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けんこう家族 第102号

第102号 平成23年10月1日発行

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目次 |

目次

スポーツ外傷・障害と関節鏡(前編)

病院長 木村 哲

整形外科医師
中山 修一(なかやま しゅういち)

スポーツ外傷・障害とは

 スポーツ医学とは運動によって生じる怪我や病気を予防し、治療するための医学です。スポーツによる障害は多岐にわたっており、内科・外科・小児科・脳神経外科・婦人科・整形外科など多くの科がそれぞれの分野で専門的治療を行っています。中でも筋肉・腱・靭帯・骨・関節・神経のような整形外科の分野では特にたくさんのスポーツ外傷・障害が起こります。
 スポーツによる体の損傷を大きく分けると、急性に起こるけが(外傷)と慢性的に生じる痛み(障害)に分けることができます。急性に起こるけがには打撲・捻挫・肉離れ・腱断裂・骨折などがあります。慢性に起こるものには腱鞘炎・腱炎・疲労骨折・変形性関節症などがあります。十分な経験と知識、手技をもって注意深く診察することにより大抵の診断は可能です。

慢性的な痛み

 慢性的な痛み(スポーツ障害)は、小さなストレスが長期間加わって起こります。子どもではオスグッド・シュラッター病に代表される、骨の成長が未熟なためにおこる障害がほとんどです。青年期になると正常な筋・腱・骨などに過剰なストレスが加わって、シンスプリント・疲労骨折、アキレス腱炎、投球障害肩などが生じます。中高年になると加齢による要素が加わるようになり、テニス肘や変形性関節症による痛みが出現します。
 このようにスポーツにかかわる全ての年齢層にそれぞれ特徴的なスポーツ障害があります。治療はそれぞれの障害ごとに、また重症度によって異なります。まずしっかり診断をつけて適切な治療を行います。一般的に慢性的に生じたものは日常的なストレス、局所的なストレスが主な原因ですから、運動量を調節し、適切なサポーターやインソール(靴の中敷き)などで集中したストレスを分散し、消炎鎮痛剤を適切に使用しながら治療してゆきます。こうした十分な治療によっても痛みがよくならないときには手術が必要になる場合があります。

急性に起こるけが

 一方、急性に起こる打撲・捻挫や骨折の場合には、一刻も早く診断をつけて、一刻も早く治療を開始しなければいけません。骨折やアキレス腱断裂の場合には治療の重要性は論を待ちませんが、捻挫に関しては初期に適切な診断・治療がなされていない場合が多々あります。
 「捻挫」とは正確には「関節の靱帯損傷」です。靭帯とは関節にあって、「骨と骨をつなぐ線維の束」です(画像1)。一般に損傷した(のびた)靭帯はもとの長さにはもどりません。靭帯がある程度の緩くなった状態で治癒するのです。このゆるみには放置してよいものもありますが、放置すると若いうちから関節の老化が急激に進んでゆくものがあります。放置していけない徴候は軽い捻挫の再発です。「癖になる」とか「はずれる感じ」などと表現されます。関節のゆるみから軟骨を損傷し、痛みを出すようになったり、関節の動きが悪くなっていく場合があるのです。明らかなゆるみを自覚しない場合でも関節の軟骨が痛んでくる場合も多々あります。ですから関節の捻挫はなるべく早い時期に正しい診断をして、正しい治療を始める必要があります。自己判断せずに専門家にかかることをお勧めします。

関節の外傷・障害の診断・治療

 診断にあたっては、まず、痛みを生じたきっかけ(受傷機転)、それからの経過、痛みの程度、頻度などを聞き、たくさんの理学所見(徒手検査)を総合的に判断して診断を割り出してゆきます。次には予想される診断に沿ってレントゲン検査などを追加していきます。そうして診断を確定させて、治療に進みます。当たり前のステップのようですが、この診断・治療の過程は長い医学の歴史の中で、最近になって急速に進歩を遂げた分野の一つです。その進歩を支えた立役者の一つはMRI検査です(画像2)。強力な磁力で体の断面を見ることが可能で、靱帯損傷や半月損傷など関節内のより正確な診断が可能です。MRI検査によって、診断が飛躍的に向上しました。その上MRI検査には放射線被爆などの副作用や痛みがなく、極めて安全な検査です。当院では2台のMRIを積極的に使用し、非侵襲的な診断をしています。そして、もう一つの立役者が関節鏡です(画像3)。


図2.MRI画像


図3.関節鏡

関節鏡を世界ではじめて実用化した病院

 関節鏡とは写真に示したとおり、細長い棒を関節のなかに挿入して、関節内を観察する道具です。カメラの-映像をテレビモニターに映すことで膝関節の内部をとても大きくかつ、鮮明に映し出すことができます(画像4)。膝関節に使用するものは直径4〓ですから、非常に小さい傷で行うことが可能です。膝の半月板という軟骨損傷であれば、小指の爪の幅程度の傷を2、3か所つける程度で行うことが可能です(画像5・6)。現在では肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節などで応用されており、世界中で使用されています。
 実はこの関節鏡を世界で初めて実用化したのは東京逓信病院なのです。1950年代に東京逓信病院の整形外科部長であった渡辺正毅先生らによって開発され世界に広まりました。以来、東京大学整形外科の関節鏡視下手術に関する中心的な研修病院として、現在に至っています。この関節鏡を使用した手術は当院整形外科の手術のほぼ半数に及びます。特に多いのは膝の関節鏡視下手術で、この関節鏡を用いることにより、小さい傷で(低侵襲)で靭帯再建術など高度な手術を行っています。
 次号では、この関節鏡を使用した具体的な手術治療について、お話ししたいと思います。


図4.関節鏡の映像 正常な関節内


図5.関節鏡視下手術の様子(膝)
傷は「小指の爪の幅」程度


図6.大きなモニターに映った関節の映像を見ながら手術を行う

(次号、後編へつづく)

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