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けんこう家族 第132号【3】

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新しい気管支鏡機器

原 啓

呼吸器内科 主任医長
原 啓


気管支鏡は口から気管、気管支と進め、肺の組織を採取するために使用します。胃カメラでは病変が胃のどこにあっても、病変を直接、目視し組織を採取することができますが、気管支鏡ではそうはいきません。まず肺の特定の場所に到達するには気管支という通路を複雑に分岐しなければいけません。気管と気管支は木の幹と枝にたとえることができ、気管という幹に始まり、左右の気管支という枝に分れ、さらに細かく分れ、約20分岐で肺に到達します。分岐を間違えず20回選択して、ようやく目的の肺に到達できるのです。実際は肺に近づくほど気管支の径が細くなるため、気管支鏡では5から8回の分岐しか進めず、その先は細い補助具を伸ばして、肺の組織を採取します。補助具は直線状の硬い金属のため、その先の気管支の選択はできず、行き先任せになってしまいます。つまり気管支鏡では到達しやすい場所の肺組織しか採取できないことになります。さらに補助具が病変にあたっていることを目視できないため、レントゲンの透視を利用し確認しています。透視の画像は二次元で奥行きがわからないことや画像が不鮮明なため病変にあたっているかどうか不確かです。こうした気管支鏡の欠点のために肺の組織の採取には限界があります。

肺癌の治療はこの二十年間で飛躍的に進歩しています。現在、肺癌の治療を適切に行うためには癌のタンパクや遺伝子の情報が必須で、そのためには癌の組織が大量に必要です。それに伴い肺癌の組織を採取する手段として気管支鏡の重要性が増してきています。

当院では気管支鏡の組織採取の精度を向上させるため、新たに気管支の3D画像を作成するコンピュータ・ソフトと超音波システムを導入致しました。 3D作成ソフトについては、肺を0.5mmきざみで撮影した約600枚のCT画像を元にして仮想の三次元の気管支の画像を作ります。この画像は気管支鏡で見える気管支の画像に一致します。そしてコンピューターに病変の位置を入力すると、地図ソフトのように、自動で病変に至る気管支の径路が示されます。仮想の気管支鏡画像の水先案内に従い、実際の気管支鏡を進めれば、分岐を間違えず、病変採取に適した気管支を選択できます。次に超音波システムは気管支鏡の補助具の先端に超音波の音源がついたもので、レーダのようなものです。音源を気管支に進め、超音波画像に切り替えると気管支の壁に邪魔をされず、周囲の病変の位置がわかります。レーダで自分の位置を中心にして相手の位置がわかるように補助具から病変までの距離が測れ、病変にあたっていることの確認がとれます。これらは従来の気管支鏡の欠点を克服するための機器です。

当科では新しい気管支鏡の機器を使い肺の病変の組織を正確かつ十分な量採取できるよう研鑽に努めております。他施設で気管支鏡が必要と言われた方も是非、外来でご相談ください。

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