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けんこう家族 第115号【6】

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うつ病の話 第4回

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

 これまで、うつ病には、落ち込む原因のはっきりしている「反応性うつ病」と、はっきりとした原因なしに起きる「内因性うつ病」があることを述べ、それぞれの治療について具体的に述べてきました。今回は、「うつ状態」を呈することのある、もうひとつの病気、「躁うつ病」についてお話します。

 躁うつ病は、気分が落ち込んで憂うつになり、何もしたくなくなる「うつ状態」と、「うつ状態」とは逆に、気分が爽快で、活動的になり、何でもできると思う「躁状態」を繰り返す病気です。躁状態の時には、実現不可能なことを実行しようとして、周りをびっくりさせたり、困らせたりしてしまうことがよくあります。

 「うつ状態」の方を治療する上では、それがうつ病の症状としての「うつ状態」なのか、それとも、「躁うつ病」の方の「うつ状態」なのかを見定めることが重要です。なぜなら、同じうつ状態でも、うつ病の方のうつ状態と躁うつ病の方のうつ状態では、治療法が全く異なるからです。

 うつ病の方の場合には、抗うつ剤を投与したり、落ち込む原因を取り除くなど環境要因の調整を図って、うつ状態を改善することが治療の主眼となります。

 これに対して、躁うつ病の方の場合には、うつ状態になっても抗うつ剤を使いません。その理由は、抗うつ剤が躁状態を誘発してしまう危険性が高いからです。

 そのため、躁うつ病の方の場合には、抗うつ剤を使わず、躁とうつの波を小さくする効果を持つ薬(気分調整薬)を用います。そして、躁状態になることを極力防ぎ、うつ状態には、なったとしても軽い状態でとどまることを目標にして、治療を行ないます。私はこれを「低め安定」と呼んでいます。躁うつ病の患者さんの多くは、躁の状態が続くことを望み、「低め安定」を望みません。しかし、躁状態は周りに迷惑をかけるばかりでなく、躁の後にうつになることが非常に多いため、躁状態になることは避けなければなりません。

 躁状態にならないためには、気分調整薬も大切ですが、本人の自覚と努力も大切です。まず、自分が躁状態になっていないかどうかに気を配る必要があります。躁状態の症状は、気分爽快、口数が多い、金遣いが荒い、酒量が増加する、睡眠時間が短くても平気、などです。うつ状態の時にも眠れなくなる方が多いのですが、うつの時の不眠は、眠れなくて辛いものです。これに対して、躁の時の不眠は、辛いと感じることがなく、活動性が落ちません。そして、自分の思い通りにやれている時には気分爽快ですが、周りから注意されるなど、思い通りにいかないと不機嫌になってしまいがちです。些細なことに腹を立て、怒りっぽくなってしまうのも、躁状態の特徴のひとつです。

 そんな状態の時には、自分は躁状態にあると自覚して、あえて早く帰宅して早めに床に着く、人を飲みに誘わない、お金を使いすぎないよう大金を持たないなど、自分自身の努力が大切です。そんな自己調整ができない時には、躁状態を抑え込む作用を持つ抗躁薬が必要になります。

 抗うつ剤を服用中のうつ病の患者さんが、上述のように、金遣いが荒くなったり、酒量が増えたり、怒りっぽくなったりすることがあります。その時には、抗うつ剤が効きすぎている可能性があり、抗うつ剤の中止や減量が必要なことがあります。

 躁うつ病と診断されないまでも、調子の波を持っている方は少なくありません。色々な要因で、調子が上がったり下がったりします。たとえば、私は、暑い夏が大嫌いで、そのためエアコンの効かない部屋に行く時には扇風機を持参します。私とは逆に、夏が好きで夏に活動的になる人もいます。夏の好きな私の友人は、毎年7月と8月は趣味に没頭するのですが、9月頃になるとぱったり趣味をやらなくなるのです。2か月間、趣味に集中し続けると、「飽き」がくるのかもしれません。

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