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けんこう家族 第92号【2】

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脳のがん

脳神経外科 医師  望月 俊宏

脳のがんは、一般的には「脳腫瘍」と言われ、頭蓋骨に囲まれた空間にできるすべての腫瘍を指します。したがって脳腫瘍は脳からできたものだけを指すのではなく、脳を包む膜、脳から出ている神経、脳下垂体からできるものも含まれます。また全身の臓器のがんが脳に転移した転移性脳腫瘍(がん脳転移)も含みます。脳実質からできる代表的な腫瘍が神経膠腫(グリオーマ)です。その他にも脳を包む膜からできる腫瘍を髄膜腫、脳から出る神経からできる腫瘍を神経鞘腫など、20種類以上に分類されています。

脳腫瘍の頻度は少なく、年間で1万人に1人程度の発生頻度と考えられています。日本の人口を1億3千万人とすると、年に1万3千人程度が脳腫瘍になる計算です。したがって脳腫瘍で亡くなられる方の数はそう多くはありません。日本では2006年に32万9314人が悪性腫瘍(がん)で亡くなられていますが、そのうち脳腫瘍で亡くなられた方は1687人にすぎません。(CANCER STATISTICS IN JAPAN 2008)

脳腫瘍の原因についてはいろいろ調べられていますが、はっきりとした原因についてはわかっていません。携帯電話を使うと増えるという論文もありますが、関係ないという論文もあります。電磁波が関係しているという論文もあります。たばこで増えるという統計もあります。また転移性脳腫瘍(がん脳転移)では、たばこが原因のがんが多いので喫煙者で多くなります。いずれにせよ、これさえなくせば脳腫瘍は起こらない、またこれをやっていると必ず脳腫瘍が起こるという原因のようなものは無いと考えられています。

脳腫瘍と遺伝の関係ですが、ごく一部の脳腫瘍が遺伝的に起こる場合があることがわかっています。たとえば音を聞く聴神経の両側に腫瘍ができる神経線維腫2型(NF2)、腎臓や脳に腫瘍ができやすいフォンヒッペルリンドウ病(VON HIPPEL LINDaU病)などがあります。このように遺伝が関係して起こる可能性のある脳腫瘍は脳腫瘍全体のごく一部で、大部分の脳腫瘍は遺伝とは関係ないものです。

脳腫瘍の代表的な症状は頭痛ですが、すべての脳腫瘍が頭痛を起こすわけではありませんし、逆に頭痛があったからといってすぐに脳腫瘍を心配する必要はありません。頭痛は成人の3人に1人に起こるとも言われている非常に頻度の高い病気です。脳腫瘍では頭蓋内圧が高くなってくると頭痛を起こします。なぜそのようなことが起こるかと言うと、脳は頭蓋骨に囲まれたスペースにあるため脳出血や脳腫瘍など余計なものがあると、頭蓋骨内の圧力が上がり、その結果脳にかかる圧が高くなるからです。脳腫瘍の頭痛は、朝起きがけ、早朝に強いのが特徴で、しばしば嘔気を伴います。一方ストレスなどによって起こる緊張性頭痛は、仕事の疲れがたまる夕方に起こるのが特徴です。その他の症状としては、脳腫瘍ができた場所で脳が圧迫されて、その部分の脳の働きが障害されて起こります。したがって症状は、手足の麻痺、視力障害、聴力障害、言語障害などさまざまで脳腫瘍が発生した部位で異なります。

ラジオサージェリー
ラジオサージェリー

脳腫瘍は良性と悪性に大きく分けることができます。良性腫瘍の多くは手術を行えば治癒の状態になる可能性が高いものです。しかし脳腫瘍ができた部位によっては全部取りきることにより、かえって障害を残す場合があります。この場合には手術で全摘出しない場合がありますが、良性腫瘍は再発までの時間が長いものがほとんどですので、再発までには数年かかります。髄膜腫、神経鞘腫、脳下垂体腺腫がこれに相当します。また良性腫瘍ではガンマナイフやサイバーナイフなどの定位放射線治療により、放射線を狭い範囲の病巣に集中して照射することにより腫瘍が縮小して治癒の状態になる可能性もあります。

一方悪性腫瘍の多くは脳実質からできているため、全摘出ですることで脳の機能を大きく障害することが多く、全摘出は困難です。しかも全摘出しても再発することが多く、脳の機能を障害してまで全摘出することは勧められません。このような場合は、残った脳腫瘍に対して放射線や化学療法が必要になります。また放射線や化学療法の効果の高い腫瘍もあります。胚芽腫、髄芽腫がこれに相当します。神経膠腫(グリオーマ)は最も多い悪性の脳腫瘍ですが、最近手術後の放射線治療の間にテモゾロマイドという内服薬の抗がん剤の併用を行なうようになりました。この薬は副作用も少なく、神経膠腫(グリオーマ)の中で最も悪性な神経膠芽腫(グリオブラストーマ)の生存期間を延長するという報告がなされています。

脳腫瘍の種類、病態は多彩ですので、当院では患者さま一人ひとりに適切に検査、治療を組み合わせ、その内容を詳しく説明し、治療を行おうと心掛けております。脳腫瘍の治療といっても様々で、日々進歩しておりますので、ご心配、ご不安なことがあれば一度脳神経外科の外来を受診することをお勧めします。

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