肝嚢胞に対して行う手術です。基本的に肝嚢胞に関しては良性腫瘍であり、手術対象にはなりませんが、巨大化した場合に腹痛や嘔吐症状を伴うことがあります。その場合には、嚢胞を一部開放する手術を行うことがあります。
当院では腹腔鏡を用いて、一部の嚢胞を開き、中の液体を取り除きます。さらには再発を防ぐように、嚢胞を一部切除し、嚢胞内を焼灼してきています。術後は早期に食事開始することができ、1週間以内の入院となることが多いです。
肝臓の手術に関しては、肝臓を切除する大きさによって分類されます。小さい範囲から、腫瘍核出術、肝部分切除術、肝亜区域切除術、肝区域切除術、肝葉切除術となります。
当院では、手術方法は適応によって、開腹手術・腹腔鏡下用手補助手術・完全腹腔鏡下手術に分けて行っております。安全を優先しての術式選択となりますが、腹腔鏡を用いることで、患者さんへの侵襲は少なくなると考えております。当院では2018年から2022年の5年間で72例の肝切除を行っています。その内訳は表1をご確認ください。
手術件数 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 |
---|---|---|---|---|---|
肝切除術 | 10
|
15
|
11
|
16 | 20 |
また肝切除を行う前に、画像検査で肝切除量測定、肝機能評価を行うことで、安全に肝切除が可能かどうかを判断します。このままでは肝切除が安全に行えないと判断した場合には、PTPE(Percutaneous Transhepatic Portal vein Embolization)と呼ばれるカテーテル治療を行うことで、肝切除後の予機能を高めてからの手術を行っております。
手術後の経過は、術式や肝切除量によって大きく変わりますが、多くの肝切除術において消化管(胃や腸などの食事の通り道)に関しては、処置を加えることがありません。そのため、比較的術後早期から食事開始が可能となります。また現在は術後の早期離床が推奨されていることもあるため、術後翌日にはできるだけ歩いてもらっています。その後大きな合併症を認めることがなければ、1週間から2週間程度での退院が可能となることが多いです。