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けんこう家族 第124号【7】

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統合失調症 第2回 能動型と受動型

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

前回お話したように、統合失調症の患者さんは、発病直後の急性期に幻聴や妄想といった症状が出ます。これらは派手な症状で、いかにも重い病気という印象を持ちますが、実は精神科の薬(抗精神病薬)が良く効きます。しかし、再発が多いという問題があります。

今回からは統合失調症の再発について、お話し致します。

今回は能動型と受動型のお話しです。症例を2例呈示します。

症例A

Aさんは幻聴と被害妄想で発病した統合失調症の患者さんです。精神科の薬で幻聴と妄想は治まり、事務員として就職しました。張り切って、元気に仕事を始めたのですが、予想以上に仕事量が多く、仕事を始めて1週間後には、この仕事は自分に合わないと思い始めました。次の仕事をさがし、はじめの仕事は1か月で辞めました。次の仕事も、張り切ってはじめたのですが、1週間ほどで仕事に対する不満が募りました。上司にその話をしたところ、上司から「仕事に集中できておらず、ミスが多い。」と、きつく注意されました。その直後に再発。幻聴と妄想が出て、職場に通えなくなり、退職に追い込まれました。

症例B

Bさんも幻聴と妄想で発病した統合失調症の患者さんです。薬で症状は治まり、事務員として就職することができました。はじめは仕事が遅く、与えられた仕事をこなすのが大変でした。しかし、「慣れるまでの辛抱」と、自分に言い聞かせ、休まず黙々と仕事を続けました。仕事は少しずつ早くなっていきました。そして正確でミスがありませんでした。上司から高く評価され、安定した生活を送っていたのです。しかし、Bさんを評価した上司が、Bさんを他の事業所に転勤させ、昇進させることにしたのです。素直なBさんは、上司の指示に従い転勤しました。新しい事業所での仕事内容は、前の事業所とは違っており、わからないことがありました。しかし、昇進して役職者になったことと、周りからは、前の事業所での経験者であるという目でみられることから、わからないことを聞くことができませんでした。そんな状況の中で働いているうちに、再発してしまいました。

いつも現状に不満を持ち、自ら別の環境を求めようとする、症例Aさんのような方を、能動型と呼びます。これに対して、不満を前面に出さず、自らは環境を変えようとしないで、同じ生活を続けていこうとするBさんのような方を受動型と言います。

再発防止のために、能動型の方には、不満があっても仕事をやめないで、今の仕事を地道に続けるよう働きかけます。受動型の方の場合には、本人の仕事ぶりを評価し、現状を維持するよう話し、職場上司が本人が病気であることを知っている場合には、病気の特徴を説明した上で、職場を異動させないよう依頼します。

私は医者になって40年経ちました。大学病院で9年、逓信病院で31年です。他の病院を知りません。働く病院をかえる大変さを考えると、我慢してしまうタイプです。能動型か受動型かと言えば、私は受動型です。

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