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広島逓信病院だより No.96 22.04

目の成人病、緑内障

眼科部長 豊田 英治

4月になり通勤途中では新入生らしき児童・生徒さんたちを見かける時期になりました。新しい学校生活に期待している様子が伝わってきて、私たちもまた頑張ろうという気にさせてくれます。さて、児童・生徒さんたちの健康管理のために学校検診がこの時期に行われますが、社会人になると、検診もなかなか受けることができない方も多いのではないでしょうか。

眼科に関わる検診として、まず視力検査が思い浮かびます。視機能(物を見るための目の働き)の第一に重要なのは視力ですが、これに異常が生じると自覚症状そのものですので、皆さんすぐに気付かれます。しかし視機能のもう一つの重要な柱である視野については、自覚症状のないまま障害が起こってきている場合があります。今回は、視野に異常の起こる疾患のひとつで、中高年に多い緑内障について触れたいと思います。

最近の調査で日本人の緑内障の有病率は約4%であるといわれるようになりました。緑内障とは眼球の内圧(眼圧)が高くなることにより眼球内部の神経の働きが障害され、そのため視野が狭まってきたり、視力が低下したりする疾患です。緑内障と聞くと急な発作で発症するものを思われるかもしれませんが、実はこのようなタイプの緑内障よりも、慢性的に眼圧が上がり徐々に進行していくタイプの緑内障の方が多いのです。眼圧は正常では 10~21mmHg とされていますが、これを超えた高眼圧の状態が続いていると、視神経乳頭が圧迫され続けるために萎縮してきて、その結果、視野・視力に障害が出てきます。視神経はいったん傷害されると機能の回復はなかなか困難ですので、発見された場合には、眼圧を下げて神経障害の進行を押し留めることを目標とした治療が必要となります。

慢性的な緑内障は早期に発見することが重要ですが、自覚症状がないまま進行することが多いものですから、検診での発見が期待されます。検診で、眼圧測定により高眼圧ではないか、また、眼底写真により視神経乳頭の異常がないかのチェックが必要となるわけです。そして、眼圧又は視神経乳頭の異常が疑われれば、眼科での視野検査が必要となってきます。

ただ、先の調査で、日本人においては、眼圧値は正常範囲内にありながら、高眼圧の緑内障と同じ形で、視神経乳頭、視野の異常が進行してくる正常眼圧緑内障と呼ばれるタイプの緑内障が多いことが分かり、この点にも注意が必要です。
目は左右の二つあり、そのため片眼の障害が起こっても、反対の眼が補ってしまい、障害に気付くのに遅れてしまうことがあります。皆さんも時々、左右の目の片方ずつで物を見て視機能のセルフチェックをするようにしてみてください。

C型慢性肝炎のインターフェロン療法に対する公費助成制度が開始され2年が経ちました

内科主任医長 白神 邦浩

H20年4月C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法にかかる費用の公費助成が開始され、今春でまる2年が経過しました。今回はC型肝炎に関するお話をさせていただこうと思います。

わが国では、全人口の約 1.5~2%が C 型肝炎ウイルスに感染していると推定されており、肝炎が持続すると約20~30年程度かけて肝硬変に至り、肝硬変では年率約7%で肝癌が発症すると言われています。そのため、肝炎を進行させないような治療が必要であり、できる限り肝炎ウイルスを排除するような(即ち根治を目指すような)治療が望まれるところです。

H4年インターフェロン療法が保険適応となり、ウイルスの排除を目指す治療が可能となりました。当初は週3回のインターフェロン注射を24週間行なうものでしたが、特に日本人に多いとされる遺伝子型が1型で(日本人では約70%が1型、残りの約30%が2型です。その他の遺伝子型も存在しますが日本ではほとんどみられません。)、ウイルス量の多い患者さんへの治療成績は決して満足のいくものではありませんでした(著効率 5~10 %程度)。そのため1型高ウイルス量の方へのインターフェロン療法はこちらからも積極的に勧めるという程ではありませんでした。治療費が高額な上、効果がその程度であれば無理もないかも知れません。

しかし、H13年にリバビリンという経口の抗ウイルス薬との併用、H15年にはペグインターフェロンの使用が可能となり、状況が随分変わって来ました。ペグインターフェロンとは、インターフェロンにポリエチレングリコール(PEG)を共有結合させることにより徐放性に効果を発現させるようにした製剤で、これにより週1回投与が可能となり、治療効果も向上しました。また投与開始時に生じる発熱・関節痛などの副作用も随分軽減しました。現在では、ペグインターフェロン単独若しくはペグインターフェロン+リバビリン療法を 24~48週(経過によっては72週)治療するのが標準となっており、これにより以前は難治性といわれていた1型高ウイルス量の患者さんでも 40~50 %で著効を得られるまでになりました。2型では80~90%の著効率です。著効とは治療終了後6カ月が経過した時点でも、血中 C 型肝炎ウイルス(HCV-RNA)が陰性で肝機能検査(ALT)が正常を意味します。薬の組合せや投与期間は患者さんのウイルスの遺伝子型やウイルス量などにより決定しますので具体的には主治医によく聞いてください。 40~50 %という数値をどう感じるかは人それぞれと思いますが、ウイルスが完全に排除される確率が約半分あるのであれば一度は試みてみる価値があると思うのですが如何でしょうか。また今までは仕事の関係上週3回は来院できなかった方も、週1回なら何とかできるかも知れませんし、近所の開業医との連携を図れば夕方会社帰りや土曜日などに注射をしてもらって、月1回程度肝臓専門医に受診していただくというやり方も可能かと思います。

また、これまではインターフェロン療法のことは知っていても、治療費が高額となるため経済的負担から治療に至らないケースも多々ありました。しかしC型肝炎からの肝癌で命を落とす患者さんが多くおられるため、国も治療の必要性を認め、H20年4月よりC型慢性肝炎に対するインターフェロン療法への公費助成が開始されました。具体的には所得に応じ自己負担額の上限が定められており、現行では月1万・3万・5万円までとなっておりますが、H22年度改定があり、一部の人はさらに自己負担額が減少する可能性があります(月1万・2万円)。規定の書類に担当医より必要事項を記載してもらい、県庁に提出して審査を待たなければなりませんので、これからインターフェロン療法を受けようとする方はぜひ事前に申請を済ませておくことをお勧めします。

なお、インターフェロン療法には、 AST ・ALTなどの数値をできるだけ低く保ち肝癌の発癌を抑制するという目的で、少量を長期間投与するというような方法もありますが、こちらに関しては公費助成の対象とはなっていません。
C 型肝炎に感染していてもほとんどの方が無症状であるため、自分が感染しているかどうかは検査を受けてみないと分かりません。まずはHCV抗体をチェックするのですが、これは健診や医療機関などで採血により簡単に調べることができます。もしHCV抗体陽性であればより詳しい検査が必要になりますので一度専門の医療機関に相談してください。(広島逓信病院にも井上院長や私など複数の肝臓専門医がいますので気軽に相談していただければと思います。)当初は公費助成制度によりもっとインターフェロン療法を受ける方が増えるのではと予想されていたのですが、全国的に思ったほどインターフェロン療法導入患者さんの数が増加しておらず、当院でもやはり同様の傾向となっています。実はC型肝炎に感染しているのにまだ見つかっていない患者さんも多数いるものと思われます。まだ調べたことのない方はぜひ一度HCV抗体の検査を受けることをお勧めします。

緩和ケアについて

外科主任医長 宮出 喜生

「緩和ケア」という言葉を聞いたことがありますか?「緩和ケア」からどういう医療を想像されますか?

国立がんセンターによると、2004年のデータによれば生涯でがんに罹る確率は男性で 53% 、女性で41%と約2人に1人は「がん」に罹ります。近年、「がん」は早期発見・早期治療、治療法の進歩により以前のような不治の病では無くなりつつあります。しかし、男性では、26%(4人に1人 ) 、女性で16%(6人に1人) が「がん」で亡くなっており、再発・転移した「がん」に対する治療は十分とは言えません。「がん」が治った人もその道のりの中で、いろんな「辛い事」を経験されると思います。

「緩和ケア」は以前はがんの治療法がなくなった人に行なう治療でしたが、今は違います。

世界保健機構(WHO)の定義でも、1990年には「緩和医療とは治癒を目的にした治療に反応しなくなった患者に対する痛みや他の症状コントロールのケアが第一の課題となる」とあります。その後、2002年に「緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者と家族に対して、疾患の早期から痛みやその他の問題に関して的確な評価を行い、障害を予防したり対処する事で生活の質(QOL)を改善するアプローチ」と改定されました。「緩和ケア」の対象も痛みはもちろんのことですが、それだけではありません。「がん」になると眠れなくなったり、強い不安を抱いたり、うつに近い状態からうつになる人もおられます。このような「心の辛さ」も「緩和ケア」の対象です。他にも、治療費などのお金の問題、家庭内の問題、人間関係なども対象になります。

夜も眠れない程痛みが強い時、気分が落ち込んでいる時にこれ以上辛くなるかもしれない治療を受ける気にはなれないでしょうし、治療費も心配しながらだと十分な治療は受けられないでしょう。そこで、これらの問題を解決して十分な「がん」に対する治療を受けてもらうためにも、がんと診断された時点から必要に応じて「緩和ケア」を開始します。

家族のうつの発症率は患者さんの発症率とあまり変わりません。家族もそれだけ辛い状況になることがあるので「第2の患者」と言われています。家族が辛い状態では治療を受ける患者さんを支えていくことはできません。「緩和ケア」は患者さんの治療を十分に支えていただくためにも家族のつらさも対象にしています。

「緩和ケア」はあきらめの医療ではありません。がんに対する十分な治療を受けてもらうために、がんに対する治療が難しくなっても患者さんが自分らしく生きてもらうために行なう医療です。

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