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けんこう家族 第119号【6】

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神経症の話 第3回 恐怖症

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

今回のテーマは恐怖症です。

恐怖症には、色々なものがありますが、対人恐怖症、視線恐怖症、不潔恐怖症、高所恐怖症、閉所恐怖症が主なものです。

対人恐怖症と視線恐怖症は、近い関係にあります。すなわち、人の視線が気になり、人が怖いと訴える方が多いのです。しかし、中には、他人の視線が気になるのではなく、「自分の視線が気になる」と訴える方もいます。つまり、自分の視線が周りの方々に不快感を与えるなど、悪影響を与えているのではないかと気にする方がいるのです。いずれにせよ、対人恐怖、視線恐怖の方は、人中に出るのを避けることが多く、無理に出ると、不安神経症の話の時に述べた不安発作(パニック発作)を起こす方もいるのです。不潔恐怖症の方は、汚れが気になり、何回も手洗いを繰り返してしまい、強迫神経症(洗手強迫)と診断されることが少なくありません。

恐怖症には、抗不安薬や抗うつ薬など、向精神薬がある程度効きますが、強迫神経症と同じように、薬だけですっきり治ってしまう病気ではありません。したがって、強迫神経症の方と同じように症状をかかえながら、どのように社会生活を送っていくか、本人の工夫や努力が必要な病です。

私自身に閉所恐怖の症状があるので、私がどのように対処しているかをお話します。

私は小学校低学年の時に、狭い暗い迷路に長時間、閉じ込められた経験があり、それ以来、狭い空間に閉じ込められることに耐えられません。特に、エレベータが苦手です。そのため、できるだけ階段を歩くようにしています。一度、精神科病棟のある9階まで、階段を上ってみたところ、息があがってしまい、30分間くらい休まないと、入院患者さんの診察ができませんでした。これでは仕事にならないため、上りのエレベンターには、我慢して乗ることにしました。下りは必ず歩いています。

また、4年前の東日本大震災の後、大地震で生き埋めの状態になることを想像してしまい、窓のない地下のレストランに入るのが苦痛になりました。

この例のように、いやな状況や苦手な状況は、できる限り避けることにしています。そして、どうしても避けられない場合には、できる限り短時間、必死に我慢することにしています。

実は、最も苦手だったのは、以前あった精神科病棟の静養室でした。静養室は、症状が不安定で落ち着かない入院患者さんを、安全に保護する目的の部屋なのですが、外から鍵をかけると、自力では出られなくなります。一度この部屋で入室中の患者さんと話をしていたら、外から鍵をかけられたことがあります。思わず、「開けてくれ。」と、大声で叫んでしまいました。あわてて看護師さんが飛んできましたが、一番びっくりしたのは、入室中の患者さんでした。頭では安全な部屋とわかっているのですが、身体が反応してしまい、動悸がしたり、息苦しくなったり、冷や汗が出たりして、散々な目に遭いました。

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