ここがページの先頭です。
ページ内移動メニュー
ヘッダーメニューへ移動します
共通メニューへ移動します
現在の場所へ移動します
本文へ移動します
サイドメニューへ移動します
現在の場所
ホーム  がんケア  病理診断科
ここから本文です。

病理診断科

病理科部長 田村 浩一
病理科部長 田村 浩一

「がん」の最終診断をしているのが病理科です。

一般の方々には、病理科というのは聞きなれない名称かもしれません。さまざまな検査で「がん」が疑われたとき、最終的にそれが「がん」か、「がん」ではないかの判定をしているのが病理科です。つまり「がん」の診療の中で、最も重要な役割を果たしている科の一つといえるでしょう。

1. 細胞を見て、「がん」をみつける

痰の中に含まれていたがん細胞

痰の中に含まれていたがん細胞

婦人科検診で、子宮頚部から細胞を擦り取る検査をうけた事のある女性は多いと思います。ここで採取された細胞を顕微鏡で観察し、「がん」細胞がいないか、これから「がん」に進んでいく可能性のある細胞はないかを判定するのを細胞診といいます。たんや尿の中に含まれている細胞から「がん」を見つけるのも同じで、細胞を採取するのに痛みを伴うことがなく、検診を含めて何度も繰り返すことができるのがメリットです。その他、乳腺にしこりがあった場合、針を刺して細胞を吸出し、「がん」かどうかの判定を行なうのも細胞診の一つです。つまり、「がん」の発生する領域から剥がれ落ちてくる細胞、あるいは擦り取れる細胞、さらには針で吸いだせる細胞は、すべて細胞診の対象となります。

ガラス・スライドに塗りつけられた、たくさんの細胞を一つ一つ丹念に観察して怪しい細胞を見つけ出し、その顔つきをみて判定するのは大変な仕事であり、専門的な知識が必要です。当院には、日本臨床細胞学会が厳しい試験を行って認定している細胞検査士の資格をもった技師4名が、人間ドックを含む検診や、外来および入院している方々から採取される細胞を観察し、がん細胞をさがす仕事をしています。そして少しでも怪しい細胞は、日本臨床細胞学会から認定をうけた細胞診専門医の資格をもつ2名の病理医が手分けしてチェックし、判定を行っています。

細胞診で「がん」が疑われた場合、そのまま手術になることは少なく、さらに検査を進めることになります。

2. 組織を採取して、最終判定を行なう

細胞診で「がん」が疑われた場合、一般的にはその組織の一部を取って顕微鏡で調べることになります。これを生検と言います。胃や大腸の内視鏡検査で、何か病変が見つかったときのように、細胞診を行わずに始めから生検の検査をする場合もあります。ここでは細胞の顔つきだけでなく、組織の構築の乱れや、細胞の増殖のしかたなど、さまざまな所見を総合して判定を行います。それが生検による病理診断です。

一口で「がん」と言っても、おとなしい性格のものから進行の早いものまで、また手術よりも化学療法や放射線療法の方が効果のあるものまで、さまざまな種類があります。病理診断では良悪性の判定だけでなく、それがどのような性格のものなのかまで検討し、臨床医に報告します。この最終判定に従って、その後の治療方針が決定されることになります。当院では、日本病理学会から認定をうけた病理専門医2名が、全ての科から提出される病理診断を担当しています。

一般の方々は、顕微鏡で見れば白黒がはっきりすると思われているかも知れません。しかし、「がん」の中にはいきなり「がん」として発生してくるものと、大腸のポリープのように始めは良性腫瘍であっても、大きくなるに従って次第に悪性化してくるものもあります。つまりどこかで線を引けるわけではなく、灰色の病変も少なくないのです。これを判定するのは「病理医の眼」によるわけですが、経験を積んでいても迷うものや、病理医によって意見が違ってしまうものもあります。そこで見た目の判断だけでなく、補助手段として、血液検査でも使われる腫瘍マーカーと同じたんぱく質や、がん遺伝子・がん抑制遺伝子をその細胞が発現しているか、あるいは増殖能はどのくらいあるのか、などの検査も組織標本を用いて積極的に行い、より正確で詳しい診断をするのに役立てています。

さらに生検は、始めの診断に用いられるだけでなく、病気の進行や治療の効果を判定する時にも行われます。たとえば白血病では手術は行わずに、さまざまな化学療法を組み合わせた治療で白血病を押さえ込むことになります。治療の効果がどの程度あったか、一端押さえ込んだ白血病が再発していないか、などを判定する時にも生検が行われることになります。

3. 手術で取られた「がん」の進行度はどのくらいか、「がん」は取りきれたのか、リンパ節などに転移はないかを、顕微鏡で調べる

手術で切り取られた組織を詳しく調べるのも病理科の仕事です。これにより、「がん」の性格だけでなく、「がん」は取りきれているか、進行度はどのくらいか(早期がんか、進行したがんか)、リンパ節などに転移はないか、などがわかります。さらに「がん」が血管やリンパ管を食い破っている所見がないか、ミクロの世界でチェックします。たとえ採取されたリンパ節に転移がみつからなくても、どこかに小さな「がん」が残っている可能性がないかまで探るわけです。このような情報を元に、手術後の経過観察や追加の治療方針が決定されます。

生検や手術で採取した組織から作製された顕微鏡標本は、全て病院に保管されています。たとえば何年か後に、身体の他の部分に腫瘍が出来た時、それが新しくできたものなのか、転移によるものかなどを、以前の標本と見比べて判定することができるわけです。もちろん、他の病院に掛かられた場合には、当院から詳しい情報を提供することもできます。

4. 手術中に組織を採取して迅速診断を行なう

病巣が身体の奥深くにあって生検が困難であったり、さまざまな検査でも最終的な判定に至ることが出来なかった場合には、手術中に病変の一部を切り取って病理診断を行います。これが術中迅速診断です。組織を凍結して標本を作製するので、形態が充分に保たれないことも多いため、必要最小限での実施になります。ここで良性の判定ならば手術を終わり、悪性の判定ならば根治手術を行なう、という選択をするわけです。

術中迅速診断は、良悪性の判定だけでなく、たとえば切除断端に「がん」がないかを調べる場合にも行われます。もしも断端にまで「がん」が到達している場合には、より広く切り取る必要がでてくることになります。

通常は、組織を切り取ってから10分程度で判定を下すため、病理医が常勤する病院でなければできない検査です。

5. 病理解剖で医療の質を検証する

さまざまな治療を施したにも関わらず、不幸にして亡くなられた症例について調べるのが病理解剖です。診断は正しかったのか、どのくらい病気は進行していたのか、治療は適切であったのか、なぜ亡くなられたのか、などを病理専門医がご遺体を解剖して詳細に検討します。

人間は一つの臓器で生きているわけではありません。たとえば肝臓癌で肝臓の機能が悪くなったために腎臓や肺が侵されていくこともあります。「がん」やその転移ではなく、別の余病により命を落としたり、足をひっぱられていることも少なくありません。病理解剖では、原則として全身の臓器をくまなく検索することによって、生前の病態の全てを明らかにしていきます。

病理解剖の結果から、受け持ち医を始めとした医師や看護師は多くのことを学びます。当院では毎月1回、臨床病理カンファレンス(CPC)を開催しています。このカンファレンスでは、始めに受け持ち医から経過の報告がありますが、担当した科だけでなく、他の科の医師と病理医が出席して、診断や治療、病態の把握について、厳しい質問をし、徹底的に討議します。その後、病理解剖の結果が提示され、皆で討議した内容を再検討するわけです。臨床研修医にはCPCでの症例呈示が義務付けられています。このようなカンファレンスにより、自分の行ってきた医療について第3者から評価が下されることになります。さらに出席する医師は、討議の中で自分が受け持たなかった症例から多くを学び取ることができます。すなわち病理解剖を行なうことによって、その病院の医療の質が確保されていると言っても過言ではありません。

一方、医学は病理解剖の結果を蓄積し、これを検討することによって進歩を続けています。画像診断の発達した現在でも、病理解剖で始めて明らかになることは予想以上に多いのが現状です。当院の病理解剖で得られた貴重な医学的情報は、個人情報を伏せた状態で(社)日本病理学会に報告し、毎年刊行される「日本病理剖検輯報」に掲載されています。全国の病院から集められたデータを集積して解析することが、さまざまな疾患の解明のみならず、国民の健康・福祉への貢献に繋がっています。

6. 病理医による病理診断結果の説明

通常、病理診断の結果は担当の主治医を通して伝えられます。当院では電子カルテを使用しており、病理診断のレポートや手術で切り取った臓器の写真は、レントゲン写真などと同じく、その中の画面でご覧いただくことが出来ます。

「がん」の病理診断は基本的に「正常からどのくらいかけ離れた形をしているか」という形態を元に判定しますので、血液検査のように数値で結果が出るわけではありません。一方、さまざまな病気は、それを詳しく調べて分類し、後から名前を付けたものです。それぞれの病気の「定義」も、始めに病気があって、それに合わせて人間が決めてきたわけです。したがって、定義や分類に当てはまらないものや、境界線上のものも、「あって当然」と言えましょう。「がん」の病理診断も、“だれが診ても「がん」!”から、判定に迷う難しいものまで様々です。病理医は、その詳細をレポートの中で報告していますが、担当医がすべてをご説明できるわけではありません。また、たとえレポートを読まれても、一般の方々が充分にご理解いただくのは難しい内容であることは否めません。

当院では、自分の「がん」を目で見てみたい、あるいは診断した病理医から直接話を聞きたいという方々のご希望に、なるべくお応えしたいと思っています。ただし、年間6000件余りの病理診断を行っていますので、全ての方にお会いすることは出来ません。また一般の外来と違って、ご説明には1時間近くを要します。ご希望の方は、主治医にお尋ねください。なおご説明は、自由診療で予約制となることをご了承ください。

病理学は「病の理屈」と書く通り、病気の原因・本態・転帰を知るための学問です。病理医は、この病理学の専門家ですから、病理学的な見地からの意見をお伝えすることになります。内科だけでなく、外科や放射線科の意見も聞いてみたい、というのと同じに考えていただくと判りやすいと思います。自分の病気に対して、病理医にセカンドオピニオンを求めたい、という場合にも、できる限り対応していきたいと考えています。

7. 病理診断のセカンドオピニオン

ある病院では「がん」と言われたのに、違う病院では「がん」ではないと言われた、という場合、あなたはどうしますか?一般的には、どちらかが誤診であると考えられると思いますが、実は同じ腫瘍でも判定(診断名)が異なることがあるのです。たとえば白黒がはっきりしない場合、灰色でも黒に近いか、白に近いかの判定で、お話の内容が異なってきます。病理診断でこのようなことが起きた場合、病理医から直接話を聞くのが一番です。しかし、どこの病院でも病理医が対応できるとは限りません。

当院のセカンドオピニオン外来では、病理診断に関するセカンドオピニオンを受付、病理医が直接患者やご家族の皆さまにお会いしてお話する体制を取っています。そこで、なぜ病院によって診断が異なったのか、などを病理学的な立場からご説明させていただきます。さらに、(社)日本病理学会のコンサルテーション・システムなどを使って、その臓器の「がん」を専門としている病理医の意見を求め、その結果を当院の病理医がお話することも可能です。(この場合、別途費用を申し受けます。)まだセカンドオピニオン外来を開設している病院が少ないため、一般的には別の病院の外来にかかり、その病院の病理医の診断を臨床科の主治医を通して聞く、という方法しかないと思います。それによる「病院巡り」を避けるため、ぜひお役に立ちたいと願っています。

病をかかえる方にとって最も大切なのは「診断名」ではなく、「これからどうしたら良いか?」という事ではないでしょうか。そこで病理のセカンドオピニオンを受けられる方には、できる限り、治療を担当する科の臨床医も同席し、ご相談を受けられる体制をとるのが一番良いと考えています。

こちらもご覧ください

「けんこう家族」第91号(平成21年1月1日)  がんの病理診断

ここまで本文です。
ここからサイドメニューです。 ここまでサイドメニューです。
^このページの一番上へ
【画像】印刷用のフッター画像です