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けんこう家族 第96号

第96号 平成22年4月1日発行

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東京逓信病院ニュース「けんこう家族」vol.96 <トップニュース>
花粉症対策        ※こちらの記事は2013年3月に改訂しました

耳鼻咽喉科部長 八木 昌人

耳鼻咽喉科部長 八木 昌人

花粉症ってどんな病気

花粉症はスギ、ヒノキ、カモガヤ、ヨモギの花粉といった本来無害なものを体外に排除しようとする過剰な反応(アレルギー反応)により、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目や皮膚やのどの痒みが生じる病気です。花粉症の原因となる植物は一般的には表1に示すようなものがあります。これらの花粉の飛散期間は春から冬までほぼ1年中にわたっており、花粉症は春先だけの病気ではありません。しかし、スギ花粉に対しては日本人の約30%が反応すると言われており、花粉症=スギ花粉症とイメージされるほど、スギ花粉症は国民病となってきています。また、スギ花粉症の約70%はヒノキの花粉にも反応します。この場合、花粉症の症状は5月ころまで持続します。そのため、スギ花粉の飛散が終息してもなお花粉症の症状が残っている場合には、他の花粉に対しても反応している可能性があります。

表1
表1 主な花粉症の原因植物

花粉症の診断

毎年同じ時期に発症するか、どのような症状を示すかが重要なポイントです。花粉症の場合にはくしゃみ、鼻みず(水の様な鼻みず)、鼻づまりが鼻症状の特徴となりますが、そのほか、眼のかゆみなどを伴うことも花粉症かどうかを判断する重要な点といえます。また、症状の重症度の評価法は鼻アレルギー診療ガイドライン2009の中に詳しく記載されていますが、より簡略化し、症状の日常生活に対する影響の度合いにより、大きく差し支える場合を最重症または重症、あまり差し支えない場合を軽症、そしてその中間を中等症とするのがよいでしょう(表2)。重症度によって治療方法が異なることもありますから、ご自分がどのタイプかを事前に知っておくことも重要です。そのほか、アレルギーの原因物質を調べる検査として、血清特異的IGE抗体定量検査があります。この検査は血液と花粉の成分を反応させてアレルギーの有無をみる検査です。ご自分がどの花粉に対して反応するかどうかを知っておくことは、花粉症対策にとって重要です。通常の採血検査でできますので、「花粉症かもしれない」、あるいは「スギ花粉の時期は終わったのにまだ鼻がグシュグシュしている」といったかたは検査を受けてみてはいかがでしょうか。

表2
表2 花粉症の重症度チェック

花粉への対策

花粉症を発症させないために一番重要なことは花粉を浴びないことです。そのためには、花粉の飛散状況を正確に把握して行動することが必要です。最近ではインターネットでそれぞれの地域でのスギ花粉の飛散状況をほぼリアルタイムに検索できる状況になってきていますから、こうした情報をチェックしておきましょう。また、外出時にはマスクやメガネをする。外から花粉を持ちこまないように、洗濯物は屋内に干したり、家に入る時は、よく服をはたいてからはいる、といった配慮も効果的です(表3)。その他、一旦鼻の中に侵入した花粉を体外に排出するという意味では生理食塩水による鼻洗浄(鼻うがい)も一定の効果を期待できます。この場合、注意すべきことは温度を大体33度くらいに加温すること、頻繁にはおこなわないことです。なお、水道水による洗浄は、鼻の粘膜の繊毛をいためるのでさけてください。また、アレルギー反応の強さは自律神経系のバランスにも影響されます。喫煙、睡眠不足、過労、ストレスなどは症状を悪化させる要因ともいわれているため、花粉飛散期間はこれらを避けるといった配慮も必要でしょう。

表3
表3 花粉を浴びないための方法

花粉症の治療

花粉症に対する根本的な治療は、花粉に対してアレルギー反応を起こさせなくする減感作治療ですが、スギ花粉症の減感作治療は、様々な理由によりあまり普及してきませんでした。しかし、最近舌下免疫療法といって、スギ花粉のエキスをパンの小片に滴下してそれを舌の下において2分間おくという治療法が開発中です。従来の方法に比べ簡便に施行できることからスギ花粉症に対する根本治療として今後の発展が期待されます。実用化のめどが立ってきたようですが、一般的普及にはもう少しお待ちいただくことになりそうです。このように、アレルギーの根本に迫る治療はまだ不十分であることから、現在でも花粉症治療の中心は薬による治療です。

1.薬物治療

花粉症の薬物治療の基本は鼻アレルギー診療ガイドライン2013に示されています。少し難しいとは思いますが、医師が花粉症を治療するうえでの指針となりますので、概要を表4に示します。これでみると、症状の重症度によって使用する薬剤が変わってきますが、基本は飲み薬による治療です。花粉症の薬物治療の特徴として、症状が出てから使用を開始するよりも、花粉飛散時期よりも少し前から内服したほうが軽くすむという事実があり、花粉飛散予測日の1~2週間前から薬を飲み始めることがあります。これは初期療法として位置づけられています。

現在、花粉症に対する治療薬としてさまざまな種類のものが市販されています(表5)。花粉症の治療薬は、他の薬剤との相互作用により重症な副作用の出る薬は少ないのですが、医療機関受診時には医師に他の病気で使用している薬があればおっしゃってください。簡単に薬について解説します。

表4
表4 花粉症における治療の選択

表5
表5 花粉症治療薬

(1)肥満細胞安定薬
花粉が体内に入ってもヒスタミンなどを放出させにくくする薬です。放出されてしまったヒスタミンに対しては無力のため、出現している症状を早期に抑えることはできません。効果が出るまでに1~2週間の内服が必要なこと、眠気の副作用がないことから、初期療法として使用されることが多い薬です。
(2)抗ヒスタミン薬
花粉症の内服治療の中心的位置を占めている薬です。現在第2世代抗ヒスタミン薬が花粉症治療の中心的位置を占めています。多くの種類の薬が発売されていますが、そのなかでも、眠気の少ないもの、1日1回の内服ですむものなど選択肢も豊富になっています。効果が安定するには1週間位の内服が必要ですが、内服後数時間で効果は現れてきますので症状が出てから内服いただいても大丈夫です。
(3)抗ロイコトリエン薬
抗ロイコトリエン薬は鼻みず、くしゃみよりも鼻づまりに効果があります。ただ、薬を飲み始めてから効果が出るまでに、1週間程度かかるため現在出ている症状を早期に抑えるには適していませんが、眠気の副作用はありません。
(4)ステロイド薬
花粉症の場合、ステロイドの内服治療は重症の時期にどうしても必要な場合にのみ使用されます。それに対して、鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)は、微量で局所での抗アレルギー効果が強く、しかも体内に吸収されにくいため、全身的な副作用はほとんど生じないといわれています。眠気の副作用がないため、ガイドライン上では鼻噴霧用ステロイド薬は内服薬と併用することが推奨されていますが、どうしても抗ヒスタミン薬の内服ができない場合には単独で使用されるケースもあります。効果が出るまでの時間も短いので、症状が出てから噴霧しても十分に間に合います。
(5)点鼻用血管収縮薬
花粉症による鼻づまりを早期に改善する目的で使用されます。連続して使用した場合、効果の持続時間が短くなり、そのため、使用回数が増加するといった悪循環に陥ることがあるため、その使用はあくまで、7~10日間で1日1~2回を目安と考えてください。
(6)漢方薬
花粉症に対する漢方薬としては、小青竜湯がよく使われます。一般には漢方薬は副作用が軽いか、ほとんどないと思われていますが、小青竜湯の場合、含まれている麻黄が、動悸やのぼせといった副作用引き起こす可能性があります。

2.手術治療

薬による治療によっても症状が十分改善しない場合、手術治療が考慮されます。手術といっても下鼻甲介粘膜焼灼といった入院の必要のないものから、鼻中隔矯正術、ヴィディアン神経切断術のように入院の必要なものまで多岐にわたります。下鼻甲介粘膜焼灼術は鼻の粘膜の表面をレーザなどで焼いて、粘膜の縮小と、粘膜表面に存在ずる腺組織の減少をはかる手術です。効果は個人差が大きく、薬が全く必要なくなるくらい改善する人もいれば、やはり薬の助けが必要になる人もいます。効果は1~2年くらいと考えてください。当科でもアレルギー性鼻炎(花粉症)に対して様々な手術治療を行っています。薬による治療では不十分とお考えの方は、お気軽にご相談ください。

3.妊娠されているひとへの対応

現在使用されている花粉症治療薬で、妊娠されているひとに対して安全性が保障されている薬はありません。そのため、妊娠中は時期を問わず薬を内服しないことが勧められます。妊娠5カ月を過ぎると胎児への影響は少なくなりますが、症状のコントロールのために薬を使いたい場合は、点鼻薬を少量使用することが安全性の面から一番適切な対応といえます。

4.お子さんへの対応

最近は花粉症の低年齢化が指摘されており、花粉症は必ずしも大人の病気ではありません。花粉症治療薬の中で小児への使用が認められているものはいくつかありますが、1歳未満については安全性の確立したものはありません。鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻ステロイド薬)の中には、小児用に調節したものもあり、4歳以上の小児で使用可能です。血管収縮薬の点鼻は2歳未満の乳児への使用は禁止されており、2歳以上の小児に使用する場合でも、2倍以上希釈して、回数もなるべく最小限とすることが必要です。ステロイドの内服は成長抑制をきたすことがあるため、極力避けるべきです。

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