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けんこう家族 第111号【6】

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この冬のノロウイルス感染対策について

内科 主任医長 濁川 博子

内科 主任医長
濁川 博子

1.はじめに

 ノロウイルスという名前すら、昔は知られていませんでした。大きな流行を経験し、しだいに、その全体像が明らかになってきました。それでも、毎年、多くの病院で、アウトブレイクという名の大きな流行を経験しています。なぜでしょう?ウイルスは常に新しくなっているからです。新しい情報で、お役に立ちそうな部分からガイドします。

2.家族のだれかが感染したら

 小さなお子さん(乳児や幼児、たとえば、2歳以下)が感染すると、症状が消えた後でも、長期のウイルス排泄と環境汚染の可能性があります。乳児では、症状消失後5日までノロウイルスを持っていると考えて、ケアしてあげてください。

3.手を洗おう

 ノロウイルス対策であっても、流水と石鹸による手洗いが基本です。

4.パパママは出勤していいの?

 ノロウイルスの感染が広がりやすい原因は二つあります。ひとつは、症状消失後も長期にわたってウイルスを排出し続ける人の存在です。もう一つは、症状が出現する前の潜伏期にも、ウイルスを排出することです。症状がなくても、自分の手から、他の人に感染させていないか?振り返ってみてください。感染した場合、一般的には、症状消失後、48時間は、感染性があると言われています。ただし、食品を直接扱う人は、一か月以上、ウイルスの排出が持続する人がいるので、出勤はしても、食品を扱わないようにするなどの工夫が必要です。

5.ノロウイルス胃腸炎って、どうやって診断するの?

 病院を受診して、ノロウイルス迅速キットで診断してもらう方法があります。ただし、保険診療できる対象が限られています。①3歳以下の子供②65歳以上③悪性腫瘍がある方、などです。それ以外の場合は、自費になるので、3500円かかります。多くの場合、ノロウイルスに感染したかどうかは、臨床的に判断できます。①まず、秋から冬にかけて流行期であること、噴射状に嘔吐して下痢がはじまるなどの特徴的な臨床症状、②平均潜伏期は24-48時間③平均罹病期間は12-60時間④便培養で菌を検出しない、以上の特徴を有する場合は、ノロウイルス胃腸炎と臨床的に診断します。

6.お掃除は、どうすればいいの?

 ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要があります。乾燥した室温の環境でも、ノロウイルスは、28日以上生存すると言われています。12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られています。

7.治療について

 ノロウイルスに特異的に効く抗ウイルス剤は存在しません。整腸剤などの処方を受ける、嘔気などに対する対症療法を受ける、スポーツ飲料などで、水分、電解質、糖質などを補充するなどの一般的な治療を受けることになります。多くの場合、数日で、症状が消失しますので、ご安心ください。全く経口摂取ができない場合、特に、高齢の方は、病院で点滴などを受けるとよいでしょう。


医療技術 主任・栄養士 田中 裕梨

医療技術 主任・栄養士
田中 裕梨

 ノロウイルスによる食中毒の約70%は、11月から2月の間に発生しています。

 ノロウイルス感染を防ぐためには、(1)よく手を洗う(2)特に子供やお年寄りなどの抵抗力の弱い方は生ものや和えものを控える(3)食品を取り扱う人や調理器具などからの二次感染を防止することが大切です。

1.基本は手洗い!

 ①外出先から帰宅したとき②料理をする前③料理を盛り付ける前④食事の前⑤トイレに行った後⑥下痢等の汚物処理やおむつ交換を行った後は、必ず手を洗いましょう。常に爪を短く切って、時計と指輪をはずし、石鹸を十分泡立て、ブラシなどを使って洗います。すすぎは温水による流水で十分に行い、清潔なタオルまたはペーパータオルで拭きます。石鹸自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪などの汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

2.十分に加熱したものを食べる!

 ノロウイルスの失活化の温度と時間については、現時点においてこのウイルスを培養細胞で増やす手法が確立していないため正確な数値はありませんが、同じようなウイルスから推定すると、「食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱」を行えば、感染性はなくなるとされています。湯通し程度の加熱では効果はありません。

3.二次感染を防ごう!

 ノロウイルスの失活化にはエタノールや逆性せっけんはあまり効果がありません。調理器具は、洗剤で十分に洗った後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くか、熱湯(85℃以上)で消毒する方法が有効です。

 料理をする人は、日頃から自分と家族の健康状態を把握し、下痢や嘔吐、風邪のような症状がある場合には、直接食品を取り扱う作業は控えましょう。

 たとえば家庭の中に小さい子供や介護を要する高齢者がおり、下痢・嘔吐等の症状がある場合は、その汚物処理を含め、トイレや風呂場を衛生的に保つ工夫が求められます。嘔吐物は想像以上に遠くまで飛び散っています。床から1mの高さから吐くと、カーペットでは吐いた場所から最大1.8m、フローリングでは最大2.3m飛び散ったという実験もあります。もし汚物が衣類についてしまったら①衣類をビニール袋に入れ、周囲を汚染しないようにします②85℃で1分以上、熱湯消毒するか、塩素系消毒液(0.02%次亜塩素酸ナトリウム:図参照)に30~60分間浸します③消毒後、他のものと分けて最後に洗濯するようにしましょう。

 また、下痢をしている人の入浴は一番最後にし、風呂の湯につかる前には、まずおしりをよく洗います。風呂の水は毎日換えて、浴槽、床、洗面器、いす等も清潔に掃除をしてください。使ったタオルやバスタオルは他の家族が使わないようにしましょう。

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