ここがページの先頭です。
ページ内移動メニュー
ヘッダーメニューへ移動します
共通メニューへ移動します
現在の場所へ移動します
本文へ移動します
サイドメニューへ移動します
現在の場所
ホーム  診療科のご案内  神経内科  てんかん
ここから本文です。

てんかん

てんかんとは

 てんかんとは、脳細胞の異常な電気的興奮が何らかの原因で起こり、それにより様々な症状が、繰り返し起こる疾患です。てんかん、というと、「けいれん」を考える方がほとんどだと思いますが、「てんかん」と「けいれん」は同じではありません。「てんかん」の中には「けいれん」を起こさないものもあります。逆に、「けいれん」がすべて「てんかん」ではありません。脳細胞の異常な電気的活動が、繰り返し(慢性に)発生していれば「てんかん」です。つまり、1回のけいれん発作だけでは「てんかん」とは言いません。
 てんかんの有病率はどの国でもおよそ100人に1人とされており、まれではありません。
 てんかんは子供の病気と考えている方が多いですが、次表のように、発症のピークは小児と高齢者に多いことが知られています。特に高齢者のてんかんは、けいれんを伴わず、意識が遠くなり、相手の言っていることがわからなくなるなど認知症と間違われることがあるので注意が必要です。

年齢別発症率

てんかんの分類

 てんかんには一見すると複雑な分類があります。これらの分類を行うのは、治療方法や予後が異なってくるからです。まず、てんかんが、脳腫瘍や脳出血など何らかの目に見えるような解剖学的異常や、採血検査での異常を伴うもの(症候性てんかん)か、そういった目に見える明らかな異常がないのか(特発性てんかん)を区別します。さらに、てんかん発作から、脳全体が異常な脳の電気活動に巻き込まれる「全般発作」、脳の一部が発作の焦点となり、その部分だけの症状が出る「部分発作(焦点発作)」に区別します。一般的に特発性全般発作は薬がよく効く傾向があります。一方、症候性てんかんは薬が効きにくい傾向があります。

てんかんの4分法分類

てんかん発作時の対応

 てんかん発作が起こった時、周囲は何をすればよいのでしょうか。まず、周囲の方が落ち着いてください。てんかんと診断されている方のてんかん発作であれば、ほとんどの場合、時間が経てば回復します。慌てずに、患者の周りの危険物を取り除きます。また、襟元を緩め呼吸がしやすいようにします。発作中に口の中にものを入れてはいけません。また、発作中に抗てんかん薬を飲ませてはいけません。発作が止まったら、横向きに寝かせて、口の中の分泌物で窒息しないようにします。発作後、意識が朦朧として、夢遊病のようになることがりますが、無理に押さえつけると強い抵抗にあうことがありますので、そっと付き添う程度にしましょう。

てんかんの診断

 てんかんの診断は、発作の様子を詳しく知ることから始まります。てんかん発作の際は、本人の意識がないことも多いので、周囲の人の詳細な観察が必要です。本人の同意が前もって得られているなら、携帯電話の動画撮影等で発作の様子を記録しておくと診断の役に立ちます。実際、脳波検査がなかなかできないような国では、携帯電話を使用したてんかんの管理が、多くの子供たちのてんかん診療に役立っているそうです。また、そもそもてんかん発作なのか、てんかんではない(=偽発作)のかの判断にも発作の状況を知ることは大事です。観察のポイントは、はじまりの症状は何だったか、発作前に異常はなかったか(前兆はあったか)、発作中意識はあったか、目は開いていたか、左右どちらを向いていたか、手足の突っ張りはあったか(あったなら左右どちらか)、失禁はあったか、外傷はあったか、発作は何分くらい続いたか、発作後意識がもうろうとしていたか、などです。
 脳の電気活動を記録する脳波検査はてんかん診療において、もっとも大事な検査です。脳細胞の異常な電気活動があると、脳波に異常がみられるので、診断に役立ちます。しかし、脳波検査はあまり感度が高くないので、繰り返し検査が必要になることもあります。一方、脳波異常があるからと言って、必ずしもてんかんがあるわけではありません。あくまで脳波検査は診断の補助にすぎません。また、脳の器質的な異常の有無を確認するため、頭部CT、MRI検査は必要です。

生活上の注意と治療

 てんかん患者さんは、基本的な生活上の注意として睡眠をよくとることと、アルコールや過労を避けることが大事です。その上でてんかんの治療は、抗てんかん薬の内服が基本となります。およそ半分の方が、最初の抗てんかん薬で発作がコントロールできます。1剤でコントロールができない場合は、2剤目を追加したり、別の薬に変えたりします。多剤併用を行っても難治な場合は、外科手術を検討します。てんかんの原因となっている脳病変がある場合は、その部位を取り除くことでてんかんがコントロールできる場合があります。また、電極を埋め込み、てんかん発作をコントロールする迷走神経刺激療法や、発作を脳全体に波及させないために脳梁離断を行うこともあります。
 てんかんがあっても妊娠・出産は基本的に問題ありません。ただし胎児に悪影響を及ぼす可能性のある抗てんかん薬がありますので、妊娠の前から薬の変更など必ず事前に準備が必要です。主治医と前もって話し合っておきましょう。
 てんかんと診断された患者さんで抗てんかん薬を内服していても、一定期間発作がなく、医師の診断があれば運転免許を取得できるとされています。しかしながら、抗てんかん薬の多くは、車の運転を避けるよう但し書きがあるのと、発作のリスクはゼロではないことに注意が必要です。運転免許が取得できたとしても、睡眠不足や過労など、発作の危険が高いときには車を運転してはいけません。
 治療の期間は人によってさまざまです。一般的には2年間発作がなく、脳波所見も良好であれば抗てんかん薬の減量、中止を検討しますが、成人発症のてんかんなど、難治と考えられるてんかんでは、抗てんかん薬を継続して飲み続ける必要があります。
 てんかんと診断されると様々な公的補助が受けられますので、役所や病院の医療相談室などで問合せてください。

てんかんがある人が利用できる福祉制度
自立支援医療制度
 てんかんと診断され、治療を受けている方が利用できます。病院やクリニックでの医療費の一部が補助されます。
精神障害者保健福祉手帳
 てんかんと診断されて6ヶ月以上経過しており、日常生活や社会生活に困難がある方は利用できる可能性があります。公共料金の割引や税制の優遇措置など、患者さんの自立や社会参加を支援する様々なサービスが受けられます。症状の重さや自治体によって受けられるサービスが異なります。
障害年金
 てんかんと診断されてから1年6ヶ月以上経過しており、発作がコントロールされておらず、日常生活や社会生活に一定以上の困難がある方で、診断前に年金を納付している方が利用できる可能性があります。障害の重さに応じて、年金が支給されます。

神経内科トップへ

ここまで本文です。
ここからサイドメニューです。 ここまでサイドメニューです。
^このページの一番上へ
【画像】印刷用のフッター画像です