シリーズ第3回目は、文京区で開院されています「音羽皮膚科クリニック」の青木 幹泰 院長に東京逓信病院の印象などを当院、地域連携・医療福祉相談室長の宮崎 滋副院長兼内科部長がインタビューに伺った模様を紹介します。
「音羽皮膚科クリニック」
青木 幹泰 院長
経歴
日本大学医学部を卒業後、平成4年にクリニックを開業し、現在に至る。
(宮崎)地域連携室ニュースということで、今回で3回目なのですが、これまでは千代田区医師会の先生にお話をいただいたのですが、今回は、千代田区以外の先生にお話をお伺いすることになりました。先生の方から当院へのご紹介の数が、5本の指に入るぐらいに多いので、当院をご利用いただいている理由とか、更にはもっとこのようなことを行ってくれれば連携が取れるといったお話があると思いますので、ざっくばらんに先生の考えをお話しいただければと思います。
クリニックを開業されて何年になられるのでしょうか。
(青木)平成4年に開業なので、今年で20年目になります。
(宮崎)音羽に開業されたのは何か理由があるのでしょうか。
(青木)大学の日大駿河台病院と本院が板橋の大谷口にあるのですが、その中間点というつもりだったのですが、実は、一番近くて、紹介して良くしていただいているのが逓信病院です。
(宮崎)ありがとうございます。
(青木)ですので逓信病院が母校のような感じで、ほとんど当院の紹介が逓信病院になってしまっています。
(宮崎)実は今日、皮膚科の江藤に青木先生どういうお付き合いですかと聞いたのですが、「いつの間にか随分親しくなったなあ」というお話で、連携のお仕事以外にも個人的なお付き合いがあるとも言っていました。
(青木)逓信病院の皮膚科が主催した会の打ち上げに参加させていただいたりしています。
(宮崎)そもそも逓信病院は、一番近いから便利だからという意味で何人か紹介したら良かったということですか。
(青木)そうです。紹介した皆さんは喜んで帰ってきてとてもすばらしかった。と、おしゃっていました。診療内容も良かったし、ドクターを含めて全てのスタッフの方の対応が良かった。と、本当に悪く言う人は誰もいないです。紹介すると皆さん喜んで帰ってきます。治るし親切にしてもらったということです。
(宮崎)今日、皮膚科の方に聞いてみましたら、先生の所は帯状疱疹とか足の潰瘍などをたくさん紹介してもらえるとのことでしたが、そういう患者さんが多いのですか。
(青木)当院の基本は、ゲートキーパーで、軽症は当院で治してしまいますが、中度症以上と手術が必要な場合、それと皮膚科ではあるけれども他科の併診が必要な場合には、紹介をしています。逓信病院の場合はそれがスムーズで、皮膚科の中に形成外科が組み込まれているので、手術が必要な場合は最初から形成外科ですが、自分で手術が必要かどうか判断に苦しむ場合でも月・水・金の午後であれば皮膚科に紹介してもすぐに形成外科で診ていただけるので、非常にスムーズです。また、帯状疱疹でも頭頚部の場合は入院ですけれども、その場合、眼科と耳鼻科の併診も必要になってくるのですが、その連携もスムーズに行きますし、下腿の発疹で静脈瘤が原因でなっている難治性の皮膚の疾患もあるのですが、その場合は血管外科と非常に良く連携が取れていて、血管外科でストリッピング手術等をやっていただいて、今までぜんぜん治らなかった方が血管外科と連携したおかげで、本当に良くなっています。それはなかなか他院と連携では難しいのですが、逓信病院の場合は直ぐにスムーズに行っていただけるので、本当に良いこと尽くめで、紹介して良かったといつも思っています。手術の技術も形成外科がやっていただくので、技術も高いです。
(宮崎)皮膚科の疾患があって他の疾患があっても何も言わずに後は全部やってくれることが良かったということですね。
(青木)そういうことです。
(宮崎)一番最初の患者さんというのは、良かったということはなかったですか。
(青木)どの患者さんも喜んで帰ってきてくれるので、入院もしかり通院もしかりで皆さん本当に良くしていただくので。
(宮崎)ありがとうございます。皮膚科は多くの所から紹介があるのですが。
(青木)そうだと思いますし、非常に混んでいまして、それが唯一の難点ですね。
江藤先生で2ヶ月待ちですし、他の先生でも1ヶ月待ちですよね。だいたい紹介の場合は急なことが多いので、紹介する枠が無いので、まともな通常枠だと2ヶ月先、1ヶ月先となってしまいますので、そこが一番辛いところですね。
(宮崎)皮膚科ですと2ヶ月も待ったら病態が変わってしまいますよね。
(青木)変わってしまいますね。
(宮崎)迅速に診ていただければ更に良いということですね。
(青木)更に良いですが、絶対的に混んでいるので、なかなか難しいとは思います。
(宮崎)当院に何かこれ以上にやって欲しいことはありますか。
(青木)欲を言えばきりがないですが、土曜日の午前だけでも診療していただければ助かります。
皮膚科で言えば、少し美容関係をやっていただくとありがたい。
(宮崎)美容というと例えばどのようなことでしょうか。
(青木)レーザーをもう少し充実させて、それからピーリングまでやれるかどうかですけれども、レーザーも色々ありますので、本気を出すとレーザーの機械を何台も揃えなければならないですので、全部の疾患に対応するには、数千万円分のレーザーの機械とスペースがいるので、そこまでは厳しいかもしれないですけれども、美容皮膚科のニーズはやはり多いです。
(宮崎)我々の病院も今後の課題かも知れませんけれども、美容のことになると当院は旧国立系の病院ですので、すぐには行かないかも知れません。
(青木)そうですね。
(宮崎)そちらに当院の「診療科のご案内」の冊子がありますが、皮膚科以外にも紹介すことはあるのでしょうか。あまりないですか。
(青木)江藤先生に相談して、最初から血管外科とか整形外科の時もあります。
(宮崎)他に地域医療の面からみて当院との関連はいかがでしょうか。
(青木)私は、医師会では役割は参与と保険部をやっているのですが、一番大きいのは特別養護老人ホームの嘱託医をやっています。ここで入院が必要だけれども非常に認知が激しくて寝たきりの状態の方を入院させてくれる所がほとんど無い。疾患を治すこともあるのですが、それ以前に介護が必要で、いつも困っていて、当院は往診はやっていないのですが、医師会の先生から頼まれて時々往診に行くと入院が必要な場合があるのですが、入院先を探すのが大変。認知症で寝たきりの場合は、逓信病院としても困るのではないかと。
(宮崎)長期間の場合は難しいですが、よくお預かりしているのは、肺炎になったとかの短期間はあります。
(青木)2週間ぐらいですかね。
(宮崎)当院の場合は急性期病院なので、長期間は難しいですね。そういう面で千代田区は一番町やいきいきプラザなどに入所している方が熱を出したとか食べられなくなった場合は、お預かりして良くなったら帰っていただくことはやっております。
先生は小石川医師会ですか。
(青木)小石川医師会です。
(宮崎)小石川医師会の先生方の東京逓信病院の認知度はいかがでしょうか。
(青木)正直言って低いですね。小石川医師会の先生は厚生年金が多いみたいですね。
(宮崎)やはりそうですか。大学病院に紹介される先生はあまりいらっしゃらないですかね。
(青木)順天堂、東京医科歯科、日本医大、あと都立大塚がありますが、その中でも某病院は中々難しいですね。電話で予約を取らないと紹介状だけでは受けてくれませんし、結構先になるので紹介は難しいです。
(宮崎)小石川医師会としての取組みはどのようなものなのでしょうか。
(青木)医師会としては、現状として個々の努力ですかね。訪問看護ステーションを中心としてある程度行なっています。
(宮崎)先日、文京区医師会・小石川医師会にプレゼンテーションをさせていただきましたので、今後またそのような関係を強めていくということでお願いできればと思います。それと最後に当院に望まれることはありますでしょうか。
(青木)混んでいる以外は大満足なので、言いようがないですが、先ほどもお話しましたが、土曜日の午前に診療があればと認知症の寝たきりの受け入れですかね。一度だけ類天疱瘡の患者さんで認知症の患者さんを入院させていただいて、非常に良くなって帰られています。
(宮崎)私どももそこの辺りを今後の課題の一つとして取り組みさせていただきたいと思います。
本日は、お忙しい中ありがとうございました。