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子宮温存療法

1. LEEP治療とは何ですか。

LEEPとは、Loop Electrosurgical Excision Procedureを略した手術方法のことで、ループ型の高周波電気メスとその発生装置の組み合わせ装置を用いた切除手技をさします(写真1、2)。産婦人科領域では、主に子宮頚部、すなわち子宮の入り口近くにできた病変の切除に使用されます。皆さまはLaser(レーザー)光線を使用して、子宮がんが切らずに治るとか、子宮を取らずに治るとかいう話を新聞や、その他の報道で聞いた事はあると思いますが、このLEEP手術はさらに進んだ手術方法であります。子宮頚部の病変には子宮頚管ポリープ、頚部筋腫などの良性腫瘍と、悪性腫瘍である子宮頚がんがありますが、いずれもLEEP手術によって切り取ることができます。

写真1

写真1

写真2

写真2

東京逓信病院では、私が部長として赴任いたしました平成13年4月までは、Laser治療を行っておりましたが、5月以降はすべてこのLEEP手術に切り替えて診療を行っております(表1:LEEP年度別症例数)。

表1 LEEP年度別症例数

年度
(平成)
軽度-
中等度
異形成
高度
異形成
上皮内
がん
Ia期
以上の
がん
子宮頚部
筋腫
子宮頚管
ポリープ
その他
13 0 1 4 0 5 8 1 19
14 0 2 9 1 0 8 3 23
15 1 7 4 3 2 4 1 22
16 0 13 9 2 2 1 1 28
17 0 5 5 0 1 0 2 13
18 0 8 2 0 5 1 0 16
19※ 0 2 5 0 0 0 0 7
1 38 38 6 15 22 8 128
※平成19年度4月-7月

2. 子宮頚部の良性腫瘍の治療

子宮頚管ポリープ

ポリープは子宮頸部のがんの発生する場所とおなじところにできる良性腫瘍ですが、小さいものは放置したり、切除が必要な時でも外来で麻酔をする事もなく容易に切除できることがほとんどです。しかしかなり大きくなってしまったものや、茎が太く出血が心配されるものは二泊三日程度の短期入院して頂いてLEEP手術によって切除しております。

子宮頚管筋腫

子宮筋腫は子宮の体部といわれる子宮の上部に発生することが多いのですが、ときとして子宮頸部に発生します。このなかでも筋腫のこぶ(筋腫核)が子宮の入り口から膣のほうへ突出してくるものがあり、これは筋腫分娩と呼ばれております。この場合、過多月経といって月経の出血量が極端に増えたり、不正出血が持続します。この場合ポリープのように外来で切除できることは少ないので、やはり短期入院して頂いてLEEP手術によって切除を行います。

3. 子宮頚部の悪性腫瘍(子宮頚がん)、前がん病変(子宮頚部異形成)の治療

子宮頚がんはどのように起こるのでしょうか。(子宮頚がんの発生)

子宮頸がんは、子宮の入り口の粘膜の細胞にヒトパピローマウイルスというウイルスが感染することから発生するといわれています。このウイルスは性交渉によっても感染することがわかってきています。そのため10代、20代の若い女性にも起こる危険があります。ヒトパピローマウイルスが感染しても、インフルエンザウイルスがすぐに風邪症状をおこすように明らかな症状を起こすことはなく、ただちにがんが発生することもありません。

ウイルスはまず子宮頸部の粘膜の表面(表層細胞)に感染し、子宮頸部異軽度形成上皮という初期の病変を引き起こします(図1)。この状態では、なかにはがんに進展することもありますが、体の免疫の力や、粘膜上皮の早い再生能力によって90%以上が自然に治癒してしまいます。そのためただちに手術を行なうことはなく、慎重に経過を観察していきます。しかしウイルスが粘膜の深部におよんでいくと異形成の状態が中等度、高度とすすんできます。高度異形成上皮になると40-50%が子宮頸がんに移行することが報告されていますので、現在では高度異形成以上の病変を認めたときにLEEP円錐切除手術を行なうことにしています。

図1 子宮頸部扁平上皮の組織模式図

図1 子宮頸部扁平上皮の組織模式図

初期子宮がんはどのように治療されていたのでしょうか。(初期子宮がん治療の歴史)

図2 子宮頚部円錐切除術

図2 子宮頚部円錐切除術

現在のように高齢出産、少子化の時代においては子宮を温存し、且つ出産に障害を残さない治療法が必要であります。昭和40年代以前には、子宮頸がんに対しては、その進行の如何を問わず子宮を全摘する手術が行われていました。昭和50年代に入り初期子宮頸がんに対しては、病変を完全に切除することができれば子宮を温存する治療が可能であることがわかってきたため、子宮頚部の病変を切除する方法として子宮頸部円錐切除術が取り入れられました(図2)。しかしその頃の手術は鋭利なメスで切り取る手法が用いられていたため、病気はなおっても傷が瘢痕化し子宮頚部の進展性が悪くなるなどして、出産の際にお産がスムースに進まないといった副障害も少なくありませんでした。昭和60年代になりLaser光線を使用する機器が開発され、その熱による切除が可能となり傷の瘢痕化の少なくなり、その手術の有効性が一躍進歩しました。しかしながらこのLaser治療にも欠点がありました。その一つはこのLaser機器は非常に高価なもの(一千万円以上)でした。また皆さんも子供の頃太陽光線を虫めがねで集めて黒く塗った紙を焦がしてみたことはあるとおもいますが、Laser光線もこれと同じ原理で切除をしていくため、かなりの熟練した医師が執刀しても、この円錐切除術には30-40分の時間を費やしました。これに対して高周波電流により瞬間的に高熱を発することができ、切除を可能とする強度を維持できるLEEPが開発されたことにより、切除操作、止血操作が同時に行われ、手術時間も数分以内で終われるようになりました。表にお示ししますように平成13年5月以降、83例のLEEPによる子宮頸部円錐切除術を施行しましたが、2例のみ子宮の血管を結紮して止血する必要があり、190g、140gの出血を来しましたが、その他は全て完璧に止血され、平均手術時間は6.2分でした。

初期子宮頚がんは子宮温存手術で治るのでしょうか。(初期子宮がんの治療成績)

不幸にしてがん化してしまった場合においても、初期の状態、すなわちがん細胞が粘膜のなかにのみ存在している状態は、上皮内がん(0期)と呼ばれ、転移や浸潤が全く起こっていないことが確認されていります。最近ではがん細胞が粘膜内にとどまらず、間質へ浸潤を起こしているところまで進んでいても、その浸潤の深さが3mmを越さなければ(1a1期)、転移の可能性が極めて低いことが確認され、1a1期でもLEEP円錐切除手術を施行しています。LEEP円錐切除手術を行って、摘出された標本は非常に詳細な病理診断を行い、1a1期以上の病変がないこと、切除した断端に病変がないことが確認された場合にはこの手術によって完全に病気が治癒することができたといえます。

当院で施行した83例のLEEP円錐切除手術においては、切除した病理標本で1a2期と診断された症例が2例、1b1期と診断された症例が1例ありました。1a2期のうち1例は子宮摘出手術を施行しましたが、1例(5mmの浸潤)は患者さまの強い希望で手術をしないで経過観察しておりますが、現時点では再発を認めておりません。1b1期とされた症例は0期のがんが8mm以上の拡がりを示し、定義上1b1期とされたもので、本来浸潤のないがんであったため、追加の手術を施行しませんでしたが、やはり再発はありません。病理検査で完全切除が確認された症例では、切除部位と離れた箇所に再発をきたした症例が1例ありますが、その他には再発症例は全くありません。 このように子宮頸部の病変は、LEEP手術といった、極めて短時間で、安全且つ充分な機能温存しつつ、手術を完遂することができる優れた方法があり、悪性腫瘍であっても初期に発見し処置を受けて頂ければ、完全に治っていただくことが可能であります。年に一回の検診を受けていただくことも大変重要なことではありますが、もしも検診で異常の発見された場合、また日常の生活の中で少しでもおかしいなと思われたような方は、ぜひすすんで婦人科にいらしてください。

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