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けんこう家族 第149号【5】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.18

光井 洋

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。今回は「睡眠」についてのお話です。睡眠は何のためにあるのでしょうか。脳を休ませる、記憶を定着させる、免疫力を強化する、自律神経・ホルモン分泌を整える、脳細胞の老廃物を除去する、などが知られています。

睡眠不足が積み重なる状態を「睡眠負債」と呼び、体調不良の原因になります。感染症にかかりやすくなります。食欲をおさえるホルモン(レプチン)が減り肥満になります。仕事の能率が低下し、車の運転ミスが増えます。ポジティブな感情が減り、うつや不安な状態に陥りやすくなります。

では、睡眠の長さはどれくらいが最適なのでしょうか。個人差がありますが、全体では7時間程度の人の死亡リスクが最も低いとされています。睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠の組み合わせによるサイクルがあり、1回90分程度が一晩に数回繰り返されます(図)。ノンレム睡眠は脳も体も眠る深いもの。レム睡眠は、体は寝ているが脳は起きている浅い眠りで、夢はこの時期に見ます。記憶の定着や整理、消去などにはどちらの睡眠も必要です。1周期目のノンレム睡眠が最も深く、細胞の修復を行う成長ホルモンがたくさん分泌される重要な時間帯です。

睡眠サイクル

次に、睡眠と覚醒(目覚め)はどのようにして生じるのでしょうか。我々の全身の細胞には体内時計という仕組みがあり、生理機能をほぼ1日で回すサーカディアンリズムを作ります。このリズムにより体温やホルモン分泌が変わり、睡眠も影響を受けます。夜になり暗くなると、眠りを誘うホルモン(メラトニン)の分泌が増え、逆に明け方になると、目が覚めるように働くホルモン(コルチゾール)の分泌が増加します。このリズムの影響と体の一定性を保とうとする働き(疲労で眠くなるなど)によって睡眠は調節されています。

では、より良い睡眠と覚醒の循環を作るにはどうすればいいでしょうか。まず目覚めたら、朝の光を浴びることが重要です。光は目から脳へ情報を伝え、体内時計をリセットします。あと音楽を聴く、体を動かすなどにより感覚刺激を脳に伝えるようにしましょう。十分睡眠が取れていれば、日中はオレキシンという神経伝達物質が活発に分泌され、覚醒が保てます。夜になったら、眠気が起きた時に寝るのが理想です。寝る直前までスマホやパソコンを見ることやカフェインの摂取は避けましょう。部屋を暗くすること、ラベンダーなどの香りや単調で静かな音楽も役立ちます。

睡眠障害の原因で注意すべきものが睡眠時無呼吸症候群です。肥満の人に多く、睡眠中に舌が気道を塞いで息が苦しくなります。そのため慢性的に眠りが浅く、生活習慣病や突然死の原因になります。夜間に大きないびきをかく、息が止まることがある、などを家族に指摘されたら要注意です。

睡眠イメージ

最後に、眠り薬(睡眠薬)について。最もよく使われているのが、ベンゾジアゼピン系で、神経細胞のギャバ受容体にくっついて眠気を誘います。良く効きますが、止め時が難しいです。次に覚醒物質オレキシンの働きをブロックするもの。さらには睡眠ホルモン(メラトニン)類似の働きをするものなど。できれば睡眠薬なしで眠りたいものですが、必要な場合は内科、精神科の医師に相談してください。皆様が良い睡眠と快適な目覚めで過ごされますように祈ります。


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