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けんこう家族 第137号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.6

光井 洋

消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。今回は食中毒のお話です。正確には、「飲食物の摂取によって感染性の腸炎が複数の人に起きる」のが食中毒ですが、一人に起きた場合も含めてお話しします。

夏場は温度が高いため細菌が増殖しやすく、食中毒が起こりやすい季節です。摂取した食物に含まれる菌が腸管粘膜で増殖して細胞を障害したり、菌の作る毒素が粘膜に炎症を起こしたりします。毒素による炎症の場合は、摂取から腸炎が起きるまでの期間(潜伏期と言います)が短く、数時間くらいで発症します。症状としては、下痢を主として、腹痛・発熱などが見られます。

以下の6種類が代表的な原因菌です。1)カンピロバクター、2)ウェルシュ菌、3)病原性大腸菌、4)サルモネラ、5)黄色ブドウ球菌、6)腸炎ビブリオ。

各原因菌による食中毒の特徴です。カンピロバクターは鶏肉や生レバーに存在し、細菌性腸炎では患者数が最も多く、潜伏期は2から10日間。腸炎が治った後に神経症状が起きることがあります(ギラン・バレー症候群)。ウェルシュ菌は肉や魚介類の調理品、カレー、スープ、肉団子などに含まれ、平均10時間で下痢を起こします。この菌は熱に強く、加熱後も(芽胞という形で)生存し、エンテロトキシンという毒素を産生します。病原性大腸菌は牛や豚の腸管に存在し、潜伏期4から8日で強い腹痛・下痢ときに血便が見られます。この1種であるO-157腸管出血性大腸菌が作るベロ毒素は、赤血球の破壊と腎障害を起こすことが有名です。サルモネラは卵とその調理品に含まれることが多く、潜伏期は数時間から2日程度です。黄色ブドウ球菌は、哺乳類・鳥類に広く分布し、健康人の鼻・のどや腸管にも存在します。エンテロトキシンを産生し、摂食の約3時間後に激しい嘔気・腹痛・下痢を起こします。かつての主な原因は握り飯でしたが、最近は患者数が減ってきました。腸炎ビブリオの原因は、魚介類とその加工品であり、摂食後12時間程度で発症します。菌の種類によって特徴があり、何を食べてどれくらいで症状が出たかを確認することが大事です。

食品は良く加熱

治療についてです。腸炎は自然に治ることも多いですが、下痢が続くと脱水になりますので、その場合は飲水や点滴で水分を補うことが重要になります。下痢を止める薬を飲むことは、かえって菌や毒素の排出を遅くするのでマイナスです。症状が強い場合には、抗生物質の投与が必要になることもありますが、事前に菌の種類を調べるために便の細菌培養検査を行っておくことが望ましいです。

大事なのは予防です。家庭では、手やまな板などをきれいに洗うようにしてください。細菌は熱・温度に敏感ですので、肉・卵・魚介類などの食品は良く加熱し、保存する場合も室温は避け、冷蔵庫での短期間の保存にしましょう。外食では、生ものや生焼けの肉には十分注意してください。

以上、夏の細菌性食中毒のお話でした。暑い盛りですが、皆様お体に気をつけてお過ごしください。

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