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けんこう家族 第126号【6】

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統合失調症 第4回 再発の4条件

精神科部長 亀山 知道

精神科部長
亀山 知道


前回は統合失調症の再発状況についてお話しました。再発予防に抗精神病薬を飲み続けることが大切であること、「色」、「金」、「メンツ」という生活特徴があり、この生活特徴に着目した働きかけが重要であることをお話しました。
たとえば、メンツの生活特徴を持つ患者さんは、メンツを傷つけられると再発するが、メンツが保たれると病状が安定し、再発しにくくなることなどを具体的にお話しました。
このような生活特徴という視点ではなく、別の視点から統合失調症の再発について検討した研究報告があります。
以前、東京逓信病院精神科で、私と一緒に働いていた原田誠一先生は、統合失調症の症状である幻聴(誰も話していないのに声が聞こえる)は、統合失調症に限って出現するまれなものではなく、不安、孤立、過労、不眠という4つの条件が揃うと、誰にでも出現しうる現象であると述べています。たとえば、山で遭難した人や、無菌室で治療を受けている人などに、幻聴が出現することがあります。原田先生は、この不安、孤立、過労、不眠の4つの条件は、統合失調症の再発に深く関わっており、これらの条件を避けることが統合失調症の再発を防ぐ意味で重要であると指摘しています。
実際に、メンツの生活特徴を持つ統合失調症の患者さんが、職場の同僚の前で、上司から叱責されると、患者さんは強い孤独感、孤立感を感じます。夜には昼間叱責されたことを思い出し、眠れないということがしばしば起きます。不安感も強まります。まさに、原田先生の指摘する、不安、孤立、過労、不眠の状態になり、再発の危険性が高まった状況になります。
この状況から抜け出すためには、ストレス解消が必要です。
ストレス解消には、話し相手、相談相手を持つことが一番重要です。話を聞いてもらうだけで気持ちがすっきりすることがありますし、自分の考えを整理できる場合もあります。ストレスがたまると、とかく自分では悪く、悪く考えがちになりますが、客観的なアドバイスをもらうことにより、それほど、深刻に悩む必要はなかったと自分の考えを修正できる場合もあります。その意味で、良き先輩、良き友人、良き家族の存在が大切です。
2番目には、趣味などで気分転換をはかることです。趣味はなんでも良いのですが、ひとりきりで何かをするよりは、複数の仲間でやれることの方が良いように思います。
3番目には、十分な睡眠をとること、さらに、ゆっくり食事をとることが挙げられます。気心の知れた人と話をしながら食事を摂ることは、楽しいですし、ストレス解消の上でもとても良いことです。
統合失調症の患者さんやその他の精神疾患の患者さんだけでなく、どんな方でも、困った時にはひとりで考え込んで、落ち込むのではなく、思い切って、家族、友人、同僚、先輩などに相談することをお勧めします。また、職場上司には、部下が孤立する状況を作らないよう、配慮していただきたいと思っています。

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