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マシャド・ジョセフ病(MJD/SCA3)

マシャド・ジョセフ病(MJD/SCA3)とは

 マシャド・ジョセフ病は優性遺伝形式をとる脊髄小脳変性症の一種です。優性遺伝形式は、発症者の子供が50%の確率で遺伝子変異を受け継ぐ遺伝形式です。脊髄小脳変性症は、主に小脳の神経細胞の変性による病気で、約3割が遺伝性とされています。この遺伝性の脊髄小脳変性症の中でも日本で最も多いものがマシャド・ジョセフ病で、約1/4を占めます。
 元々は1970年代にポルトガル領アゾレス諸島から北米に移民した子孫に見出されましたが、その後世界各地に家系が存在することが明らかになりました。日本では東日本に多く見られます。

マシャド・ジョセフ病の特徴

症状

 発症年齢や症状の特徴から、1~4型に分類されています。1型は若年(20代)で発症し、足が突っ張ってしまう「痙性」や、全身や身体の一部が捻じれて硬直してしまう「ジストニア」などの症状が目立ちます。2型は成年(20~40代)で発症し、1型と同じ「痙性」に加えて、歩行時にふらつく、手がうまく使えない、口や舌がもつれて話しづらいなどの小脳の症状である「運動失調症状」や、眼が自分の意志と関係なく揺れ動いてしまう「眼振」などの症状をきたします。3型は高齢(40代~)発症で、運動失調症状に加えて、筋肉の萎縮やこむら返りなどの末梢神経障害による症状がみられます。4型は非常に稀であり、パーキンソン病のような症状(動作緩慢、歩行障害など)をきたします。
 その他にも顔面の筋肉のピクつき(繊維束性萎縮)や、「びっくり眼」と呼ばれる見開いた目の症状が特徴的とされていましたが、全ての方にみられるわけではありません。

原因遺伝子

 1994年に日本の研究チームにより、原因遺伝子であるATXN3遺伝子が同定されました。マシャド・ジョセフ病では、この遺伝子のCAGリピートと呼ばれる配列が、正常の2~3倍の長さに伸長しています。このような特徴を持つ病気をポリグルタミン病(またはCAGリピート病)と呼びます。
 ポリグルタミン病では、世代を経るごとに発症年齢が若年化し、重症化する表現促進現象が認められます。特に父方から遺伝する場合に強く認める傾向があります。
 CAGリピートの伸長の程度と症状には相関がみられ、マシャド・ジョセフ病では1型で最も長く(=発症が早い)、3型で短い(=発症が遅い)と言われています。正常のリピート数の14~44に対して、各病型の平均リピート数は1型で80、2型で76、3型で73であったという報告があり、目安になります。

マシャド・ジョセフ病の診断

 症状や身体観察の他に、同じような症状のあるご家族・ご親戚がいらっしゃるか(家族歴)を確認させていただくことがとても重要です。頭部MRIでは、第四脳室の拡大が最もよくみられる所見で、小脳や脳幹の萎縮がみられることもあります。
 確実な診断のためには遺伝子検査が必要となります。ただし、遺伝子検査は保険適用になっていないので、一部実費負担が必要となる場合があります。もしも陽性と診断された場合、次の世代へ遺伝する可能性があるため、医師やカウンセラーが十分に説明し、詳細をよくご理解いただけるよう、ご相談させていただいております。

マシャド・ジョセフ病の治療・対処法

 病気の進行を止める根本的な治療薬は、残念ながら今のところまだありませんが、研究が進み、有効性のある根本的治療薬が開発されることが期待されています。
 現時点では、お困りになっている症状をやわらげる対症療法が広く用いられています。運動失調症状に対して、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)製剤のプロチレリン酒石酸塩(注射薬)、TRH誘導体であるタルチレリン水和物(内服薬)が使われ、進行を遅らせることはできませんが、症状を緩和できる場合があります。その他に症状によってはパーキンソン病の治療薬であるレボドパを用いることもあります。
 日常生活では、転倒に十分にご注意いただくことが重要です。ご自宅の廊下・お風呂・トイレなど、頻繁に移動する場所には、手すりを設置するなど、転倒のリスクを少なくすることが大事です。また、飲みこむ機能が障害されてしまう場合があります(嚥下機能障害)が、食事を細かくきざむ、とろみをつけるなど、飲みこみやすい形態にすること、口腔内のケアをすることが重要です。もしも食事の際のむせこみに気がついたら、嚥下機能の検査を早めにお受けになることをおすすめいたします。
 運動失調などの症状をやらわげ、身体機能の低下を防ぐために、薬物療法と並行してリハビリテーションを行うことも重要です。一定期間、バランス訓練、歩行訓練、手の細かな動作の訓練、言語訓練を集中的に行うことで、比較的長期間に渡り効果が持続することが知られています。当院でも3週間程度の検査・リハビリテーション入院を定期的に行い、病状を把握しつつ少しでも日常生活動作が改善できるよう努力しています。その際にプロチレリン酒石酸塩(注射薬)の投与を行い、効果がある方には次回以降も継続するようにしています。

 脊髄小脳変性症は、厚生労働省の特定疾患(神経難病)に指定されており、マシャド・ジョセフ病でも治療費の助成を受けることができます。介護保険のご利用とあわせて、適切な療養環境を整えられるよう、ご支援いたします。

MRI画像 小脳と脳幹部の萎縮がめだちます
図1 MRI画像 図2 MRI画像

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