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けんこう家族 第90号【6】

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認知症の老老介護 第5回

精神科部長 亀山 知道

精神科部長 亀山 知道

父が認知症になって7年経ちました。最近、認知症が進むにつれて、徘徊をするようになってきました。特に理由もないのに、外に出て行こうとするのです。そこで、内から外に出る時も鍵で開け閉めするよう玄関のドアを改造し、母だけに鍵を持たせました。

父の介護は母がひとりでやっていますが、どうしても母に介護のストレスがたまってしまいます。母を助けるために、叔母と私が、暇な土曜日に両親の家に行くことにしました。そして、父、母、叔母、私の4人で好きな麻雀を始めました。それが3年間続いています。

ある土曜日の昼食後、父が「疲れた。」と言ってソファーに横になっていた時、私の姉が父の家に来ました。姉は、「次の仕事まで少し時間が空いたので寄ってみた。」と言うのです。そこで、私は、「父が横になっているから、4人で麻雀をやろう。」と提案し、介護に集まったはずの4人で麻雀をはじめました。昔の父は憎たらしいほど麻雀が強かったのですが、認知症の進行に伴い弱くなりました。今は、父が抜けて、認知症予備軍の4人で卓を囲んだ方が楽しいのです。4人の麻雀はついつい熱が入り、そのうち4人とも父のことが頭から抜けてしまいました。麻雀を始めて20分ほど経った時、私がふとソファーの方に目を向けると、横になっているはずの父がいないのです。私は、びっくりして玄関に行ってみました。すると、父が靴を履いていました。なんとか父の腕をつかむことができ、かろうじて父が家の外に飛び出すのを防ぐことができました。ちなみに、その時、玄関の鍵はかかっていませんでした。

「認知症の老人、家を飛び出し行方不明。介護に集まった4人は麻雀をしており、老人がいなくなったことに気付かず。4人のうちのひとりは、その老人の息子で精神科医。」という記事にならなくて良かったね、と4人で大笑いしました。

はたからみると、認知症の方は何もわかっていないように見えますが、自分の欲求をはっきり持っていますし、それを実現させるためには、頭を働かせます。おそらく、父も我々4人に気付かれないよう、足を忍ばせて玄関まで行ったのだと思います。そして、欲求が実現しかけた時には、行動が素早くなります。普段では考えられないようなスピードが出ます。したがって、認知症の介護をする人は片時も目を離せないのです。

しかし、介護をする人のストレスを解消することも大切ですので、介護要員が4人集まった時には、人がたくさんいるからと油断しないで、きちんと玄関の鍵をかけてから麻雀を始めることにしようと確認しました。

ただし、真夏は玄関の鍵をかけるだけでなく、適度な空調と水分補給が必要です。「介護の4人が麻雀に熱中し、放置された認知症の老人は熱中症にかかる。」という記事が出ないようにするために。

(本稿はこれで完結します。新連載にご期待ください。)

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