シリーズ第13回目は、千代田区にあります「医療法人社団松伯会 山王クリニック」の鈴木 務 院長に東京逓信病院の印象などを当院、地域連携・医療福祉相談室長の寺島 裕夫副院長兼第一外科部長がインタビューに伺った模様を紹介します。
「医療法人社団松伯会 山王クリニック」
鈴木 務 院長
(寺島)先生のご略歴とクリニックの特徴について教えてください。
(鈴木)医師を目指した理由としまして、私が5歳のとき、母が虎の門病院にリウマチ性増帽弁狭窄症の術後肝炎で1年間入院していたため、子供心に将来は自分も虎の門病院で心臓の医師として働く、と物心がついた頃から決めていたようです。平成元年の新潟大学卒です。
その後、大学卒業同窓の大先輩、小柳仁先生が主任教授をしていた東京女子医大日本心臓血圧研究所の内科に入局しました。恩師は東大第三内科出身の細田瑳一先生です。当時は2階から6階までが全て循環器病棟で、各階に40床程度の病床がありました。2階はCCUとカテーテル検査室、3階はカテ入院と弁膜症、4階は大血管、5階は不整脈と分かれていて、6階は小児循環器でした。症例が多く、大変勉強になりました。
(寺島)子供の頃の夢が叶ったわけですね。
(鈴木)はい。10年目の秋に精神科医だった妻がスキルス胃がんで亡くなり、彼女が千葉にある岳父の病院を継ぐ予定でしたので、代わりに自分が跡取りになることにしました。千葉の中村古峡記念病院という親戚の精神科病院で3年間精神科を教わり、平成13年5月から匝瑳市の藤田病院(60床の精神科単科病院)の院長になりました。
(寺島)精神科も勉強され、病院の院長もされるなどすごいですね。
循環器と精神科とが、結びつくものがあるのでしょうか。
(鈴木)精神科を勉強するにつれて、循環器時代に経験した患者さんにも精神疾患(うつ病、不安症、パニック症)が併存していたことに気がつきました。精神科に変わって7-8年経った頃に、もう一度内科を中心にした診療をしたいと思うようになりました。その時うつ病の増加が社会問題になっていたので、都心で働く人々の中に飛び込んでうつ病の早期発見ができるような診療を考えました。
(鈴木)そのようなことから内科と精神科を標榜して、心身両側面の治療を目指して平成18年10月にクリニックを開設しました。千葉の病院には毎週土曜日に行っています。
(寺島)先生は、医師会の理事としてご活躍されていらっしゃいますが、医師会での活動内容や診療でご苦労していることはありますか。
(鈴木)医師会では病診連携担当で、5月と11月の第三月曜に開催される逓信病院と千代田区医師会の病診連携懇話会の幹事をしております。地域医療連携推進委員長の江藤先生と相談して、参加者の人数を増やすよう企画を練っています。各科の先生に初歩的なことでも気軽に質問できる楽しい会です。
(寺島)江藤先生と一緒に千代田区医師会病診連携懇話会を開催していただいて、ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
(鈴木)こちらこそ。診療で苦労しているのは、常に一人で診療しているので、診療内容についての客観的評価がされないことです。木曜午後に血液内科の医師が応援に来てくれますので、意見を聞いています。他院への紹介も積極的に行っています。
(寺島)こちらのクリニックを一人で診療されているのは、大変ですね。先生からは、当院へ多くの患者さんをご紹介いただいており、大変感謝しております。今後も引き続きご紹介をお願いします。東京逓信病院の印象は何かありますか。
(寺島)ありがとうございます。特に専門的な研修は行っていませんが、普段から迅速丁寧に、地域の先生のニーズにお応え出来るよう心がけています。東京逓信病院に望むことはありますか。
(鈴木)大満足で望むことは特にありませんが、強いて言えば、一般の方の逓信病院に対する認知度が低いように感じます。日本郵便病院とかJPホスピタルとか親しみやすい名前だといいと思いますが、そんなことは簡単に実現しないですよね(笑)。
(寺島)確かに逓信というネーミングが「古い」とか「字がよく分からない」などのご意見もあります。今後の課題かも知れませんね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
【今回ご紹介した医療機関】山王クリニック