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けんこう家族 第122号【6】

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睡眠の話 第3回 睡眠導入剤の話

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

前回は、体質的にもともと寝付きが良くない方が、睡眠導入剤に頼らずに眠る工夫について述べました。しかし、実際にはそのような工夫をしても、なかなか寝付けない方が少なくありません。その場合には睡眠導入剤を飲んでいただくことになります。

不眠には、1)寝付きが悪い(入眠障害)、2)夜中に目が覚める(中途覚醒)、3)朝方早くに目が覚める(早朝覚醒)の三つのタイプがあります。

体質的に寝付きが悪いが、寝付いてしまえば、途中起きずに朝まで眠れる方や、心配事を抱えていて寝付きだけが良くないといった方(上述の入眠障害だけの方)の場合には、効き目の持続が2~3時間である「短時間作用型の睡眠導入剤」を用います。

うつ病の方、中でも落ち込む原因のはっきりしない内因性うつ病の方には、寝付きは良いが、夜中に何度も目が覚める、あるいは朝方早く目が覚めてしまうタイプの不眠がしばしばみられます。したがって、6時間あるいはそれ以上長く効き目が持続する、中~長時間作用型の睡眠導入剤を用います。これに対して、落ち込む原因のはっきりしている反応性うつ病の方の場合には、うつ状態の原因となっていることが気になって寝付きが悪いが、中途覚醒はないと訴えることが多いため、主に短時間作用型の睡眠導入剤を用います。

以前、ある短時間作用型の睡眠導入剤が、「この薬を飲んでいるとボケやすいので、飲まない方が良い」と言われた時期がありました。しかし、実際にはこの睡眠導入剤が悪い訳ではないのです。どんな睡眠導入剤でも、飲んだ後に起きていると、その時にとった行動を覚えていないことがあります。具体的には、「電話をかけたらしいが覚えていない」、「たくさん食べたようだが、その記憶がない」、「夜中に起き出して買い物に行ったが、全く覚えていない」。といったことが時々あります。それで「この睡眠導入剤を飲むとボケる」と言われたのですが、こういう現象は他の睡眠導入剤でもみられます。薬が悪いのではなく、飲み方に問題があるのです。睡眠導入剤は飲んだらすぐに布団に入る必要があり、飲んだ後で何かをやってはいけないのです。これを守れば、記憶に残らない行動をとることを防ぐことができます。

この睡眠導入剤の評判が悪くなった理由がもう一つあります。

この睡眠導入剤が強盗に利用されたのです。お客さんを飲みに誘い、途中でこっそりアルコール飲料の中にこの睡眠導入剤を入れて飲ませるのです。アルコールと睡眠導入剤の相互作用で、お客さんは眠ってしまいます。お客さんが寝ている間に、お客さんの財布を取って逃げてしまいます。この睡眠導入剤は短時間作用型ですので、数時間後には目が覚めますが、お客さんが目を覚ました時点では、財布はなく、お客さんを誘った人はいないのです。

そのように悪用されたため、この睡眠導入剤は悪名高くなってしまいましたが、決して悪い睡眠導入剤ではないのです。

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