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けんこう家族 第125号【5】

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統合失調症 第3回 生活特徴

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道

前回は、統合失調症の患者さんに能動型と受動型があることをお話ししました。今回は再発の状況因について、お話します。

一番よく言われることは、患者さんが薬を勝手にやめてしまった後に再発しやすいということで、それは間違いないのですが、その再発の状況因をまとめると、次のようなことがわかります。統合失調症の再発は、異性にふられて失恋した、配偶者と離婚したなど、異性とのトラブルが原因となること、事業に失敗した、詐欺にあってお金をとられたなど、金銭に関するトラブルが原因となること、人前で恥をかいた、けなされたなど、プライドを傷つけられたことが原因となること、この3つにまとめることができます。これを、「色」、「金」、「メンツ」と呼んでいます。この色、金、メンツを統合失調症の生活特徴と呼んでいますが、ここで重要なのは、生活特徴は再発の状況因となるということだけでなく、逆に、色、金、メンツの問題がうまくいくと病気が良くなり、再発しにくくなるという側面を合わせ持つということなのです。症例を呈示します。

症例P

Pさんは、高校1年の時、幻聴、妄想で発病し、精神科通院治療を開始した患者さんです。当時から物理学を勉強して大学教授になりたいという誇大的な目標がありましたが、大学に合格できず、調子をくずして精神科に半年入院。1年遅れて、不本意ながら就職しました。精神科に通院し、薬物治療は受けていましたが、毎年2月になると調子をくずし、精神科入退院を3回繰り返しました。仕事は慣れるまで随分時間がかかりましたが、慣れるにつれて実力を発揮するようになってきました。ひと通りの仕事を覚え、自分でもやれやれと思っていた時期に、上司から、「この仕事は君が一番良くできる。新しい人でわからないことがあったら、君に聞くようにさせるから教えてやってほしい。」と言われたのです。上司に誉められ、頼りにされたことで、自信をつけ、さらにがんばろうとやる気をみせるようになりました。その後は調子をくずすこともなく、後輩からも頼りにされています。

この患者さんは、メンツの生活特徴を持つ方で、仕事を覚え自信がついた時に、上司に誉められたこと、実際に後輩から頼りにされたことでプライドが保たれ、安定した症例です。安定する前は、大学受験の時期である2月に、毎年のように再発していましたが、仕事で自信をつけてからは、受験シーズンを迎えても、再発しなくなりました。

このように、色、金、メンツという生活特徴は、再発の状況因となる、患者さんの弱点なわけですが、逆にそういう問題がうまくいくと病気が良くなるという側面を合わせ持っているのです。

統合失調症の患者さんの生活特徴を見定め、その問題にうまく対処することで、幻聴や妄想の再発を防ぐことができます。特に、働き盛りの労働者には、メンツの生活特徴を持っている方が多いので、病み上がりの職員が復職する際、職場上司には、そのプライドを傷つけないような接し方、受け入れ方が求められます。

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