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ホーム  診療科のご案内  神経内科  多発性硬化症
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多発性硬化症

多発性硬化症とは

 多発性硬化症は中枢神経の代表的な脱髄疾患の一つです。神経細胞は電気活動を伝える長い電線のような構造(軸索といいます)を持っています。生活の中で我々が使う電線はショートしないように絶縁体で覆われていますが、同じように神経の軸索も髄鞘(ずいしょう)という成分で覆われています。この髄鞘が壊れて中の軸索がむき出しになってしまい、機能が低下するのが脱髄疾患です。なぜこの脱髄が起きるかについて、根本的な原因は不明とされていますが、本来は人間の体を外敵から守ってくれるはずの免疫機能の異常が関連していると言われています。多発性硬化症では脱髄がまだら状に脳や脊髄のあちこちに生じることで様々な症状が出現します。
 なお、多発性硬化症には視神経脊髄炎という類縁の病気があり、こちらは主に目の神経(視神経)と脊髄に脱髄病変を作ることが知られています。

多発性硬化症の特徴

年齢と性別

 多発性硬化症は、発症しやすい年齢帯や性別が知られています。若い成人に発症することが多く、平均発症年齢は30歳前後です。5歳以下の発症はまれで、また60歳以上で発症することも少ないです。性別については女性が多く、男女比は1:2~3程度です。視神経脊髄炎は多発性硬化症よりも高齢で発症する割合が多いとされています。

症状

 多発性硬化症の症状は病変が脳や脊髄のどこに生じるかによって大きく変わります。視神経に病変が生じると視力が下がったり、視野が欠けたりします。大脳の病変では手足の脱力や感覚の異常が生じますが、場所によっては特に症状を生じないこともあります。脳幹という脳の奥の部位に病変があれば、ものが二重に見える、顔が麻痺するなどといった症状がみられ、脊髄に病変が出現すれば手や足のしびれや脱力、排尿・排便の問題などが生じます。同じ病名でも人によって症状が異なることが多い、多彩な症状を起こしうる病気です。多発性硬化症は神経内科で扱う病気ですが、目の症状から始まる場合、多くの方は眼科を受診することが診断のきっかけとなります。

多発性硬化症の診断

写真:脱随病変画像
写真:斑状に白く写っている部分が「脱髄班」です

 まずは問診と診察によってどのような症状があるか、客観的に見て脳や脊髄のどの部位に問題がありそうかを見極めます。画像検査ではMRIが非常に有用で、多発性硬化症に特徴的な脱髄病変があるかどうかを確認します(写真)。多発性硬化症ではその名の通り脱髄病変が多発すること、また時間をおいて繰り返すことが特徴であり(専門的には「時間的・空間的に多発する」と言います)、画像検査でもその所見があるかどうかがポイントとなります。また脳や脊髄の領域に脱髄があれば、その周りを満たす髄液という液体内に異常が現れるので、髄液検査も必要となります。視神経に病変が生じた場合には、眼科での診察が重要となります。

多発性硬化症の治療

 多発性硬化症の治療は神経内科の領域でも特に近年進歩が著しい分野です。
 症状が出てすぐの時期(急性期)は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)という免疫を抑制する薬の点滴投与を行うことが一般的です。またリハビリテーションも重要です。多発性硬化症は上で述べた通り繰り返す(再発する)ことが特徴の病気ですが、近年は再発予防のための薬が多く登場しており、患者さんごとの選択がなされるようになっています。症状の進行や、女性の場合は将来的な妊娠希望などを考慮して薬を選択します。また多発性硬化症は厚生労働省の特定疾患に指定されており、申請して認められれば治療費の助成を受けることが可能となります。

参考文献

1)Noseworthy JH, et al. N Engl J Med 2000;343:938-952.
2)難病情報センターホームページ http://www.nanbyou.or.jp/entry/3806,(2017.12時点)別ウィンドウで表示します。


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