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けんこう家族 第121号【3】

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胃の腹腔鏡手術

外科医長 山澤邦宏

外科医長
山澤 邦宏

尿潜血陽性とは?

十年一昔の言葉も今や五年一昔と言いたいほどに医学界の進歩もまた目覚ましく発展しております。胃の外科手術においても近年大きく変わってきました。

胃の病気(胃癌について)

現在の日本人の死亡原因の第一位は悪性新生物、いわゆる癌であり、胃癌の罹患率は男性で一位、女性では乳癌・大腸癌に次ぐ第三位です。何よりも大切なことは早期発見・早期治療であり、早期胃癌はほぼ治せる時代となっています。胃癌の治療は①内視鏡(胃カメラ)治療、②手術、③化学療法(いわゆる抗癌剤など)、があり、これらを組み合わせて適切な治療を行います。どの様に治療法を選ぶのか、それは「胃癌治療ガイドライン」というもので標準的な治療方針が全国で決ま っています。胃癌の大きさ、深さ、性質、また周囲への広がりを判断し治療方針を決めていきます。

胃の腹腔鏡手術

(図1)日本胃癌学会 胃癌治療ガイドラインより抜粋胃癌の手術は1881年に世界ではじめて行われて以降、上腹部を大きく切る開腹術が主流でしたが、近年開腹術よりもより侵襲の少ない腹腔鏡胃切除術が行われるようになっています。腹腔鏡手術とは、お腹に1cm程度の孔を数カ所あけ、そこから炭酸ガスを注入してお腹を膨らませ、その孔からカメラや特殊な機械を腹腔内に挿入し、外のモニターを見ながら行う手術です(図1)。
胃癌の腹腔鏡手術の場合はお臍を含む5カ所に1cm弱の孔を開けて行います。この小さな孔からの手術だけで胃の切除(胃の全摘から胃の下2/3切除、胃の上1/3切除)を行い、さらにリンパ節郭清・再建まで行います。この腹腔鏡手術のメリットは開腹と違い創が小さいこと(図2-1)、手術中に腹腔内の臓器が外気にさらされないことで、手術を受ける患者様の身体的負担はかなり少なくなり術後の回復が非常に早くなります。一方で開腹術と違い、術者が直接手で触れたり目で見るのではなくモニターを通して腹腔内を見る点、特殊な機械を使用して手術を行わなければならないため、より集中力と習熟を必要とします。当院でも根治性を損なわず低侵襲な腹腔鏡胃切除を積極的に行っています。また、開腹手術(開腹胃切除術)にも十分にメリットがあるので、胃癌の進行具合によって腹腔鏡手術か開腹手術が選択されることもあります。詳しいことは外科外来窓口か担当医にご相談下さい。
胃癌以外でも胃潰瘍穿孔(胃に孔が開いてしまう病気)や、高度な食道裂孔ヘルニア、胃癌以外の胃の腫瘍性病変も腹腔鏡手術で行っており、特に一部の疾患ではお臍に小さな孔を一つ開けるだけの単孔式腹腔鏡手術も行っております(図2-2)。

図2-1 腹腔鏡胃切除後 図2-2 単孔式腹腔鏡胃切除後



近い将来

さらに進んだ治療としてはロボット手術があり、現在は前立腺癌など一部の病気にはすでに行われていますが、まだ日本では胃癌に対するロボット手術は保険適用外です。
近い将来さらに進歩していき、人の手のいらない機械(ロボット)主流の治療の時代が来るかも知れません。しかし、どんなに技術が進歩したとしても人は肉体的にも精神的にも計算通りにはいかないものと思っております。より高度化する手術の中にあ ってもより人と人との心のつながった暖かい医療を忘れてはいけないと思う日々です。

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