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けんこう家族 第103号【3】

| 目次 |

スポーツ外傷・障害と関節鏡(後編)

整形外科医師 中山 修一

整形外科医師
中山 修一(なかやま しゅういち)

関節鏡を世界ではじめて実用化した病院

 前回はスポーツ整形外科・関節外科の飛躍的な発展を支えた関節鏡について、お話ししました。復習を兼ねて、関節鏡について改めてお話しします。  関節鏡とは写真に示したとおり(画像1)、細長い棒を関節のなかに挿入して、関節内を観察する道具です。カメラの映像をテレビモニターに映すことで膝関節の内部をとても大きくかつ、鮮明に映し出すことができます(画像2・3)。膝関節に使用するものは直径4mmですから、非常に小さい傷で行うことが可能です。膝の半月板という軟骨損傷であれば、小指の爪の幅程度の傷を2、3か所つける程度で行うことが可能です(画像4・5)。現在では肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節などで応用されており、世界中で使用されています。


画像1 関節鏡


画像2 関節鏡の映像
正常な関節内


画像3 関節鏡の画像
正常な前十字靱帯


画像4 関節鏡視下手術の様子(膝)
傷は「小指の爪の幅」程度


画像5 手術の様子
大きなモニターに映った関節の映像を見ながら手術を行う

 実はこの関節鏡を世界で初めて実用化したのは東京逓信病院なのです。1950年代に東京逓信病院の整形外科部長であった渡辺正毅先生らによって開発され世界に広まりました。以来、東京大学整形外科の関節鏡視下手術に関する中心的な研修病院として、現在に至っています。この関節鏡を使用した手術は当院整形外科の手術のほぼ半数に及びます。特に多いのは膝の関節鏡視下手術で、この関節鏡を用いることにより、小さい傷(低侵襲)で靭帯再建術など高度な手術を行っています。

膝前十字靱帯損傷

 関節鏡を使用した、我々の最も得意とする治療のひとつが、膝関節の中にある前十字靱帯(画像3・6)損傷です。前十字靱帯損傷は日本国内で毎年2万程度が受傷しており、そのうち1万4千人程度が手術を受けていると推測されています。膝関節内にある前十字靱帯は自己修復されず、ほとんど治りません。この靭帯が機能的に働かないと「ひざくずれ」と呼ぶ、膝関節の亜脱臼が容易に起こるようになります。  診断には特殊な徒手検査をマスターしている必要があります。N(中嶋)―テストといわれるこの手技は感度がとても高いのですが、これを満足に行える医者は実は多くありません。そのため、不幸にして長い間診断がつかないままでいる人も少なくありません。開発者の中嶋寛之先生の後輩である東京大学整形外科の膝・スポーツのグループではその手技を正確に引き継いでいます。もちろん、東京逓信病院の医師も同様にこの手技をマスターしており、後輩に引き継いでいます。  さて、この前十字靱帯損傷は多くのスポーツ選手が受傷し、「ひざくずれ」を繰り返します。このままではスポーツ復帰できませんし、早い時期に関節が老化する危険が大きくなります。損傷してしまった靭帯はめったに再生しないために靭帯を作り直す手術(再建術)を行います。最近では技術が洗練され、複雑な手術も関節鏡視下で行うことが可能です(画像7・8)。手術成績は非常に安定しており、多くの選手がスポーツ復帰を果たしています。


画像6


画像7 関節鏡の映像
再建された前十字靱帯


画像8 前十字靱帯再建術後の3DCT
2本の靭帯が解剖学的に再建
されていることがわかる

半月板損傷

 膝関節の太腿の骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)との間には半月板という軟骨(画像2・6)があります。これはスポーツ活動で痛む(画像2)こともあれば、加齢によっても劣化して痛むことがあります。診断には詳細な診察とMRIが有効です。スポーツ活動で痛めた半月板損傷はなかなか治らないため、手術になることが多いです。関節鏡を使用すれば小さい傷で関節の内部を観察し半月板の損傷の有無を確認(画像9)し、処置(縫合や部分切除)することができます。当院では手術当日から歩行が可能なほど、手術による侵襲は小さいものです。


画像9 関節鏡の映像
半月板の断裂

肩関節

 肩関節の脱臼を繰り返す反復性脱臼や、肩のスジ(腱)が痛む腱板損傷に対しても関節鏡視下手術が有効です。過去の手術では大きな傷をつくって手術をしていましたが、関節鏡を使用することで小さい傷での修復が可能になりました。

足関節

 足首の関節(足関節)には捻挫の後遺症として、骨棘(こつきょく)の障害があります。足首の関節が安定しないために周囲の骨の反応が生じて骨の棘(とげ)ができてしますのです。このために関節の動きがわるくなり、ときに痛みを出すなどしてスポーツ活動に影響を出すようになると、骨棘を切除する手術が必要になります。関節鏡で行うと小さい傷で行うことが可能です。他にも捻挫の後遺症として生じることが多いものに関節軟骨障害があります。離断性骨軟骨炎と呼ばれるこの損傷は治療が難しいのですが、この疾患の一部に対しても関節鏡視下の手術が行われます。

 このように、関節鏡を使用することで、関節のスポーツ外傷・障害は低侵襲(体に与える影響が少ない)に治療できるようになりました。

 当科ではスポーツ活動に携わりつつ、膝や肩を専門にしている医師が全ての曜日で外来を開いているほか、それぞれに専門外来をもっています。スポーツ外傷・障害の治療や関節の治療には正確な診断がなにより大切です。自己判断せずに、まずご相談いただければと思います。丁寧な診察と、MRIなどの診断機器、そして治療ツールとしての関節鏡を駆使して治療を行っています。もちろん、治療の中心は手術をしない保存療法・リハビリを旨としています。専門外来ではより時間を取って診察できるため、スポーツ活動に不安をお持ちの方、膝や肩関節でお悩みの方は専門外来の受診をお勧めします。

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