裂孔原性網膜剥離の治療として行います。網膜裂孔がある場所の強膜(きょうまく)を内側にへこませて、網膜裂孔と眼球壁との距離を近づけます。その状態で網膜冷凍凝固術や網膜光凝固術を行って、網膜に凝固を作ると周囲の細胞から糊の成分が出てきて網膜を網膜色素上皮にくっつけます。糊の成分が完全に固まるまでに約2週間かかりますので、その間網膜と色素上皮を近づけておくためと、網膜を内側に引っ張る力を弱めるために、半永久的に強膜が内側にへこむように、シリコンでできたバンドのようなものを強膜に縫い付けます(図1)。
手術終了時には、網膜裂孔のある部分が内側にへこんだいびつな形の眼球になります(図2)。
眼球表面の形は手術前と同じく丸いままですので、違和感はほとんどありません。
硝子体手術と異なり、手術後うつ伏せの姿勢を取る必要はほとんどありません。
図1 強膜バックリング手術の外観
図2 強膜バックリング手術後の眼球断面
黒くV字形になっているところ(2ヵ所)が網膜裂孔の部分。眼球壁を内側にへこませて、網膜裂孔を眼球壁が盛り上がった部分に乗せる。
手術費用だけで3割負担の方の自己負担分は約11万円です。そのほかに入院費・薬剤費・麻酔費用(全身麻酔の場合)・その他の費用がかかります。