当院放射線科では、放射線治療で直線加速器(ライナック)による外照射(体の外から放射線を当てる治療)を行っています。
放射線治療は高エネルギーの放射線を腫瘍に当てることで、腫瘍細胞を死滅させる治療法です。
治療の効果をできるだけ高め、周辺の正常組織に対する放射線の影響をできるだけ少なくするためには、狙った場所に正確に放射線を当てることが重要です。
現在の放射線治療では、IGRT(画像誘導放射線治療)という方法で位置合わせをしています。
位置合わせの方法は次のとおりです。
患者さんが治療用寝台の上に寝た状態で、簡易的なCT画像を撮影し、治療計画時に撮影したCT画像と重ね合わせます。そして、骨や腫瘍等を基準に画像のズレを縦・横・高さの3方向についてミリ単位で調整し、そのズレの分だけ寝台を移動させ位置を合わせます。
肺や肝臓などの呼吸で動く場所を左右する時、位置が動いたからといって放射線を当てる場所から外れてしまってはいけません。
そういう場合には3方向の画像+動きを含めた4D-CTを撮影します。
動いている画像を見ながら位置合わせをすることで、息を吸うときでも吐くときでも放射線を当てる範囲から目的の腫瘍が外れないようにすることができます。
放射線治療計画をする時には、目的の腫瘍から外れないように、腫瘍の大きさよりも少し大きめ(余白・マージン)に放射線を当てるように計画します。
正確な位置合わせをすることで、このマージンをより小さくし、周囲の正常組織に対する影響を減らすことができます。
実際に、位置合わせしている画像を見てみましょう。
位置合わせ前の画像です。
位置合わせ後の画像です。ずれが修正されたことがわかります。
照合したい画像をアップにすると、CBCTと計画CTの位置がずれていることがわかります。
それぞれ2秒ほどの短い動画ですが、位置合わせの様子が分かります。
各動画の下にある▷をクリックしてください。