ここがページの先頭です。
ページ内移動メニュー
ヘッダーメニューへ移動します
共通メニューへ移動します
現在の場所へ移動します
本文へ移動します
サイドメニューへ移動します
現在の場所
ホーム  診療科のご案内  小児科  熱中症と夏カゼ
ここから本文です。

熱中症と夏カゼ

はじめに

 寒い日があったり、急に暑くなったりと体調を崩しやすい梅雨から夏にかけて。この時期に小児が気をつけなければいけない、熱中症と夏カゼについて解説します。

熱中症について

熱中症とは

 熱中症とは、体の中の熱の産生と熱の放出のバランスが崩れて高体温になり、体の不具合を生じた状態です。

 人は暑くなると、自律神経の働きで皮膚の血管が拡張し、体の表面の血流を多くして熱を放出し、体温を下げます。また、汗をかき、その汗が蒸発することにより熱を奪い体温を下げます。このため気温や湿度が高いと熱の放出がうまくいかず、高体温になりやすくなります。また、大量に汗をかくことにより、水分が失われるとともに汗に含まれるミネラル(特に塩分)も失われ、脱水症状がおきたり、体の中の塩分が低下したりします。

 小児や幼児では、乾癬をはじめとした体温調節機構が十分に発達しておらず、熱中症のリスクは成人に比較し高くなります。小児は体重に比較し体表面積が大きい特徴を持っています。したがって、体温が上昇すると、小児では皮膚への血流量を著しく増加させ、体表面より熱を放出し、未発達な汗腺機能を補います。このため気温が皮膚温より高い場合は、相対的に大きい体表面が反対に熱を獲得し、体温の上昇を招きます。

熱中症の症状

 熱中症を発症すると、大量の汗をかくとともに、熱失神(めまいや立ちくらみ)や熱けいれん(筋肉痛や筋の痙攣、こむら返り)を起こします。さらに症状が進むと、頭痛、気分不快、吐き気、嘔吐、倦怠感というような症状が出ます。重症化すると高体温、意識障害、全身のけいれんが出現し、死に至ることもあるのです。

熱中症の予防

 熱中症にならないためには、まずは暑さを避けることなのです。日差しが強く、暑い日には外出は極力避けましょう。また外出する時は日陰を利用したり、日傘や帽子を利用し、長時間炎天下にいることは避けましょう。室内においても、ブラインドや簾を垂らしたりして、直射日光を防ぎ、風通しを良くしたり、エアコンや扇風機を活用し部屋の気温や湿度の低下を図ることが大切です。

 服装は吸汗・速乾素材の衣服等の通気性が良く、汗を吸って服の表面から蒸発させることができるものが適しています。太陽光の下では、熱を吸収して熱くなる黒色系の衣服は避け、逆に熱を反射する白色系のものがお勧めです。

 「水分を摂り過ぎると、汗をかき過ぎたり、体がバテてしまったりするので、かえって良くない」という考え方もありますが、それは誤りです。汗が皮膚の表面から蒸発し、体から気化熱を奪うことにより体温を下げるので、汗をしっかりかくことが必要です。ただし、汗の原料は血液中の水分やミネラルですから、体温調節のために、汗で失った水分やミネラルを補給する必要があります。このためには、こまめに水分を摂取するだけでは不十分です。多少の塩分が含まれるスポーツ飲料等が適しています。

熱中症の注意点

 熱中症は、暑くなり始めや、急に暑くなり寒暖の差が大きく体温調節が難しい時に起こしやすいのです。また、熱帯夜の翌日等の睡眠不足や疲れのたまっている時も要注意です。暑い日が続くと、体が暑さに慣れて暑さに強くなります。これを暑熱順化といいます。しかし、こうした暑さに対する体の適応は、気候の変化に遅れて起こります。したがって、日頃より運動やウオーキング等で、汗をかく習慣を身につけておけば、夏の暑さにも対抗しやすくなります。

 前述のように、小児は体温調節機構が未熟ですから、熱中症になりやすいのです。熱中症の起こりやすい環境にいる時は、こどもの様子をよく観察するとともに、日差しの強い屋外では帽子をかぶらせたり、周囲の環境に応じた適切な衣服を着せたり脱がせたりして、こまめに水分を摂らせてください。

熱中症が疑われたら

 もし熱中症が疑われたら、涼しいところに移動し、衣服をゆるめます。スポーツドリンクなどの水分をできるだけ飲ませます。氷嚢やアイスパック等を用いて、体を冷やします。筋肉の硬直やこむら返りといったような筋の痙攣がある時は、体の中の塩分の低下が疑われますので、スポーツドリンクや生理食塩水(舐めると少ししょっぱい程度の塩水でよい)を飲ませてください。意識がないあるいは朦朧としているような場合や嘔吐などがあり、水分の摂取ができない場合は、上記の処置を行うとともに救急車を呼んで、適切な治療を受けられる病院へ搬送することが大切です。

夏カゼについて

 夏になると気をつけなければならないことに、もうひとつ夏カゼがあります。夏場に流行するウイルス感染症を一般に夏カゼといいます。代表的なものに、ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱ともいわれます)があります。

ヘルパンギーナ

 急に高熱が出るとともに、口の中とのどの奥に赤っぽい水泡ができます。のどの痛みが強いため、水分がうまく取れず脱水症になったりすることもあります。

手足口病

 手のひらや足の裏、口の中に赤い米粒様の発疹や水泡ができます。痛みやかゆみはありませんが、口の中にできたものは痛い場合があります。高熱を出すことは少なく、全身状態は良いことが多いです。

咽頭結膜熱(プール熱)

 発熱、のどの痛み、結膜の充血を特徴とします。夏場にプールの水を介してやプールでのタオルの共有等で感染が拡大したことで、プール熱ともいわれています。もちろん、プール以外でも感染している人と接触したりすることで感染します。

夏カゼの予防

 夏カゼに有効な薬はなく、自分の免疫を高め、ウイルスに打ち勝つしかありません。それには安静を保ち、水分と栄養の補給をし、無理をしないことです。これに、咳、鼻水、嘔吐、下痢といったような症状があれば、医師の指示のもとに鎮咳剤や去痰剤、整腸剤といったものを、個々の症状に合わせて使用します。多くの場合このような対症療法により治っていきます。なかには水分摂取不良のため脱水症になったり、夏カゼウイルスによる髄膜炎や心筋炎を合併したりしてしまうこともあります。熱が長引いたり、嘔吐や下痢が止まらなくなったり、ぐったりして全身状態が悪化する場合は医師の診察を受けましょう。

 夏カゼの予防は「ウイルスに接触しないこと」と「ウイルスに接触しても感染・発症する前に、ウイルスを排除すること」です。ウイルスに接触しないためには、夏カゼが流行している場所に行かないことや感染者との接触を避けることです。また、マスクをしたり、感染者が触ったり使用したりしたものを共用しないことです。

 次に感染前にウイルスを排除するためには、うがいや手洗いをすること、カゼのひき始めのだるさを感じたときは、無理せず栄養のあるものを食べて、早く寝るということが大切です。気温の急激な変動も体調を崩す原因のひとつです。エアコンの設定はほどほどにして、逆に冷えを感じるようなら足や肩の保温を行いましょう。うがいや手洗いに心がけ、適度な運動、十分な睡眠と栄養を摂り、暑い夏を乗り切ってください。

小児科トップへ

専門外来のご案内へ

ここまで本文です。
ここからサイドメニューです。 ここまでサイドメニューです。
^このページの一番上へ
【画像】印刷用のフッター画像です