参考にした文献

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