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白血病

はじめに

昔も今もセンセーショナルに捉えられがちな「白血病」。最近報道等で目にする機会が増え、「白血病ってどんな症状で始まるの?」「治らないの?」と尋ねられることも多くなりました。実は白血病は単一の病気ではありません。今や不治の病でもありません。今回は、名前から実態が想像しにくい「白血病」について解説します。

白血病ってどんな病気?

一言で言えば「血液細胞から発生したがん」です。がん化した細胞を白血病細胞と呼びます。白血病は、病気の進行具合で「急性」と「慢性」に分かれ、さらに白血病細胞の起源により「骨髄性」と「リンパ性」に分類されます。
すなわち、表1のように4種類の白血病が存在します。

表1 白血病の分類とおおよその頻度
分類 急性 慢性
骨髄性 急性骨髄性白血病
10万人に4-5人
慢性骨髄性白血病
100万人に5人
リンパ性 急性リンパ性白血病
10万人に1人(成人)
慢性リンパ性白血病
100万人に3人

血液細胞はどうやって作られる?

人間の骨の中心部には、骨髄というスポンジ状の造血組織があります。骨髄は骨髄液という赤くドロドロした液体で満たされていて、その中に全ての血液細胞の源となる造血幹細胞が含まれています。この造血幹細胞は、全ての血液細胞に分化する能力と同時に、自身を複製する能力もあわせ持っています。

造血幹細胞は、まず骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分化します。骨髄系幹細胞は分化増殖を続け、最終的には白血球(好中球、好酸球、好塩基球、単球)、赤血球、血小板になります。またリンパ系幹細胞は、リンパ球(T細胞やB細胞など)に分化します。各々の系列で完成品となった血液細胞は、骨髄から血液中へ絶えず流れ続けます。

急性白血病とは?

造血幹細胞から種々の血液細胞に分化成熟していく過程のどこかでそれがストップし、特定の異常細胞だけが無制限に増殖し続けてしまう、これが急性白血病です。この異常細胞=白血病細胞は急速に増殖し骨髄を占領してしまうため、正常な血液細胞の産生を抑えてしまいます。そのため重篤な感染症、著しい貧血や出血症状を合併することがあり、放っておくと早期に生命が脅かされます(表2)。

表2 急性白血病の主な初期症状 
原因 症状
白血球減少 長引く発熱、のどの痛みや咳、痰など(感染症)
赤血球減少 いつもと同じ作業がひどく疲れる、動悸や立ちくらみ、息切れなど(貧血)
血小板減少 あざや1-2mm程度の赤い斑点(点状出血)が多発、
少しぶつけただけで内出血がみるみる大きくなる、
歯茎や口の粘膜からじわじわ出血する、血豆ができるなど
その他 おなかが張る(肝臓や脾臓のはれ)、歯茎が腫れる、
首、脇の下や足の付け根にいたみのないしこりを触れる(リンパ性)など

急性骨髄性白血病は、白血球、赤血球、血小板の未熟な細胞ががん化した白血病であり、急性リンパ性白血病はリンパ球の未熟な細胞ががん化した白血病です。

慢性白血病とは?

慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞そのものに異常が起こり、がん化した血液細胞が増加する病気です。急性白血病と異なり、数か月から数年かけて白血球がゆっくり増加し続けます。そのために初期の段階では自覚症状がほとんどありません。また慢性リンパ性白血病は、リンパ球のうちのB細胞ががん化しゆっくり増え続ける病気です。いずれも病気の進行は緩徐で自覚症状に乏しく、健康診断などで白血球数の異常な増加から偶然発見されることが多くなっています。

白血病の原因

白血病の多くは原因不明です。遺伝もしません。しかし大量の放射線被ばくや抗がん剤治療を受けたあとでは白血病が起こりやすくなります。

白血病の診断

前述した症状の出現や採血で異常を認めたら、すぐに骨髄穿刺検査※1を行います。顕微鏡で白血病細胞が増えていることを確認し、どの白血病に該当するのかを検討します。また白血病細胞の表面形質や染色体異常の有無を検索し、診断に役立てます。
※1白血病の診断に必須な検査で外来で行うことができます。骨盤の腸骨(腰のあたりの骨)に専用の針を刺して注射器で骨髄を少量吸引します。痛みを和らげるためにあらかじめ皮膚と骨の表面に麻酔を行います。

白血病の治療

急性白血病

治療の目標は、診断時に1兆個といわれる白血病細胞を根絶することです。その第一段階として「完全寛解※2」と呼ばれる状態を目指します。白血病細胞は骨髄から血液中に流れ全身に広がるため、手術で取り除くことはできません。そのためいくつかの抗がん剤を組み合わせた化学療法を点滴で行いますが、骨髄性とリンパ性では使う薬剤や投与期間が異なります。

例えば急性骨髄性白血病と診断されたら、白血病細胞に効果の高い抗がん剤を2種類組み合わせた「寛解導入療法」を行います。7日間の治療を終えると白血病細胞は速やかに破壊され、骨髄は一時空っぽな状態になります。治療開始4~5週後には正常な造血が回復し、骨髄穿刺検査を行って完全寛解かどうかを確認します。但しこの状態でも、体内にはまだ10億個もの白血病細胞が潜んでいます。これを限りなくゼロに近づけるために、間をあけずに地固め療法を3-4回行います。急性白血病は入院治療が必要で(治療の合間に外泊や短期退院は可能)、治療期間は半年弱かかります。再発しやすいタイプの白血病では引き続いて造血幹細胞(骨髄移植や末梢血管細胞移植、臍帯血移植)を行うことがあります。

また急性骨髄球性白血病には、分化誘導療法という効果的な治療法があります。ビタミンAの誘導体であるATRA(all-trans retinoic acid)が、前骨髄球の段階で分化が停止し増殖した白血病細胞を再び分化し死滅させる能力があることがわかり、抗がん剤との併用で治療成績が劇的に改善しました。同様な効果を持つ亜ヒ酸も再発時に用いられ効果をあげています。

※2骨髄の白血病細胞が5%以下となり、その他の検査でも白血病細胞が確認できない状態。急性骨髄性白血病の完全寛解率は70-80%に及び、完全寛解の状態が5年以上続けば治癒と考えます(白血病のタイプ、年齢や合併症の有無により異なります)。

慢性白血病

慢性骨髄性白血病は、病因である異常な染色体をターゲットとした大変有効な分子標的薬剤(チロシンキナーゼ阻害薬)が開発され、外来で治療することが可能です。薬を飲み続けることが重要ですが、一部の患者さんでは薬を中止しても効果が持続すると報告され、治癒への期待が高まっています。慢性リンパ性白血病は、初期の段階では治療が必要でないことがほとんどのため、外来で慎重に経過を観察します。貧血や血小板の減少、リンパ節や肝臓・脾臓が腫れてきたときに治療(抗がん剤や分子標的薬剤)を開始します。

おわりに

白血病は原因が分かっていないため、残念ながら特別な予防法はありません。普段から健康に気を配って生活することが、白血病だけでなくがんを発生させない最善の予防策です。前述した症状や採血の異常を指摘されたら、当院もしくはお近くの病院の血液内科にご相談ください。

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