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神経サルコイドーシス

神経サルコイドーシスの概要

 サルコイドーシスは典型的には若年女性に多く発症し、肺、眼、皮膚、関節など、体のいろいろな組織に特殊な炎症をきたす疾患です。比較的稀な疾患で人口1万人当たり1~2人程度の頻度で発症するとされています。神経組織を障害するサルコイドーシスを神経サルコイドーシスといい、サルコイドーシスの5~7%とされています。
 神経サルコイドーシスは脳や脊髄(中枢神経)に障害を来す場合やその中枢神経から体中に伸びている神経(末梢神経)が障害される場合などがあり、障害されている部位により症状は様々です。

サルコイドーシスの原因

 サルコイドーシスでははっきりとした原因が分かっていませんが、環境や遺伝を背景に免疫異常を来すことが基本的な原因と考えられています。これによりマクロファージやリンパ球と呼ばれる免疫細胞が異常に活動し、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫という腫瘤を形成、これが肺、眼、皮膚、心臓、筋、神経などのあらゆる臓器に生じ、様々な症状を呈すると考えられます。

神経サルコイドーシスの治療

 神経サルコイドーシスでは、肉芽腫がどこに発生するかによって症状が異なります。中枢神経に発生した場合、脳炎(脳実質に炎症が起きた状態)、水頭症(髄液の流れが悪くなった状態)、脳梗塞(脳の血管が詰まった状態)などの原因となり、意識がぼんやりする(意識障害)、性格が変わる(人格変化)、手足が動かしづらい(運動麻痺)、けいれん、頭痛などの症状を認めます。また、末梢神経病変は手足の神経よりも顔面神経に発生することが多く、顔が動きづらくなる(顔面神経麻痺)症状をきたし、しばしば両側の顔面神経が障害されます。
 神経サルコイドーシスでは神経の症状のみの場合もありますが、肺、眼、皮膚などの症状を同時に認めることの方が一般的です。代表的な症状としては以下のようなものがあります。

その他の代表的な症状

神経サルコイドーシスの診断

 症状が神経サルコイドーシスによるものか、髄液検査や画像検査で神経サルコイドーシスに特徴的な所見がないか確認します。神経症状のみのサルコイドーシスは比較的稀であるため、全身のサルコイドーシスの症状がないか、血液検査、画像診断などの検査を行います。また、各種検査で腫瘍や結核、真菌感染症といった類似の症状を生じる他の疾患を除外することが重要です。確定診断のためには病変部を生検し、非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認する必要があります。近年PET/CTが全身の病変部位特定に非常に有用であることが分かっています。
 以下はサルコイドーシスを疑った場合に、行われる可能性がある検査です。

血液検査

 アンジオテンシン変換酵素(ACE)、リゾチーム、可溶性IL-2受容体(sIL-2R)の上昇を確認します。

髄液検査

 神経サルコイドーシスでは髄液を採取する検査(腰椎穿刺)を行い、髄液中の細胞数、蛋白、ACE、sIL-2R、リンパ球比率、CD4/CD8比の上昇を確認します。

画像診断

  1. 胸部レントゲン、CT: 両側肺門縦隔リンパ節腫脹と呼ばれるサルコイドーシスに特徴的な所見がないかを確認します。
  2. ガリウムシンチグラフィ、FDG-PET/CT: 病変の分布や活動性を確認できます。
    下の画像2枚では胸部造影CTでは赤丸で囲った左肺門部リンパ節腫脹を認めます。また同じ場所にPET/CTにおいても異常集積を認めます。

  3. 胸部造影CTとPET/CT画像
    胸部造影CT            PET/CT

  4. 頭部・脊髄造影MRI: 神経サルコイドーシスは脳表面の軟膜と呼ばれる部位に肉芽腫病変を作ることがあり、その場合は頭部MRIにて軟膜の肥厚などが確認できます。また、神経サルコイドーシスによって起きる可能性がある水頭症は頭部CTで確認できます。
    下の頭部MRI画像にて、赤丸で囲った部分(右頭頂葉)の軟膜肥厚を認めます。

頭部MRI FLAIR
頭部MRI FLAIR

気管支鏡検査

 胃カメラのようなカメラを使用し気管支や肺を直接見る検査です。気管支肺胞洗浄液(気管支や肺の内部を水でゆすいだもの)でリンパ球比率上昇またはCD4/CD8比の上昇を確認します。また、病変部を直接確認できれば生検を行い、組織を調べます。

神経サルコイドーシスの治療

 神経サルコイドーシスの治療は副腎皮質ホルモン(ステロイド薬)が基本となります。しばしば後遺症を残すため、診断し次第可及的速やかに治療を開始します。高用量のステロイドから開始し、症状を見ながら徐々に減量します。重症例や急激な経過をたどる場合はステロイドパルス療法(短期間で大量のステロイド薬を点滴で使用)を行い、その後内服薬に切り替える場合もあります。また、ステロイド療法で効果が不十分な場合や中等度・高度障害例では、その他の免疫抑制薬を併用する場合があります。

神経サルコイドーシスの社会的支援

 厚生労働省の特定疾患(難病)に指定されており、重症度が高い場合には、公費から医療費補助を受けることができます。ステロイドなどの全身治療を受けている場合には多くが医療費補助の対象になります。

終わりに

 当院では神経内科・眼科・脳神経外科・呼吸器内科・皮膚科・循環器内科といった治療に関わる各診療科と特定疾患制度についてご案内するスタッフで協力しあい、患者さんの生活環境や社会的背景を考慮しつつ、治療に当たらせていただいております。お気軽にご相談ください。

参考文献

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