11月に入りました。今年は残暑が長かったせいか急に寒くなった感じがします。
これから日に日に寒さがましてきますが、この時期、血圧が高めの人は注意が必要です。
寒くなると、私たちのからだは体温を逃がさないように血管が収縮するので、血圧が上がりやすくなります。血圧が高めの人は、寒さを感じたり冷たい水などにさわったりしたときなどは、血圧がさらに高くなり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす恐れがありますので、次のような状況では特に注意が必要です。
「血圧」とは、血液が血管を流れるときに血管の内壁にかける圧力のことをいいます。ポンプの働きをしている心臓の筋肉が縮んだときの数値を最大血圧(収縮期血圧)、ゆるんだときの数値を最小血圧(拡張期血圧)といいます。
そして「高血圧」とは、血圧が継続して高い状態をいいます。最大血圧が140mmHg(ミリメートルエイチジー又はミリメートル水銀柱)以上、あるいは最小血圧が90mmHg以上の状態を高血圧をいいます。
血圧が高い状態が続くと、血管がもろくなったり、動脈硬化の進行が早まったりし、心筋梗塞、狭心症などの、虚血性心臓病の発症頻度が高くなることが知られています。
また、高血圧によって心臓が肥大することがあります。心臓が肥大すると全身に血液を送り出すポンプの作用が次第に弱くなり、心不全を起こしやすくなります。
高血圧は「沈黙の殺人者(サイレントキラー)」ともいわれており、自覚症状がないまま進行していきますので、健康診断などの検診を受けたり、定期的に病院や家庭において血圧を測るようにしましょう。
高血圧の約90%は、その原因がはっきりわからない「本能性高血圧」と呼ばれるものです。これには「遺伝的因子」と「環境的因子」が深く関与していると考えられています。
両親が高血圧の場合、その子供は約50%の確立で高血圧になるといわれています。このような「遺伝的因子」は避けることができません。しかし、「環境的因子」については、生活習慣を改善することで、高血圧を予防またはその進行を遅らせることができます。
日常生活における高血圧の予防策をご紹介しますので、遺伝的因子を持つ可能性のある方はもちろん、そうでない方も生活習慣の改善に心がけ、これからの時期を乗り切りましょう。
逓信病院ウェブサイトでも「高血圧」をはじめ、寒い時期に注意が必要な病気に関する健康情報をご紹介しています。
【参考リンク】
東京逓信病院 「冬場に多い循環器疾患」