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けんこう家族 第111号【3】

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目の場合

眼科 医師 三嶋 弘一

眼科 医師
三嶋 弘一  

 眼科での花粉症というと、花粉に対するアレルギー性結膜炎が中心となります。アレルギー性結膜炎とは、白目の粘膜である結膜の部分で異物に対するアレルギー反応が起こり、結膜に炎症が起きる病気です。症状として、かゆみ、ゴロゴロ感、流涙、充血、めやにが出るなどがあります。また分泌されためやにが黒目(角膜)の部分にかかると曇って見える感じ(霧視)がしたりもします。痒いからといって目をかくと、その物理的刺激により炎症がひどくなり、上記の症状が強まりますので、目をかかないようにしましょう。

 原因となる花粉ですが、日本で一番多いのはスギ花粉に対するアレルギー性結膜炎です。スギ花粉は2月から5月にかけて飛ぶため、この時期に上記症状がひどくなることが多いようです。実際にはほかにも5月から7月はカモガヤ科、7月から9月はブタクサ科、10月から12月はヒノキ科の花粉が飛ぶといわれております。実際秋から花粉症の症状が出る患者様もいらっしゃいますが、おそらくヒノキ花粉に対するアレルギー性結膜炎と思われます。

 これまで花粉症ではなかった方でも、ある時から花粉症を発症してしまうということもあります。アレルギー性結膜炎はある異物に対して体の免疫機構が反応してしまうことで起こり、この異物に対して反応してしまう状態になることを感作といいます。感作は理論的にはどのような異物に対しても、またいつでも起こりうると言われています。実際大人になってから花粉症になるという場合もあります。

 このようなアレルギー性疾患は、先進国で多く、発展途上国では少ないことが知られています。もともと体の免疫機構は外来の病原体(細菌やウイルス)に対して働き、それらが体内で増殖して病気を起こさないようにするためのメカニズムと考えられます。ところが先進国では衛生環境もよく、予防医学の発展もあるため、本来働くはずの場面が少なくなった免疫機構が反応しなくてよい異物に対して反応しやすくなっているのかもしれません。

 眼科での花粉症の治療は、対症療法が中心となります。すなわち、薬によってアレルギー性結膜炎の症状を抑えることになります。抗アレルギー剤の点眼薬が一般に広く用いられていますが、重い副作用もほとんどなく、安全に使える薬です。抗アレルギー剤は、アレルギー性結膜炎の症状を引き起こしている物質の働きを抑えたり、その物質を分泌する細胞の働きを抑えたりする効果があります。そのため、花粉症の症状がでているときにそれを和らげるだけでなく、花粉症が始まる前から点眼しておくことで、症状の出現を抑える効果もあると言われていますので、毎年症状が重い患者様であれば、症状が出る前から点眼を開始しておくとよい場合もあります。抗アレルギー剤の内服を組み合わせることでさらに症状が改善することもあります。また、目の表面についた花粉を洗い流すという意味で人口涙液点眼を併用することもあります。また、花粉への暴露をさけるため、ゴーグル型眼鏡やマスクの装着も有効な場合があります。しかし、重度の花粉症の場合、抗アレルギー剤のみでは十分な症状改善が見られない場合もあります。その場合、ステロイドの点眼薬を使用することもありますが、ステロイド点眼薬は抗アレルギー剤よりも強く炎症を抑える半面、感染を起こすリスクを高めたり、眼圧が上がることもあるなど、副作用もありますので、使用する場合は眼科通院継続と定期的な検査が必要になります。特にお子様の場合はステロイドで眼圧が上昇するリスクが大人より高くなるため、より一層の注意が必要です。

 コンタクトレンズを使用している人も多いと思います。それらの人にも当然花粉症を持っている方もいらっしゃるでしょうが、花粉症の時期にコンタクトを使用すると症状が増悪する場合が多いです。そういった場合には、花粉症の時期には思い切ってコンタクトの使用をやめ、眼鏡にするとよいと思います。

 花粉症は、軽いものまで含めるとかなり一般的な病気となってきました。かゆみ、ゴロゴロ感、流涙、充血、めやにが出るなどの症状があって、もしかしてと思う場合は早めに眼科を受診するようにしましょう。

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