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けんこう家族 第105号【6】

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認知症の老老介護―続編 ショートステイの利用 第3回

精神科部長 亀山 知道

精神科
部長
亀山 知道

 11年前から、母が認知症の父をひとりで介護しています。両親とも83歳です。母の心身のストレスが大きいため、月曜日から金曜日までの週5日間は、父をデイサービスに通わせています。デイサービスのない土曜日と日曜日は、叔母(81歳の母の妹)、姉夫婦、私が両親の家に行って、母を手伝っています。これで昼間は何とか持っています。

 問題は、父と母がふたりきりになる夜です。認知症の老人は、歩き回ったり(徘徊)、夜中寝ないで色々な行動をして騒いだり(夜間せん妄)することがよくあります。そしてほとんどの場合、翌朝には、前夜自分が何をしたかを覚えていません。父の場合には、はじめの頃はなかったのですが、途中から時々、徘徊や夜間せん妄を起こすようになってきました。玄関のドアを、家の中からでも鍵で開け閉めするように改造し、母だけに鍵を持たせました。それで、父が徘徊して外に出ていく心配はなくなりました。しかし、夜中に起き出して、室内にある非常ベルを押したこともありました。湯船に水を溜めて、水風呂に入ろうとしたこともありました。夜中に父が起き出すと、何をするかわからないため、母はゆっくり休むことができません。騒がずに寝た日でも、父は4時頃にはパッチリ目を覚まし、母を起こします。母は慢性的な寝不足状態になり、心臓発作(胸痛の発作と不整脈の発作)を起こすようになりました。

 そのため、短期間、泊まりのサービスをしてくれるショートステイを利用することにしました。実際には、父を月1回、3泊4日のショートステイに行かせたり、2週間に1回の頻度で、2泊3日のショートステイをお願いしたりしました。ショートステイの間、母はゆっくり眠ることができて助かったのですが、しかし、ショートステイは成功しませんでした。ショートステイから帰ってきた父の具合が、数日間良くないのです。元気がなくて動きが鈍かったり、便秘がひどくて排便がなかったりということが、数日間続くのです。デイサービスに行ったりしているうちに、ようやくもとの父に戻るのですが、それまでの介護が余計大変でした。おまけに、大震災後、ショートステイ先で計画停電が行なわれたこともあって、中止せざるをえませんでした。
 客観的には、毎晩十分睡眠を取ることができない母にとって、父の介護は限界にきていましたが、母は父を入院させる決断も、施設に入れる決断もできず、母の心臓発作の頻度が増すばかりでした。しかし、結局我々家族は、母が音をあげるまで、黙って待つしかありませんでした。

 さて、父はなぜショートステイで具合が悪くなってしまったのでしょう。結婚後61年間、父は毎晩母の横に寝ていましたので、私は父がその変化に適応できなかったのだろうと思っています。私自身は父と違い、ショートステイに適応できないことはないでしょう。

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