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けんこう家族 第123号【6】

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統合失調症 第1回 症状の特徴

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

今回から4回にわたって、統合失調症の話をします。

色々な方から、「何故精神科医になったのですか?」と聞かれることがあります。その時には、「待ってました」とばかり、以下の話をすることにしています。

私が大学生だった頃は、入学して2年間は、教養学部で主に一般教養を学びました。その後の4年間が医学の勉強です。5年生(つまり医学部の3年生)の時に、精神科の外来実習がありました。私は精神科外来の初診の患者さんの予診取り(担当医師の診察の前に患者さんの話を聴く)を担当したのです。

患者さんは20歳前後の女子大生でした。診察室に入ってくるなり、「宇宙の寄生生命が私の頭の中に入り込み、指令を送ってきています。私は支配されていて、ロボットのように動かされています。頭の中の寄生生命を取り除いて下さい。」と、早口で話したのです。

「世の中には、こんな患者さんがいるのか」と、とにかく私はびっくりしました。

今なら、幻聴(誰も話していないのに声が聞こえる)があり、幻聴の内容に振り回されて、妄想(訂正不能な誤った考え)も出現している、現実を正確に把握できておらず、自分が病気であるという認識(これを病識と言います)がなく、実際に寄生生命が脳に入りこんでいると思い込み、それを取り除いて欲しいと訴えてきている、と分析できるのですが、当時は勉強不足で皆目見当がつきませんでした。「よくわからないが、これは間違いなく重い脳の病気に違いない」と思いました。そして、精神科では、このような患者さんをどのように治療するのだろうか、薬は効くのだろうか、そもそもこんな重い病気は治るのだろうか、長期的にどんな経過をたどるのだろうか、といったことに興味を持ちました。

一通り私が話を聴いた後で担当の精神科医が診察しました。診察が終わった後、担当医の詳しい説明があるものと思っていたのですが、実習はすぐに終わりそうになりました。私は、担当医に「今の患者さんの診断名は何ですか?」と聞いたのです。先生はびっくりしたような顔をして、「シゾフレニーです。」と、言ったのです。私は、「ああそうですか。シゾフレニーですか。」と言って、それで実習は終わったのですが、実は私は、シゾフレニーというドイツ語が、統合失調症(当時は精神分裂病と呼ばれていました)のことであることを知りませんでした。

この実習の前までは、精神医学には関心がなく、「自分は不器用で外科手術はできそうにないので、内科医になるか」と漠然と思っていたのですが、この患者さんに出会ったことで、私の進路が変わりました。この患者さんに出会わなければ、私は精神科医にはなっていなかったと思います。

実際に精神科医になって、統合失調症の患者さんをみていると、この患者さんのような幻聴や妄想といった症状は、発病直後の急性期によく出現します。これらは派手な症状で、いかにも重い病気という印象を持ちますが、実は薬(抗精神病薬)が良く効きます。しかし、再発が多いという問題があります。次回からは統合失調症の再発についてお話します。

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