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けんこう家族 第151号【4】

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ネコ先生の『神楽坂通信』Vol.19

院長補佐兼消化器内科 部長
光井 洋


皆様こんにちは。今回は感染予防対策特集ですので、消化器における細菌感染についてお話します。消化器には専門として3つの分野があり、それらは消化管・肝臓・胆膵(胆道+膵臓)になります。では分野別に急性の細菌感染症をあげていきましょう。

まず、消化管では食中毒に当たる感染性腸炎があります。鶏卵から感染するサルモネラ、生焼けの鶏肉によるカンピロバクター、魚介類からの腸炎ビブリオ、煮込みの肉で起きるウェルシュ菌は代表的な腸管の細菌感染症の原因です。次に、大腸では粘膜にへこみができる憩室という状態がしばしばみられます。この憩室に炎症が起きて腹痛・発熱が起きるのが大腸憩室炎で、腸内細菌の増殖により生じます。また、盲腸から突出する虫垂に炎症が起きるのが虫垂炎で、右下腹部の限られた範囲での痛みが特徴的です。

肝臓の細菌感染としては肝膿瘍が知られます。肝臓の中に細菌性の膿が溜まった状態で、高熱が出て肝酵素が上昇します。胆道系の感染や大腸の感染に伴い、菌が肝臓に到達して増える病態で、チューブを入れて膿を体の外に出すこと(ドレナージ)が必要な場合も見られます。他には、肝硬変で腹水が溜まった場合に起きる特殊な細菌性腹膜炎があります。

胆膵では、胆道系の結石による感染症が最も有名です。胆のう結石による胆のう炎、総胆管結石による胆管炎などがこれに当たります。重症になると菌血症を生じて命にかかわる場合もあり、前述のドレナージが緊急で行われます。

細菌感染の治療で最も使われるのは抗生物質です。その効果を高めるためには、原因となる細菌の種類を知ることが必要です。そのために、菌が検出される可能性のある検体を取って、検査室で培養します。検体とは、便、血液、胆汁、腹水などです。急性の感染症の場合、培養結果が出る前に抗生物質の投与を開始することが多いです。結果が出て菌が判明すれば、有効な抗生物質がわかるので、それに応じて投与薬を変えていきます。抗生物質だけで治すことが難しい場合、溜まっている液体があればドレナージを試みます。

ここまでは急性の場合の話ですが、慢性の細菌感染として、胃に住み着くヘリコバクター・ピロリ菌が知られています。これは胃がんや胃潰瘍の原因となるので、抗生物質と制酸剤を組み合わせる内服治療(除菌)を行います。1週間内服することにより9割で菌が退治されます。

感染予防イメージ

以上、消化器における細菌感染症についてのお話でした。急性の感染では、熱や腹痛などの症状で体調不良になることが多いと思います。急性胆管炎などの重症な感染症ではできる限り早く治療を開始しなければいけません。当院では、日中は消化器内科や総合内科で、夜間は当直が診察いたしますので、お具合が悪い場合は速やかに受診してください。


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