今月は自分のお子さまや知り合いのお子さまなどが卒業式を迎えるという方も多いのではないでしょうか。
春が近づき暖かくなってくると、朝なかなか起きられないお子さまもいらっしゃるかと思います。
寝起きが悪く、一日中ごろごろして、夕方になって元気になり、逆に夜には寝付けないという場合、単なる怠けではなく、もしかしたら病気かもしれません。
今回は、子どもに多いと言われる起立性調節障害という病気について紹介します。
起立性調節障害の症状としては、立ちくらみ・めまい・ふらつき、頭痛、気分不良、倦怠感などの他、動悸、腹痛、食欲不振、朝起きられない、夜寝つけないことや、時には失神発作を起こしてしまうこともあります。
多彩な症状のため診断がつかず治療が遅れることがあり、また本人の訴えでしか判断できない症状が多く、午後や夜には元気になることから怠けや学校嫌いと捉えられる場合もあります。
起立性調節障害は、自律神経の調節の乱れによって起こります。
自律神経活動には24時間周期のリズムがあり、早朝になると交感神経活動が増えて身体を活性化し、夜には副交感神経活動が高まり身体を休養させるといった働きが正常です。
ところが、起立性調節障害では、午前中に交感神経が活性化せず5~6時間以上も後ろにずれ込んできます。
このため、朝に身体が休止しているような状態になり、その一方で、深夜になっても交感神経の活動性が下がってこないので、夜は身体が元気になり寝つきが悪くなります。
起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、約5~10%が発症すると言われています。
自律神経の乱れは、季節や気候の変化、生活リズムの乱れ、心理的・社会的ストレス等の複合的な原因で発症しますが、思春期の時期の子どもは特に、学校においての人間関係や急激な身体の成長と変化など、特有の心理的ストレスにさらされることが多く、また自立心が育ちきっていない未熟さゆえに、心身に現れるさまざまな症状に負けてしまいがちです。
症状から起立性調節障害が疑われ診療を希望される場合は、医師の診察を受け適切な処置、アドバイスをもらいましょう。
逓信病院ウェブサイトでも「起立性調節障害」に関連する健康情報をご紹介しています。
ぜひご覧ください。
【参考リンク】
東京逓信病院 「学童期に多い『起立性調節障害』」