シリーズ第18回目は、こころとからだの元氣プラザで統括所長をされています及川孝光先生に東京逓信病院の印象などを当院、地域連携・医療福祉相談室長の江藤 隆史副院長兼皮膚科部長がインタビューに伺った模様を紹介します。
「こころとからだの元氣プラザ」
及川 孝光 統括所長
(江藤)東京逓信病院の江藤です。当院へのご要望や連携医の先生方の活動をご紹介することで、活発な連携の輪を広げてきたいと思って企画しております。始めに先生のご経歴と診療所の特色をお教えください。
(及川)私は、慶應義塾大学医学部を卒業し、慶應義塾大学病院内科、東京都済生会中央病院内科、三菱東京UFJ銀行健康センター所長勤務等を経て、こころとからだの元氣プラザ、統括所長に着任しました。現在は、労働衛生コンサルタント、関東産業健康管理研究会顧問として、また千代田区医師会の理事としても活動しています。
当診療所は、1891年(明治24年)、遠山椿吉先生が設立した「東京顕微鏡検査所」が始まりで、「東京顕微鏡院」と改称し、2003年保健医療部門が独立し、「こころとからだの元氣プラザ」が設立されました。健康診断業務は1967年に開始し、現在は、施設健診・巡回健診・人間ドック・外来診療・産業保健・メンタルヘルス等を行っており、クリニックとしてはデパート的であると言えます。これらのことを行うには、多彩な人員を配置しなければならず大変ですが、この総合力こそが当院の特色ある医療サービスを可能にしていると、私は思っています。一人の患者さんに対して外来治療だけでは断片的な診療になりがちですが、その方の職場背景や家庭環境や精神面などを総合的に診るトータルヘルスケアが、大事であると思っています。健診を受けただけで終わってしまうのではなく、その後どのようにフォローアップをしていくのかも大切です。
(江藤)先生の統括所長としてのキャリアの中で、また産業医として何かご苦労されていることはありますか。
(及川)私が産業医をしている企業で非定型狭心症の社員が、「色々な病院を回ったが、薬だけがどんどん増えて全然良くならない。」と相談に来られたことがあります。その方は、クレーム対応係で、毎日朝から電話応対というタイトな仕事をされていたので、「心臓に悪いので、職場を変えたらどうですか?」と会社に提案したところ、症状が全くなくなったということがありました。
(江藤)それが、産業医の眼ですね。
(及川)特に内科系の疾患、例えば、高血圧、糖尿病、狭心症にしても仕事のストレスが大きく関与しています。専門医の先生方には、職場を一度見ていただけると、本人に納得がいく指導が出来ると思います。
(江藤)昨年12月から「ストレスチェック制度」が開始されましたが。
(及川)基本的には、従業員のストレスを調べるのですが、職場環境の見直し、いわゆる労働環境改善の側面もあります。個人はもちろんですが、職場の評価も興味深いと思っています。病院で言えば、外来・病棟・事務の方々という分け方で、ストレスの度合いを部署別に定量化出来ます。
(江藤)当院の印象・紹介制度についてはいかがでしょうか。
(及川)貴院は高度な医療を提供されて非常にクリーンでフェアな印象があります。何時も丁寧なお返事をいただけます。突然で困った時にお願いしても、直ちに受け入れてくださるので有難いと思っています。先日も会社で急に下血したにも関わらず平気で帰宅された方がいたので、貴院に連絡して診てもらったところ、ヘモグロビンの値が10以下だったという事例がありました。距離も近いので、当日に受診が必要な方も行き易く随分助けていただいています。
(江藤)その他に何かございますか。
(及川)時々、こちらから紹介した患者さんで珍しい症例の方がおられて、返書を拝見してこちらも大変勉強になります。できれば書面の文字説明だけでなく、画像も交えていただけると、さらに参考になりありがたいですね。
(江藤)今後の検討課題としたいと思います。
(江藤)当院に今後、望むことはありますか。
(及川)健康診断でも提携できるといいですね。健康診断も内科だけではなく、これからは身体機能、感覚器(眼科・耳鼻科等)、歯科などを診ていかないといけません。ここまでは当診療所で実施して、ここからは貴院で実施していただくという統一システムが出来るといいと思います。
(江藤)貴重なご意見ありがとうございました。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。