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心房細動

はじめに

 心房細動は「不整脈」のうち頻度の高いものの一つです。高齢化にともない心房細動患者が増え脳梗塞の原因にもなることから注目され、一般メディアでも取り上げられています。ここでは心房細動について、わかりやすい解説を試みます。

心房細動とは

 心臓は左右の心房と心室からなり、正常では心房収縮に引き続いて刺激が心室へ伝わって心室が収縮し、1:1対応で協調的に働いています。心房細動では、文字通り心房は痙攣したように早く細かく動いてほぼ収縮しない状態で、刺激の一部が心室へ伝わって心室が収縮します。心室細動のように突然死につながる悪性の不整脈ではありませんが、刺激の伝わり方によっては心拍が速くなりすぎたり、心不全増悪の原因になったり、心房内の血流が遅くなることで左心房の一部の左心耳という場所に小さな血栓を生じ、これが血流にのって移動し頭の血管でつまって脳梗塞の原因になるなど、やっかいな不整脈と言えます。

心房細動の診断

 心房細動は心電図で診断できます。心電図上QRS波と呼ばれる心室の収縮を示す波の間隔が不規則で、その間の基線に心房収縮を示すP波と呼ばれる波がなく、かわりに細かい動揺が見られるのが特徴です。
 心房細動と診断された場合には、さらに心臓弁膜症の有無や心室収縮の評価のための心エコー検査、心拍数や不整脈の頻度の評価などのためのホルタ―心電図(24時間心電図)などが必要になります。

心房細動の心電図
心房細動の心電図

心房細動の自然歴および症状

 心房細動は年齢とともに増加し、欧米のデータでは80歳では一般人口の約10%が心房細動を発症しているとされています。一般に発症早期には心房細動になったり正常の脈に戻ったりを繰り返しますが(発作性心房細動)、次第に心房細動の割合が増え、やがて心房細動で固定すると考えられます(持続性あるいは慢性心房細動)。
 心房細動の症状はさまざまで心房細動発作にともなって救急車で来院するほど動悸症状が強い患者さんがいる一方、約40%の患者さんでははっきりした症状がなく、健診での心電図で初めて指摘されることも珍しくありません。

心房細動の予防

 心房細動発症のリスク因子として、年齢、高血圧、心臓弁膜症、心不全、糖尿病、甲状腺機能亢進症、肥満、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、アルコール摂取、高レベルの耐久トレーニングなどが知られています。
 多量飲酒の翌朝におこる発作性心房細動はHappy Holiday Syndromeと呼ばれます。
肥満、アルコール摂取、高血圧などはコントロール可能で、心房細動予防のためにこれらの管理が重要です。

心房細動の治療

 心房細動の治療は2つに分けて考えます。

1.脳梗塞の予防

 心房細動は脳梗塞の原因となるため、多くの場合脳梗塞の予防のために抗凝固薬と呼ばれる血液を固まりにくくする薬の服用が勧められます。心房細動以外に脳梗塞のリスクとなる因子(年齢65歳以上、高血圧、糖尿病、脳梗塞の既往、心不全など)が一つでもある場合は抗凝固薬の服用を検討します。ただし出血など副作用の可能性もあり、医師とよく相談し、注意点を理解した上で服用開始することが大切です。

2.心房細動そのものに対する治療

 心房細動を正常なリズムに戻すことを目指すリズムコントロールと、心房細動のままで心拍数のコントロールを目指すレートコントロールの2つの方針があります。
 リズムコントロールでは、電気的除細動、抗不整脈薬投与、カテーテルアブレーションなどが行われます。レートコントロールでは、心拍数をコントロールする薬で経過観察します。理論上リズムコントロールで心房細動をなおすことができればより良いと考えられますが、抗不整脈薬の使用は副作用の可能性もあり、レートコントロールに比べて生命予後の改善効果が証明されているわけではありません。
 近年カテーテルアブレーションが多く行われるようになっています。これはアブレーション治療用のカテーテルを、太ももの付け根から血管を通じて心臓の中まで進めて行う手術的な治療法です。比較的年齢が若く症状の強い発作性心房細動の患者さんが最も良い適応で、逆に心房細動の病歴が長く症状の乏しい高齢患者さんには勧められないと考えられますが、技術の進歩にともない適応は拡大方向にあるようです。
 治療については、専門的でわかりにくい部分も多く専門医とよく相談し、納得した上で決定することが大切です。

【この記事は「通信文化68号(2017年11月号)」(公益社団法人 通信文化協会発行)に掲載されたものです】

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