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けんこう家族 第105号【3】

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大腸がんの診断と治療

外科主任医長 桐原 勇次郎

外科主任医長
桐原 勇次郎

 今回けんこう家族でお話をさせて頂く機会を得ましたので、近年増加が著しい大腸がんについてお話したいと思います。

大腸がんとは?

 大腸の悪性腫瘍には、粘膜上皮から発生するいわゆる“がん”と粘膜外の非上皮から発生する肉腫があります。今回は、この粘膜上皮から発生する“がん”についてお話します。

大腸がんは増えているのか?

 厚生労働省が実施した調査では、平成20年度の大腸がん患者総数は23万5千人で、前回調査の21万4千人より9.8%の増加でした。最近20年間の大腸がんの罹患率(病気になる頻度)は結腸がんで約3倍、直腸がんで約1.5倍増加し、2002年の男性の罹患率は世界第1位でした。部位別罹患率では、2008年の統計では大腸がん(結腸がん+直腸がん)は男性で胃に次いで2位、女性は乳がんを抜いて1位でした。逆に、近年大腸がんの死亡率は減少傾向を示しています。

大腸がんの症状は?

 主な症状は、下血・血便・貧血・腹痛・便通異常・便の狭小化などですが、繰り返す便秘や下痢、腹部膨満感も見られます。しかし、これらの症状は、早期がんで認められることは少なく、そのほとんどが進行がんです。早期発見には、便潜血と内視鏡検査が有用です。

診断の進め方

1 ファーストステップ

まずは診察で、圧痛や腫瘤の触知を診察します。特に重要なのが直腸指診で、これにより下部直腸がんの診断が可能となります。腹部単純X線検査では、腸管の拡張による腸閉塞の有無をチェックできます。血液検査では、貧血の有無、腫瘍マーカーのチェックが重要です。マーカーはCEAとCA19-9が頻用されています。

2 セカンドステップ

注腸検査
バリウムを用いて、病変の部位・性状を評価します。閉塞等の通過障害が疑われる際は、ガストログラフィンという特殊な造影剤を用います。
内視鏡検査
がんの確定診断を得るために必須の検査です。腫瘍の組織を一部採取して、病理学的に組織診断を行います。さらに、拡大内視鏡を行い表面構造からがんの深達度診断が可能です。次世代型内視鏡であるエンドサイトスコピーを使用すると、約450倍の超拡大観察が動画で可能となり、細胞異型・核異型が診断でき組織の生検が不要で、その場でがんの診断が可能となります。内視鏡検査は、診断のみでなく早期がんに対する治療も同時に行える点が特徴です。
内視鏡超音波検査
がんの深達度・リンパ節への転移の評価に有効です。
腹部超音波検査
肝転移の評価に有効で、特に手術中に行うことで、より高い精度で肝転移を診断できます。
CT/MRI/PET検査
CTでは、がんの浸潤範囲・リンパ節転移の有無及び肺・肝転移の評価に有用です。MRIでは、骨盤内のリンパ節転移・骨など周囲臓器への浸潤の程度を判定するのに重要です。PETは、全身への転移診断に有用です。

治療方法

1 内視鏡治療
ガイドラインでの適応は、無理なく一括切除できる2cm以内の早期がんが対象とされています。リンパ節の転移の可能性がほとんどない早期がんで、粘膜内がん・粘膜下層への軽度浸潤がんでは、病変部の切除のみで根治が可能です。ポリペクトミーや粘膜を膨隆させて行う内視鏡的粘膜切除が広く行われていますが、最近では、特殊な内視鏡器具を用いた粘膜切開剥離法が行われるようになり、2cm以上のより大きな病変の一括切除も可能となってきています。しかし、切除標本の病理検索から、内視鏡治療では不十分とされるリスクファクター(図1:粘膜下浸潤がんの取り扱い)が認められる際には、追加の手術を考慮しなければなりません。


大腸がん研究会編:大腸がん治療ガイドライン2010年度版より引用
図1:内視鏡治的摘除後の追加治療の適応基準(pSM=病理学的粘膜下浸潤がん)

2 手術治療
がんが粘膜下層以深に浸潤する場合は、腸管と病期に応じたリンパ節郭清が必要です。ステージ0からIIIの大腸がんでは、術前診断と術中所見から術式が決定されます(図2:stage0~IIIの手術治療方針)。ステージIVの進行大腸がんでは、遠隔転移巣ならびに原発巣が切除可能な否かにより切除方針が決定されます。最近は、この10年間で急速に普及した腹腔鏡を用いた手術が行われるようになりました。二酸化炭素を送気して腹腔内を膨らませ、細長い鉗子を操作して内視鏡画面を見ながら行う低侵襲な手術です。1996年に早期大腸がんに対するこの手術が保険適応となり、2002年には進行がんにも保険適応が拡大されました。小さな傷による手術のため、術後の回復が早く、早期の退院・社会復帰が可能となりました。


エイチ・ツー・オー総合研究所制作:大阪大学 田口鐡男名誉教授監修 大腸がんの手引きより引用改変
図2:ステージ0からステージIII大腸がんの手術治療方針

3 化学療法
大腸がん全体からみると、約60%の方が完治していますが、残念なことに40%の方が再発で命を落としています。切除不能転移・再発大腸がんに対する化学療法は、これまでは延命期間が1年程度でしたが、近年新たに開発された抗がん剤と次に述べる分子標的治療薬を併用することで、20カ月を超えて延命できるようになりました(図3)。大腸がんの増殖因子を抑える分子標的治療薬は、血管内皮細胞増殖因子に対するヒトモノクロナール抗VEGF抗体(商品名:アバスチン)と上皮細胞増殖因子受容体に対するヒトモノクロナール抗EGFR抗体(商品名:アービタックス、ベクティビックス)があり、前者は抗腫瘍効果を高め、後者は切除不能転移大腸がんに効果があるとされています。投与期間は6カ月が標準的とされていますが、有効な症例には延長して使用されています。


大腸がん研究会編:大腸がん治療ガイドライン2010年度版より引用
図3:切除不能・進行・再発大腸がんに対する化学療法(抗がん剤と分子標的治療薬の併用)

4 放射線療法
手術前に抗がん剤と併用して放射線治療を行うことで、腫瘍の縮小や術後の再発リスクを減少させています。近年は、保険治療の適応外ですが、重粒子線を用いて難しい再発がんに対する治療が可能となってきています。  このように、これからも増加するであろう大腸がんに対して、ガイドラインが推奨する適切な治療法が全国に普及してきています。もし、大腸がんの可能性や診断・治療でお困りの際は、今年4月より東京都の大腸がん診療連携協力病院に指定されました東京逓信病院外科を気軽に受診しご相談ください。

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