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ホーム  診療科のご案内  呼吸器内科  間質性肺炎
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間質性肺炎

間質性肺炎とは

 間質性肺炎は語尾に肺炎が付きますが、肺炎とはまったく異なる病気です。肺という臓器をコップにたとえると、コップの中で起こる病気が肺炎で、コップ自身が侵される病気が間質性肺炎です。間質性肺炎の方がより広い範囲で病気が起こり、息切れなどの症状が強くなります。治療もコップの中を洗えば済む肺炎に比べ、コップ自身の修繕が必要な間質性肺炎は一般的に難治性です。

間質性肺炎の分類

 間質性肺炎は、①発病の経過 ②原因 ③病気により変化した肺の形態 と大きく3つの視点で分類されます(図表1)。

①発病の経過

 発病の経過は、病気の進行の速度から「急性」「慢性」の2つに分けます。急性間質性肺炎は数日から数週の単位で急速に進行し、慢性間質性肺炎は数か月から数年の単位でゆっくり進行します。慢性間質性肺炎が多数を占めます。

②原因

 原因は多くの場合、特定できません。原因不明という意味で「特発性」という言葉を使い、原因不明の間質性肺炎を「特発性間質性肺炎」と呼びます。原因が推測されるもので最も多いのは、関節リウマチなど膠原病による間質性肺炎です。他の原因として、抗がん剤や漢方薬などの薬剤、カビ・羽毛・石材・アスベスト・超硬合金などを吸入した場合がありますが、これらの場合は間質性肺炎という病名ではなく、原因に即した病名を使います。薬が原因なら薬剤性肺障害、カビや羽毛へのアレルギーが原因なら過敏性肺炎、職業性の粉塵が原因なら塵肺、石綿肺、超硬合金肺などです。そのため、厳密には間質性肺炎には含まれません。また、喫煙は間質性肺炎を進行させます。

③変化した肺の形態

 病気により変化した肺の形態は、「通常型」、「非特異性」、「器質化肺炎」が代表的な形で全部で6つに分けます。この中では「通常型」が多数を占めます。

図表1 間質性肺炎の3つの分類 
1. 発病の経過
急性数日から数週間単位、少数
慢性数か月から数年単位、多数
2. 原 因
特発性原因不明、多数
膠原病性関節リウマチなど膠原病に合併、少数
その他薬剤、カビ・羽毛・石材・アスベスト・超硬合金などの吸入、少数
3. 病気により変化した肺の形態
通常型50-60%
非特異性10-20%
その他器質化肺炎など、まれ
※慢性、特発性、通常型の間質性肺炎は「特発性肺線維症」と呼ばれ、間質性肺炎の多数を占めます

 間質性肺炎はこの3つの分類により細分化され、症状、経過、治療が異なります。このなかで「慢性」、「特発性」、「通常型」の間質性肺炎の患者が多数を占めており、このグループを「特発性肺線維症」と呼びます。

間質性肺炎の症状

 症状は息切れと咳です。息切れは最初、階段の上りや荷物を持った時のみに感じられますが、病気が進行すると部屋の中の移動や服の着脱でも起こります。少しずつ進みますので、意外に本人は軽視している場合があります。一般に咳は痰を伴いません。しかし、実際に間質性肺炎として受診される方の多くは無症状で、胸部のレントゲンやCTの異常が受診の動機となっています。

間質性肺炎の診断

 間質性肺炎の診断に際し、前述の3つの分類を行い、さらに重症度や活動性(安定度)も評価します。診断にはレントゲン、CTといった画像検査が重要です。胸部レントゲンでは肺が縮小し、肺の下側がうっすら白くなります。CT検査が診断の中心となります。CTにより間質性肺炎の有無から、「通常型」や「非特異性」などの形の分類、重症度など多くの情報が得られます(図表2)。さらにKL-6、SP-Dという採血項目で病気の活動性を評価し、呼吸機能検査の肺活量、肺拡散能や血液中の酸素濃度の低下の程度で病気の重症度を評価します。また、補助的に行う検査として気管支鏡を使って行う気管支肺胞洗浄、肺生検があります。肺生検には、さらに大きな材料を採取する目的で手術による外科的肺生検もまれに行われます。また、レントゲンやCTの時間経過での変化を観察し、病気の進行速度を知ることも重要です。

図表2 CT画像 上:「通常型」の間質性肺炎 下:正常
図表2 CT画像  上:「通常型」の間質性肺炎  下:正常
矢印:肺の外側、特に背中側(図の下側)に沿って白い薄い壁を持つ穴が並び、蜂の巣のように見えます

間質性肺炎の治療

 特発性肺線維症はこれまで有効な治療法がなく、酸素が欠乏する段階になると自宅で酸素を投与する在宅酸素療法を行うくらいでした。最近、ピレスパやオフェブという薬が発見され、少しずつ治療が行われ始めました。ただし、薬の効果は進行を遅くすることに留まります。数年に及ぶ長期間の服用が必要となりますが、副作用や薬剤費が高額であり、全ての患者さんに使用している状況ではありません。喫煙は間質性肺炎を悪化させること、肺がんの合併を増すことから、ただちに禁煙することが重要です。また、特発性肺線維症の急性増悪時(後述)、急性間質性肺炎、器質化肺炎という形の間質性肺炎にはステロイド剤や免疫抑制剤を使用します。

間質性肺炎の予後と療養

 特発性肺線維症は一般的に数か月から数年単位で少しずつ進行し、息切れが増します。さらに、感冒、手術、大怪我など、体に過度のストレスがかかった際、数日の単位で急激に病気が進行し、突然の激しい息切れや発熱が出ることがあります。この状態を急性増悪と呼び、治療は困難であり、特発性肺線維症で亡くなる方の40%程度を占めます。また、肺がんの合併も多く、10%程度の方が肺がんで亡くなります。特発性肺線維症の方の場合、特発性肺線維症のために手術、抗がん剤投与、放射線照射のいずれにも制限が生じ、肺がんの治療に難渋します。特発性肺線維症の方は、無理のない日常生活を心がけ、感冒には特に注意を払い、予防やかかった際には安静、早期の病院受診が重要です。また、肺がんの予防のための禁煙や早期発見のための定期的CT検査の施行も重要です。

参考文献

1)日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎診断と治療の手引き. 南江堂, 東京,2004.
2)難病情報センター 特発性間質性肺炎, http://www.nanbyou.or.jp/entry/156,(2017.12.11時点)別ウィンドウで表示します。

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