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ホーム  健康情報  湿潤療法による熱傷(やけど)治療
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やけど(熱傷)を湿潤療法により、痛くなく、早く、きれいに治す

― 傷の治療(湿潤療法)専門外来 ―

湿潤療法(モイストケア)に基づく熱傷治療

看護師イラスト

 当科における外傷治療は、創面を消毒せず、乾燥させない湿潤療法を基本に行っています。その湿潤療法の原理については、当院ホームページ「傷の治療(湿潤療法)」をご参照下さい。本項では「湿潤療法に基づく熱傷治療(通常の高温熱源による熱傷の治療)」について紹介します。この治療法は、小範囲の熱傷から広範囲の熱傷にまで適応できるものであります。

              低温熱源による熱傷(低温熱傷)については別項に記載

 熱傷の治療とは、熱エネルギーによって皮膚を失った部位(熱傷潰瘍)を再び皮膚で覆い、熱傷潰瘍を消滅させることであります。もともと皮膚は再生能力を持っていて、その再生能力がうまく働くような環境を整えてやるだけで熱傷創は治癒するという理論、すなわちあらゆる熱傷創は皮膚移植をしなくても自然に皮膚は再生するという基本的な考えに基づいて治療を行っています。

 創傷治療における湿潤療法とは、人間が本来持っている傷に対する自己治癒能力を最大限に引き出す治療法であり、その最大の妨害因子は「乾燥」と「消毒」です。従って外傷治療の要点は、①「創面を乾燥させない」、②「創面を消毒しない」を大原則とし、さらに③「創面に異物を残さない」、④「浸出液を適度にコントロールする」ことであります。湿潤療法で熱傷を治療してみるとわかりますが、熱傷も擦過傷や挫創と同じ経過をたどり、熱傷に特別な現象が起こることもなければ、熱傷に特有な合併症がある訳でもありません。要するに、熱傷は受傷面積の広い擦過創・挫創に過ぎず、擦過創や挫創の治療の知識さえあれば誰でも治療できる「普通の外傷」といえます。

 創傷治癒の機序から熱傷治療のための治療材料にも求められる条件は次の2つです。①「創面の乾燥を防ぐ」、②「創面の浸出液(=細胞成長因子)を保持する」、この2つの条件を満たしていれば治療効果を持ちますが、さらに③「ある程度吸収力をもつ」という機能をもっていれば治療材料としては十分です。これらの条件を備えている医療材料が「創傷被覆材」でありますが、3条件を備えているものであれば、たとえ日常品であっても同等の治療効果を発揮するため、特に医療材料にこだわる必要はありません。当科では、ドレッシング材として「ハイドロコロイド」被覆材、「プラスモイスト」、「食品包装用ラップ」、「ポリエチレン製穴あきポリ袋」+「紙おむつ」あるいは「ペット用シーツ」、広範囲熱傷での「短冊カットポリ袋」+「吸収シート」などを使用しています。
 ※治療材料については、夏井睦先生のホームページ「新しい創傷治療」の“治療材料について”をご参照ください。

【湿潤療法に基づく当科における熱傷の治療方針】

  1. 初診時は創が異物で汚染されている場合を除いて、創の洗浄は不要である(痛みの原因となるため)。
  2. 受傷直後は鎮痛を第一に考えて、「白色ワセリン」塗布した「ラップ」で被覆するが、その後は浸出液の吸収力のある「プラスモイスト」で創面を被覆した方が簡単である。局所の冷却は、受傷直後の数分間だけでよく、長時間の冷却は意味がなく不要である。創痛の原因は、創面の乾燥に由来するからである。
  3. 水疱の処置:水疱形成がある場合は、創感染予防のため可能な限り水疱膜を除去する。
  4. ドレッシング:治療材料の交換は浸出液の量によって決めるが、原則的に1日1回は必ず貼り替えた方が良い。その際、創周囲の皮膚を十分に洗浄すべきである。創周囲に発生しやすい汗疹や膿痂疹の有無に注意する。消毒+軟膏ガーゼ処置は、痛みを与え、安静を強制するため関節拘縮をきたしやすく、また、傷を深くするためケロイド形成や植皮手術が必要となるなど悪影響を及ぼすため行っていない。
  5. 外科的処置:壊死組織は、湿潤療法によりある程度自然に融解、消失が期待できるので原則として外科的デブリドマン(壊死組織の除去)は行わない。
  6. 軟膏:「白色ワセリン」のみを使用し、他の軟膏(組織を破壊したり、創を乾燥させるもの)は一切使用しない。
  7. 抗生剤:発熱や創部痛などの感染による症状が出現したときのみ投与する。
  8. 安静度:苦痛を感じなければ、基本的には患部の可動制限は行わない。
  9. 上皮化完成後:ドレッシングを終了し、白色ワセリン塗布、包帯などで再生上皮を保護する(約1週間)。また、色素沈着を防止するため遮光する(通常は3ヶ月以上)。

【家庭での「やけど」の治療】

  1. 水道などで患部を冷やす。時間は数分間で良い。
  2. 絶対に消毒をしてはいけない。軟膏は一切塗布しない方が良い。
  3. 白色ワセリンを塗った「ラップ」か「プラスモイスト」で患部を覆う。ラップの場合には、過剰の浸出液を吸収する目的でその上をタオルかガーゼで覆う。
  4. 包帯を巻く。
  5. 直径2cm以上の水疱は除去する。
  6. 最低1日1回は必ず交換し、傷周囲の皮膚の汚れを落とす(アセモ予防)。
  7. 石鹸では洗わない。
  8. 顔のやけどには「白色ワセリン」の頻回塗布、「ハイドロコロイド」絆創膏も有効。

【病院を受診した方が良い「やけど」】

  1. 発熱を伴う。
  2. 面積が広い。
  3. 手掌より大きな水疱ができている。
  4. 怖くて自分では処置できない、自信がない。

 熱傷治療の基本は、「創面の乾燥を防ぐ。組織障害性のある薬剤は使用しない。感染対策は細菌の除去ではなく、感染源の除去。」と極めてシンプルであり、必要な治療材料は数種類のみで治療薬は不要です。だから、治療中にトラブルが起きても原因を特定しやすく対策も立てやすくなります。これが従来の熱傷治療に対する最大のアドバンテージと考えます。瘢痕拘縮、関節拘縮を予防する最善の治療は、患部の日常的使用です。つまり「動かしても痛くない」治療をすることが最善の拘縮予防であると考えます。
 湿潤療法を行うことにより、痛みがなくなり普通に運動できるので拘縮の合併症が少ない。また、同法は傷を早く治すため、ケロイド発生が少なく、植皮手術も不要となるなど利点が多い治療法と考えます。

2017年11月更新  外科部長 安藤善郎

 関連サイト
  ・新しい創傷治療  http://www.wound-treatment.jp/
  ・湿潤療法(モイストケア)を推進する会  http://moistcare.org/

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