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多系統萎縮症

多系統萎縮症とは

 多系統萎縮症とは、神経系の複数の系統(小脳、大脳基底核、自律神経など)がおかされる疾患で、3つのタイプがあります。小脳や脳幹が萎縮し、歩行時にふらついたり呂律がまわらなくなる小脳失調型、大脳基底核が主に障害され、パーキンソン病と同じような動作緩慢、歩行障害を呈する大脳基底核型、もうひとつは自律神経が主に障害され起立性低血圧や発汗障害、性機能障害などがみられる自律神経型です。
 以前は、これらのタイプは別の疾患と考えられていましたが、どのタイプも脳の細胞の中にαシヌクレインという物質がたまりGCIとよばれる構造物が出現することが判明し、同じ病気の症状の出方にすぎないことが分かってきて、現在では多系統萎縮症と総称され脊髄小脳変性症という疾患群の一つに分類されています。遺伝性はなく、原因については現在研究が進められているところです。中高年に発症することが多く、パーキンソン病よりは頻度が少ないですが進行は比較的早いとされています。症状が進んでくると3つのどのタイプも他のタイプの症状を合併するようになり、文字通り多系統の障害に至ります。

多系統萎縮症の診断

 診断は病歴や神経症状の診察が重要ですが、小脳失調型や大脳基底核型はMRIで特徴的な異常がみられるため必ず行います。小脳失調型では小脳や脳幹の萎縮がみられ、脳幹に十字型の模様が現れたり、脳幹と小脳を結ぶ部位にも異常がみられます(図1、2)。大脳基底核型では、初期には脳幹や小脳の異常はみられませんが、大脳基底核とくに被殻とよばれる部位に特徴的な異常がみられます(図3)。大脳基底核型は初期にはパーキンソン病との区別がしばしば難しいですが、パーキンソン病で心臓の交感神経の働きが低下しMIBG心筋シンチという検査で異常が出るのに対して、多系統萎縮症では異常がでないことが知られています。

図1 小脳失調型でみられる小脳の萎縮

図1   小脳失調型でみられる
小脳の萎縮(オレンジの矢印)、
脳幹の萎縮と十字模様(赤矢印)

図2 小脳失調型の脳幹萎縮

図2   小脳失調型の脳幹萎縮
(脳を側面からみた断面)

図3 大脳基底核型では大脳基底核の一つである被殻が黒っぽくみえる

図3   大脳基底核型では
大脳基底核の一つである
被殻が黒っぽくみえます

多系統萎縮症の治療

 この病気は進行性の疾患ですが、現在のところ、根本的に病気を治す、あるいは進行を遅くする治療はありません。大脳基底核型ではパーキンソン病と似たような症状がでるため、パーキンソン病で用いられる薬剤がある程度有効な場合があります。患者さんにおすすめしているのは、定期的にきちんと病状を評価し、歩行訓練などのリハビリをしっかり行うことです。多系統萎縮症に限りませんが、神経疾患の多くはリハビリを継続することで、症状の悪化を遅らせることができます。またこの疾患では、喉仏にある声帯を動かす筋肉が麻痺してくることが多く、麻痺が悪化してくると窒息しますので、患者さんの同意のもと気管切開を行うこともあります。また嚥下が困難になった場合は胃瘻を造設し栄養状態の改善をはかる場合もあります。
 いわゆる神経難病の一つであり、病状が進んできた場合には特定疾患を申請して社会的な支援を受けられるようにします。また介護保険なども利用しながら療養環境を整備することも重要です。当院では、多系統萎縮症の患者さんを多数診療しており、病期に合わせた適切な支援をするようにしております。また肺炎や転倒などのトラブルにも必ず対応して患者さんやご家族の力になれるよう努めています。

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