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けんこう家族 第119号【2】

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成長するほくろ~ほくろの癌~について

形成外科主任医長 利根川 守

形成外科主任医長
利根川 守


図1 前額部に生じた基底細胞癌
図1 前額部に生じた基底細胞癌

子供の頃からあったほくろが年齢と共に大きく盛り上がってくることはよくあることなのですが、知らぬ間に生じたほくろが近頃、急に大きくなってきたという方は注意してください。ほくろも悪性と良性があり、つまり癌とそうでないものがあります。ほくろの癌の中には皮膚癌の一種である基底細胞癌や悪性黒色腫と呼ばれる癌があります。いずれも形の不正や色むらがあったり、時に出血を伴うこともあります。基底細胞癌は日常診療でよく見かける癌で50歳以上の高齢者に多く、日光の当たる場所、特に眼瞼、鼻周囲に発生することが多い癌です(図1)が体幹にもまれに生じます。癌といっても転移などの心配はほとんどなく、局所的に浸潤して深部に広がっていきます。長期間放置すると顔面では眼球や鼻骨にまで浸潤して顔面の変形をきたすことがあります。

図3 右大腿部の悪性黒色腫
図3 右大腿部の悪性黒色腫

図2 左母指悪性黒色腫
図2 左母指悪性黒色腫

また悪性黒色腫は皮膚癌の中で最も悪性度の高い癌の一つで、10万人に1〜2人の頻度で発生し、生まれながらではなく後から生じた場合が多く、全身のどこにでも生じ成人以降の発症がほとんどです(図2・3)。悪性黒色腫は4型に分けられ、四肢末端の手のひらや足の裏、爪に生じるものが日本人に多いタイプです。手のひらや足裏のもともと色素の無いところ(黒色人種の方でも色の黒くない部分)に生じた6mm以上あるほくろは注意が必要です。癌が成長してある一定の深さまで達すると転移を起こして全身に広がっていきます。

基底細胞癌も悪性黒色腫も早期発見早期切除が最も確実な治療法です。癌の摘出は通常の良性腫瘍とは異なり周りに正常な皮膚や組織をつけて大きく切除するのが基本ですので腫瘍が大きくなると切除範囲も大きくなります。そのため生じた皮膚欠損部を縫いあわせることができないときは皮膚移植等が必要になります。

図4 ダーモスコープ
図4 ダーモスコープ

一般の方が新しく生じた成長の速いほくろを心配されて外来を受診されるケースでは前記のもの以外に加齢により生じるいぼ(脂漏性角化症)であったり、皮膚線維腫と呼ばれる別の良性腫瘍などのときもあるので、自己判断せずに専門機関を受診してください。当院の形成外科・皮膚科ではダーモスコープ(図4)という拡大鏡を使うことにより診断の正確性を高めて、迅速な治療を心がけています。また形成外科と皮膚科が連携協力して、診断から切除、そして術後の追加の治療やフォローアップに至るまでをトータルにケアしています。手術は術後の傷を目立たなくするために、形成外科的な手技にておこなっています。

形の不整や色むらがあったり、また成長が速いほくろを気にされている方は一度形成外科にてご相談下さい。

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