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けんこう家族 第120号【2】

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「ダウンセンター」開設に向けて

小児科部長 小野 正恵

小児科部長
小野 正恵

ダウンの生涯サポート体制づくり

ダウン症候群の方の出生から老後まで、一貫して対応できる仕組みはまだ日本にはありませんが、需要は非常に高いので、当院では「ダウンセンター」の開設準備中です。

小児科対象年齢を越えた後、特に思春期以降は中心となって健康管理する医療機関が存在せず、放置されて合併症が生じる例があるのは残念なことです。ダウン症候群の生命予後は以前に比べて飛躍的に改善し、60代以上の方もめずらしくなくなってきました。親御さんだけでケアを考える時代ではなく、社会の一員として、できるだけ健康で充実した人生を送ってもらうために、生涯にわたる健康プランを考え、総合的に対応できるシステムが必要です。

当科では、15歳以上のダウンの方の診療も積極的に行っておりますが、今後は院内の関係部署とさらなる連携を強化しながら、幅広く総合的な対応ができるようシステムを充実していく予定です。当面は小野が中心で担当していますので、ご相談は直接どうぞ。

ダウン症候群とは

現在の日本では新生児600~700人に1人に見られる、21番染色体が過剰になる疾患(体質とも言えます)です。これは生命現象のひとつとして一定の確率で起きることなのですが、多くの例では母親の年齢と相関し、20代での出生確率は1/1000程度ですが、35歳で1/350、40歳で1/85、と増加します。

ダウン症候群は小柄で筋緊張低下と精神運動発達遅滞があり、多くの合併症が知られていますが、症状にはたいへん大きな幅があります。平均的IQは30~59ですが、中には大学を出ている方もいますし、書家や音楽家として活躍されている方もいます。

現在のところは、染色体を修正するような根本的治療の実用化は期待できませんが、合併症をそれぞれ丹念に治療することが重要です。特に低年齢のうちは感染症にかかりやすく、治るのに時間がかかる傾向があります。

年齢毎の問題点と対処法

幼少時は各種の合併症治療と、障害に対する家族の受容が大切です。この時期に、当科では早期療育として藤田弘子氏考案の「ダウン症児の赤ちゃん体操」を取り入れ大変好評です。歩行が可能になれば言語発達と、その後も表1のように年齢や場面に応じて課題は絶え間なく存在します。

栄養面では栄養士が丁寧なサポートを行っています。耳鼻科では聴覚の精査のほか、滲出性中耳炎の治療では鼓膜チューブ留置の手術もお願いしています。昨年7月からダウン症候群に重点を置いた言語聴覚士による摂食指導・言語指導も開始しました。様々な治験も行われていますので、吟味しながら参加し、ご希望の方には実施できるようにしています。

当科ではこのように多職種で連携を図りながら、「ダウンセンター」の一刻も早い開設を目指しています。

表1 年齢ごとの主な課題と対応

時 期 対     応
妊娠期 遺伝カウンセリング(出生前診断をどう考えるかを含む)
乳児期 合併症治療、早期療育の開始、障害受容の心理支援、栄養・摂食指導
幼児期 療育、頸椎や足関節チェック(装具や足底版の必要性検討)、摂食・言語指導、聴覚・視覚の精査、児童扶養手当や障害者手帳の申請など
就学時 就学相談、心理検査(IQ測定)、発達障害への対応
学童期 定期チェック、生活習慣の見直し
思春期 性問題への準備、就労に向けた準備、障害年金申請、急激退行*
成人期以降 生活習慣病の早期発見・早期治療、定期チェック

*急激退行:それまで元気に過ごせていたお子さんが、急に元気がなくなる病態

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