10月に入り、だいぶ秋らしい季節となってきました。
秋といえば「食欲の秋」。しかし、食べ物がおいしい季節だからといって、ついつい食べ過ぎてしまうといつのまにか体重が増えてしまい、肥満につながってしまうおそれがあるので注意が必要です。
「肥満」は一般的には、からだが太っている状態をいいますが、医学的には、体の中に脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいいます。日本肥満学会によりますと、身長と体重から計算されるBMI(Body Mass Index)という数値があり、BMI(体格指数)= 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)で算出される数値が、「25」以上を肥満としています。
[表1参照]
BMI | 判定結果 |
---|---|
18.5未満 | 低体重(やせている) |
18.5以上25未満 | 標準体重 |
25以上 | 肥満 |
では、このBMIだけに気をつければよいのかというと、これだけではなく、からだにどれくらい脂肪があるのか、つまり体脂肪率も評価することが重要です。体脂肪率は直接測定することができないため、からだの一部から電流を流して間接的に測定する方法が普及しています。「脂肪計つき体重計」がそれです。体脂肪率が男性で25%以上、女性で30%以上の場合肥満と判定されます。たとえBMIの判定結果が標準体重であっても、体脂肪率が高ければ肥満ということになり、これは「隠れ肥満」といわれています。
糖尿病は単に尿に糖が出るだけの病気ではありません。血糖値が高い状態が続き、ほうっておくと全身の血管がもろくなったり、神経の機能がおかされたりする合併症が起きやすくなります。糖尿病が怖いのは、このような合併症により失明や足の切断を余儀なくされるケースがあるということです。次の3つが糖尿病の三大合併症といわれています。
肥満の人は、高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化といったいわゆる生活習慣病になる可能性が、通常の人より2倍~5倍高いといわれています。日本人の三大死因は、「がん」、「心疾患(心筋梗塞など)」、「脳血管疾患(脳梗塞など)」ですが、このうち「心疾患」と「脳血管疾患」は、動脈硬化や高血圧などが主な危険因子となっており、肥満が大きく関わっています。 厚生労働省によりますと、肥満の主な要因は、「食べ過ぎ」と「運動不足」とされています。
「食べ過ぎ」とは、言い換えれば「エネルギーのとりすぎ」です。からだで使われるエネルギー量よりも、入ってくるエネルギー量のほうが多いと、残った分が体脂肪としてからだに貯まり、肥満につながります。1日に必要なエネルギーは、次の計算式で算出できます。これにより算出されたカロリーを基準に、毎日の食事に注意していくことが大切です。
1日に必要なエネルギー(kcal)
= 標準体重(kg)× 標準体重1kg当たりの1日に必要なエネルギー[表2参照]
※ 標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)× 22(BMI標準値)
活動別/標準体重1kg当たりの1日に必要なエネルギー | |
---|---|
軽労作(デスクワークが主な人) | 25~30kcal |
普通の労作(立ち仕事の多い職業) | 30~35kcal |
重い労作(力仕事の多い職業) | 35~ |
(日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド2008~2009)
肥満の予防といえば、食事制限が重視されがちですが、からだで使われるエネルギー量を増やすため運動も大切です。効果的な運動として次の2種類があります。
いきなり激しい運動を行うと怪我のもとにもなりますので、はじめは無理をせず、少しずつ始めるようにしましょう。
ほかにも、ストレス解消や規則正しい生活に気をつけることも重要です。
逓信病院ウェブサイトでも「肥満」に関連する健康情報をご紹介しています。
【参考リンク】
広島逓信病院 「腹持ちの良いダイエット食について」