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ホーム  眼科  加齢黄斑変性に対する抗VEGF抗体(抗血管新生薬)療法のご紹介
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加齢黄斑変性に対する抗VEGF抗体(抗血管新生薬)療法のご紹介

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)は、網膜の中心部に異常がおきるため、視力がしだいに低下してしまう病気です。わが国では、2004年に登場した光線力学的療法(PDT)に続いて、2008年~2009年にかけて抗VEGF抗体(抗血管新生薬)の注射薬による治療が可能になりました。現在は加齢黄斑変性に対して、光線力学的療法と抗血管新生薬療法の2つの治療法をさまざまに組み合わせて治療を行なうようになりました。ここでは、抗VEGF抗体(抗血管新生薬)による治療法についてご紹介いたします。 

抗VEGF抗体(抗血管新生薬)療法とは?

加齢黄斑変性の原因である脈絡膜の新生血管は、体内の血管内皮増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)という物質の働きによって活発に成長します。抗血管新生薬療法とは、このVEGFに対する抗体(=ある物質の働きを邪魔することで、その物質の作用を抑える物質)を目に注射することで、脈絡膜新生血管の成長をおさえる治療です。加齢黄斑変性は新生血管からの出血や水のもれが原因で網膜がいたみ、視力低下がすすむ病気ですので、新生血管の成長を抑えることができればさらなる視力低下を防ぐことができます。日本では、加齢黄斑変性に対するPDT に続く新しい治療法として、2008年11月と2009年4月に2種類の抗VEGF抗体が認可され、加齢黄斑変性の治療薬として使用可能になりました。現在の加齢黄斑変性に対する治療は、この抗血管新生薬療法とPDTが主流となっています。

抗VEGF抗体(抗血管新生薬)療法の実際

診断

診断には、PDTと同様に、通常の眼底検査に加えて、網膜と脈絡膜に対する蛍光眼底造影検査が必要です。当院で使用している、造影検査器械は、通常の眼底カメラに比べてまぶしさが少なく、なおかつ1回の検査で、網膜と脈絡膜の2種類の造影を同時に撮影することができる、HRA(ハイデルベルグレチナアンギオグラフ)という器械です。そのため、繰り返し造影検査が必要となる黄斑変性症の患者さまでも、まぶしさなどの苦痛が比較的少なく検査を受けていただくことができます。 

診断に基づく適切な治療法の選択

抗血管新生薬療法の適応となるのは、PDTと同様に、網膜の中心に新生血管がある場合です。治療法を選ぶ際には病気の状態、全身的な病気の有無(脳梗塞や脳出血など)、などを考え、よく患者さんと相談させていただいてから、慎重に決めています。

治療の実際

抗血管新生薬療法は、抗VEGF抗体を眼球の中の硝子体(しょうしたい)という場所に注射する方法です。注射する3日前より抗菌剤の点眼を使用し、注射前には眼球とその周囲の皮膚を消毒してから、薬を注射します。また注射後も抗菌剤の点眼を使用していただきます。

注射の頻度・回数は、病気の状態によりさまざまです。治療開始時は多くの場合約4週間ごとに注射を行なう必要がありますが、病状が安定してからは、2か月や3か月ごとに治療を行う方法や病状が再発したら治療を行う方法などがあります。また、抗血管新生薬療法だけでなく、PDTを併用していく方法も行われています。

治療後の注意事項

この治療で最も注意すべきことは、感染症(目のなかに菌が入ること)です。重篤な場合には失明にいたる場合もあるため、注射前後は担当医の指示どおりに、抗菌剤の点眼が必要です。また、注射後に強い眼痛や充血などの症状がでた場合には、直ちに受診していただく必要があります。

他にも国内で行われた試験の結果では、眼圧上昇、視力低下、眼痛、網膜出血、などの副作用が報告されており、また海外では、1種類の抗血管新生薬において、脳卒中の報告がありました。ほかにも、軽いものではしろめの出血や充血(必発です)、重いものでは網膜剥離、硝子体出血などの合併症の可能性があります。

また入院の義務はありませんが、当院では患者さまのご希望があれば入院(1泊)での治療もお受けしております。

抗血管新生薬療法の効果

日本で行われたルセンティスの臨床試験(41名の試験、1ヶ月に1回の注射で計11回の注射治療)の結果では、治療1年後、全ての方で視力が維持され、その中でも治療前に視力が0.1以下であった方の割合は14.6%から治療1年後には7.3%に減少していました。

当院での治療費

保険診療ですが、3割負担の方で1回の注射で20000円~55000円程度の費用がかかります。約4週間に1回の頻度で3回以上の治療が必要になる場合が多いです。高額療養費制度が適用される場合がありますので、詳細は医事課にお尋ねください。

最後に

加齢黄斑変性は、放置すると視力が低下し、日常生活が著しく不自由になる可能性がある病気です。しかし網膜の中心に病気があるということから治療が難しいとされていましたが、2004年にPDTが開始され加齢黄斑変性の治療は大きく変わりました。そしてさらにこの抗血管新生薬療法が開始され、治療法には幅広い選択肢ができました。とくに、この治療法は、視力を改善する可能性があるという点で、期待が大きな治療法です。しかし、一度いたんだ網膜は元に戻すことができないため、網膜の中心部の病気である以上は、間違った過剰な期待はできません。視力の経過については、病状によりさまざまですので、よく主治医と相談しながら治療を決めてゆきましょう。

しかしこの病気も病気の範囲が小さく、網膜がいたむ前のほうがよい視力を保ちやすいため、最近ものがゆがんでいる症状があらわれた患者さまは、放置せずになるべく早めに眼科を受診し、強い視力低下が起きる前に適切な治療をうけられることをお勧めします。

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