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病気のプロフィル No.4

MCTDは内科学書から消えるのか

 このところ続けて二つの病院の医師からMCTDについて質問を受けたから、それへの答えの要旨をまとめておく。質問は次の二つである。

  1. (a)MCTDと重複症候群はどこがどう違うのですか。
  2. (b)MCTDの診断基準は。

 ミズリー大学のシャープ研究室に留学していた兼岡秀俊君(現聖マリアンナ大学内科・助教授)によれば、混合結合織病 Mixed Connective Tissue Disease(MCTD)の病名はアメリカの内科学書から消えるかもしれないという。その最大の理由は予後良好と言われているMCTDのなかに劇症例が増え、特有な免疫学的所見が経過とともに変化する例が少なからずあるからだという。
 しかし私が診たMCTDの例のなかにはこのような例はなく、三宅病院から紹介されて診た女性(当時20歳)は9年経った現在、仙台市に居住していて会社に勤めている。毎年手紙で状況を知らせてくるが、ほとんど別状ない。だから、他のMCTDの例と合わせて、私はMCTDという病気の単位は存在すると信じている。

1.病気と風土の関係

 ベーチェット病は北のほうに行くほど多く、ATLは南の海岸に多いのはよく知られた事実である。私はアメリカの東北部にしか住んだ事はないが、年間を通じてほとんど雨が降らない。陽光の豊かなアメリカの大部分では直射日光に曝露する機会は多く、MCTDの病状が変化する機会はわが国よりはるかに多いと推測している。

2.MCTDの病像と診断基準

 MCTDは1972年にSharpによって提唱された病気の概念である。
 Sharpの意図を尊重すれば、MCTDはいわゆる重複症候群 Overlap syndromeのなかの亜単位 subunitで、診断は次のようになる。

  1. (a)SLE、PSS、およびPMの不全型(formes frustes)に相当する症状が同時に発現しているが、これらのどれもがdefiniteではない。具体的にいうと、顔面潮紅、レーノー症状、ソーセージ様手指変形を伴わない関節炎、筋炎症状肺の拡散能の低下などである。
  2. (b)抗ENA抗体の一つである抗RNP抗体だけが異常に高い値をとり、SLEに特異的な抗Sm抗体や抗DNA二重鎖抗体は陰性か、ほとんど陰性である。
  3. (c)腎障害は皆無か、少ない。
  4. (d)肺の病変は存在することが多いが、ゆっくりと進行する。
  5. (e)治療のためのステロイドは比較的少量で有効である。
  6. (f)予後は良好である。

 以上の診断基準のうち、私が多少例外的に取り扱っているのは自己抗体で、抗Sm抗体と抗DNA二重鎖抗体は少々陽性でも、抗RNP抗体が際だって高ければ、MCTDの診断基準を充すとしている。
 また、重複する自己免疫病のうちシェーグレン症候群、はっきりしたRA、PNなどが存在すればMCTDと診断しない。あくまでSharpが提唱したように、SLE、PSS、PMのうち二つまたは三つを念頭においてMCTDを診断している。
 一般に重複症候群はそれぞれの自己免疫病の免疫異常の相乗作用によって重症である。しかしMCTDの場合には、何らかの相殺作用によって軽症になると私は解釈している。自己免疫病にもう一つ「転位現象」という奇妙な現象があるが、このところ見ていない。経験したら、紹介する。

(柳瀬敏幸。1993.11.8)

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