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けんこう家族 第90号

第90号 平成20年10月1日発行

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東京逓信病院ニュース「けんこう家族」vol.90 <がん特集(第4回)>
肺がん(外科)

第二外科主任医長(部長代理) 中原 和樹

第二外科主任医長(部長代理) 中原 和樹

肺がんは増加の一途をたどり、現在のがん部位別死亡者数で男性が1位、女性が2位となっています。罹患率では、男性が2位、女性が5位であるにもかかわらず、死亡者数では男性1位、女性2位となっており、難治性のがんと言われています。その原因の1つとして症状(初期症状は咳・痰・血痰など)が出にくく、症状が出てから発見された場合には病状が進行していることが多いことがあげられます。そのため早期発見を目指して検診が行われていますが、その検診も通常の胸部レントゲンによるものでは小さい肺がんに対する感度・発見能に問題があることから、最近では人間ドックや検診のオプションとして胸部CTを取り入れているところが増えつつあります。一般に胸部レントゲンでは約1/4の部位が盲点となってしまうと言われており、単純に考えると約25%が見落とされることになります。従って、より確実な早期発見を求めるのであれば、胸部CTを撮影したほうがよいと思います(特に喫煙者、55歳以上の方)。

組織型と病期

肺がんの組織型は大きく小細胞肺がんと非小細胞肺がんに分類され、非小細胞肺がんには代表的な3つの組織型(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)があります。その中で最も多い組織型は腺がんで、悪性度は低いものから高いものまで様々です。その腺がんのなかで肺胞上皮がんという種類は非常におとなしい性質のがんで、2CM以下のものであればほぼ100%に転移を認めません。そのような2CM以下の肺胞上皮がんは、ほとんどがCTでしか発見されません。小細胞肺がんは非常に悪性度の高いがんで、早くから転移を起こしてくるため多くが進行がんの状態で発見されます。小細胞がんは非小細胞がんとは治療法が異なってきます。

肺がんはその病態の進行度によってIA期、IB期、IIA期、IIB期、IIIA期、IIIB期、IV期の7段階に分けられており、それを病期といいます(表1,2)。その病期と全身状態に基づいて標準的な治療法が決定されます。

表1:病期分類
IA期 T1N0M0
IB期 T2N0M0
IIA期 T1N1M0
IIB期 T2N1M0
表2:TNM分類(略)
T1 腫瘍径が3CM以下
T2 腫瘍径が3CMを超える
T3 大きさと無関係に腫瘍が胸壁、横隔膜、心膜などに浸潤する
T4 大きさと無関係に腫瘍が大血管、椎体、食道などに浸潤する
N0 リンパ節転移なし
N1 患側の肺門リンパ節だけに転移あり
N2 患側の縦隔リンパ節に転移あり
N3 対側のリンパ節転移を認める
M0 遠隔臓器に転移なし
M1 遠隔臓器に転移あり

肺がんの治療法

肺がんの代表的な治療方法は手術、抗がん剤、放射線療法であり、標準的な治療法は非小細胞肺がんと小細胞肺がんで異なり、それぞれ病期によって決められています。

非小細胞肺がんの場合IA期~IIIA期の標準治療は手術となっており、IIIB期、IV期の標準治療は抗がん剤治療、放射線治療となっています。しかし、IIIB期やIV期でも一部の症例に対しては手術を行なうことがあり、逆にIIIA期でも手術を行わないことがあります。また、術後の治療として、腫瘍径2CM以上のIA期や、IB期以上の非小細胞肺がんに対しては術後に抗がん剤による治療を追加することが勧められています。小細胞肺がんの場合は、手術を行なうのはI期に限られておりII期以上の症例の標準治療は抗がん剤および放射線療法となっています。I期の場合も手術単独で治療を行なうことはなく、術後に抗がん剤の治療を追加します。

肺がんの外科療法

肺がんに対する標準的な手術方法は肺葉切除+リンパ節郭清です。肺葉とは肺を構成している部屋で、右肺は3つ(上葉、中葉、下葉)、左肺は2つ(上葉、下葉)の肺葉に分かれています。つまり、肺葉切除とはがんができている部屋を摘出することです。しかし、がんが進行してくると片側の肺を全部摘出したり、浸潤している周囲の組織を切除したり、といった切除範囲の拡大が必要となってきます。逆に2CM以下の肺胞上皮がんにおいては最近では肺部分切除や区域切除といった切除範囲の縮小が可能といわれるようになりました。縮小手術の場合は、ほとんどが胸腔鏡手術で行えることもあり、身体に対してのダメージが非常に少なくてすみます。

肺がんに対する胸腔鏡手術

以前は、肺がんに対する手術は開胸手術といって25CM位切開して行っていましたが、内視鏡手術が発達してきたことにより肺がんに対しても胸腔鏡手術が可能となってきました。胸腔鏡手術はキズが小さいため身体に優しい手術方法ですが、高度な技術を要することもありすべての施設で行われている方式ではありません。当院では平成13年から、主にIA期の肺がんに対して胸腔鏡手術を行っています。がんの手術で重要なことは完全に病巣を摘出することであり、いくら身体に優しくても術後再発が多くなってしまっては意味がありません。しかし、現時点までの統計では、IA期に対する胸腔鏡手術の術後成績は開胸に比べて全く遜色のない成績です。胸腔鏡手術には5~10CM弱の小開胸をおいて行なう方法と、完全に胸腔鏡で行なう方法(完全鏡視下手術)があります。当院では当初、小開胸をおく方法で行っていましたが、最近では、さらに身体に優しい方法である完全鏡視下手術(図1、2)を行っています。その方法では一番大きいキズでも肺を取り出す最小限の大きさ(平均4CM位)で行なうことができ(キズは他に1CMのものが2~3ヶ所)、術後の回復がより早く、疼痛も少なくなっています。

図1:胸腔鏡下肺葉切除の手術中図2:胸腔鏡下肺葉切除のキズ
図1:胸腔鏡下肺葉切除の手術中 図2:胸腔鏡下肺葉切除のキズ

肺がんの術後成績

2007年に肺がん合同登録委員会より発表された1999年に手術が行われた全国13344例(当院の症例も含まれています)の病期別による術後5年生存率は、IA期:83.3%、IB期:66.4%、IIA期:60.1%、IIB期:47.2%、IIIA期:32.8%、IIIB期:30.4%、IV期:23.2%でした。つまり、早期に発見されて手術を行えば8割以上の方が治癒していることになります。このことからも、できれば肺がんドックなどで胸部CTを撮影なさることをお勧めします。

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