当科ではメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満症、脂質代謝異常症(高脂血症)などの代謝系疾患および甲状腺疾患、下垂体疾患、副腎疾患などの内分泌系疾患の診療に力を注いでいます。
また、当院では診療所やクリニックとの連携を積極的に推進しています。初診の患者さんは原則として医師の紹介状をお持ちいただいています。また、メタボリックシンドローム・肥満症の教育・治療入院に関しては、連携医の先生からであれば、直接、地域連携室にご連絡いただいての入院も可能です。
なお、内分泌代謝内科は、外来が大変混み合い待ち時間が長くなっています。そのため、外来診療や入院の後、治療方針が決まった場合、比較的軽症の患者さんにはご自宅近くまたは逓信病院と連携関係にある診療所やクリニックでの診療をお願いすることもございます。ご理解とご協力をお願いいたします(メディカルパスや2ドクター制をご利用いただき、逓信病院との絆は維持できるようにしています)。
*当院は臨床教育研修病院になっています。当科でも若手医師の卒後教育や専門医の育成などに積極的に取組んでいます。
各医師の外来診療予定日です。
入院患者数(人) | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|
1型糖尿病 | 18 | 11 | 17 |
2型糖尿病 | 144 | 134 | 147 |
その他の特定機序、疾患による糖尿病 | 2 | 1 | 7 |
糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群 | 6 | 12 | 9 |
糖尿病性腎症・ネフローゼ症候群 | 0 | 1 | 3 |
メタボリックシンドローム・肥満症 | 15 | 16 | 24 |
高度肥満 | 20 | 12 | 12 |
低血糖 | 1 | 3 | 5 |
間脳、下垂体疾患 | 7 | 3 | 6 |
甲状腺・副甲状腺疾患 | 2 | 4 | 3 |
副腎クリーゼ | 8 | 5 | 3 |
原発性アルドステロン症 | 7 | 12 | 15 |
その他の副腎疾患 | 6 | 6 | 4 |
その他 | 125 | 130 | 99 |
1.代謝系疾患 |
|
1) | 糖尿病(1型、2型、その他の型) |
---|---|
2) | メタボリックシンドローム・肥満症(高度肥満症を含む) |
3) | 脂質異常症(家族性高コレステロール血症などを含む) |
4) | 痛風・高尿酸血症 |
5) | その他 |
2.内分泌系疾患 |
|
1) | 下垂体疾患 |
2) | 甲状腺疾患 |
3) | 副甲状腺・カルシウム代謝異常症 |
4) | 副腎疾患 |
5) | その他 |
血糖、脂質、血圧などに関してお困りでしたらぜひ当科を受診してください。診察、検査により、的確な診断を行い、個々人に合った指導、治療を提供いたします。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積型肥満、血糖高値、脂質代謝異常、血圧高値の4つの病態が集積したもので、心血管系疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)を起こしやすい危険な病態です。内臓脂肪蓄積が多いか否かは、簡便にはウエスト周囲長(臍周りの腹囲)が、男性では85cm以上、女性では90cm以上であるかどうかによって判定されます(正確にはCTによる臍高の内臓脂肪面積が100㎠以上で確定)。当科では3日間の教育入院を行っています。医師、看護師による病態、治療の説明、栄養士による食事指導を行っています。病診連携パスを作成しており、地域連携室に診療所の先生から連絡いただければ、簡便に入院の手続きができます。
当科では、日本で初めて2008年1月より(毎週水曜日午前)本疾患に特化した外来診療を開設いたしました。
糖尿病と診断された方では、1型糖尿病、2型糖尿病、その他の特定の機序・疾患による糖尿病、妊娠糖尿病に正しく型分類し、それに応じた適切な診療を提供いたします。
外来での糖尿病教室での栄養指導、また9日間の教育入院を行っています。糖尿病は、眼、腎臓、神経に障害が起こるだけではなく、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の壊疽などが起こりやすいので、初期から適切な治療が必要です。当院の医師、栄養士、看護師、薬剤師、歯科衛生士からなるスタッフで、講義、血糖の自己測定などについて丁寧な指導を行います。また、持続血糖測定システム(CGM)や1型糖尿病患者さんに対する持続皮下インスリン注入療法(CSⅡ)も積極的に導入し、より良い血糖コントロールを目指しています。「合併症の軽度であったり、どうしても時間の取れない方」には3日間の短期・週末短期糖尿病教育入院を行っています(両者は若干内容が異なりますので、ご注意ください)。
*メタボ・肥満症診療で多くの実績を上げており、肥満症合併の糖尿病を特に得意としています。
毎週水曜日に開設しています。
糖尿病療養指導外来 肥満症は、糖尿病、脂質異常症、高血圧など多くの疾患を起こしやすく、減量治療が必要な疾患です。外来のダイエット教室で栄養・生活指導を行っています。速やかに減量しないと心・肺の合併症が悪化し危険と判断される高度肥満症(体格指数[BMI]≧35)の方では、3週間の入院治療を勧めています。食事、運動の基本を指導し、退院後も体重減少を続けられるよう意識を変革し、ライフスタイルの改善を目指します。
*内科的治療でかなり成果を上げていますが、必要な場合は外科的治療もお勧めしています。
脂質異常症は、動脈硬化を生じ易く、心筋梗塞、脳梗塞を起こします。外来での脂質異常症教室で栄養指導を行います。生活、栄養指導で改善が得られない場合は、薬物療法を併用し、LDLコレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)を適切値にするよう治療を行っています。
*家族性高コレステロール血症:遺伝的に著明な高LDLコレステロール血症をきたし、中年頃までには心筋梗塞などをきたす注意すべき疾患です。人口500当たり1人と頻度が高いのですが、診断されずに放置されることも少なくありません。適切な診断と積極的な薬物治療が必須な疾患です。
内分泌疾患では、副腎のホルモンの1つであるアルドステロンの過剰産生によっておこる高血圧であるアルドステロン症の診断、治療を積極的に行っています。これまで単なる高血圧と思われていた方が、アルドステロン症であることが分かり、治療の結果降圧薬を必要としなくなった方もおられます。
他にも、
などの診療を行っています。
*ほとんどの疾患でアイソトープ治療や外科治療も行っています。特殊なものに関しては関連施設にご紹介させていただくことがあります。
部長 勝田 秀紀 (かつた ひでのり) (卒業年:1997年) |
|
---|---|
医長 浅川 雅博 (あさかわ まさひろ) (卒業年:2011年) |
|
山﨑 佑子 (やまさき ゆうこ) (卒業年:2014年) |
日本糖尿病学会糖尿病専門医
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医 |
堀江 晃子 (ほりえ あきこ) (卒業年:2016年) |
日本糖尿病学会糖尿病専門医
日本内分泌学会内分泌代謝・糖尿病領域専門医 日本内科学会内科専門医 |
河﨑 瑛子 (かわさき あきこ) (卒業年:2019年) |
|
宮崎 滋 | 専門治療:糖尿病、肥満症、内分泌 |
---|---|
川村 光信 | 専門治療:糖尿病、肥満症、内分泌、脂質異常症、動脈硬化 |
東田 寿子 | 専門治療:糖尿病、妊娠糖尿病 |
小林 有紗 | 専門治療:糖尿病、内分泌、肥満症 |
(2024年4月1日現在)
疾患名 | パス名 | 入院日数 | 料金(3割負担) |
---|---|---|---|
糖尿病 | 糖尿病教育入院 | 9日 | 130,000円 |
病的肥満症 | メタボリックシンドローム | 3日 | 40,000円 |
川村部長や当院管理栄養士が携わった腎臓病の方のためのレシピ集です。
《同書序文(当院顧問宮崎滋)より》
この本は東京逓信病院で行っているメタボリックシンドローム教育入院の教育,指導内容,運営方法,心がまえ,理論的裏付けなどについて,担当するスタッフが簡潔にまとめたものである.現場に精通したスタッフの手作りの本であり,メタボリックシンドローム教育治療に携わる方々の参考になるのではないかと思う.
臨床研究名称 | 責任者名 |
---|---|
体組成と糖尿病合併症の関連を検討するデータベース研究(510KB) | 勝田 秀紀 |
2型糖尿病患者背景に応じた経口セマグルチド薬の有効性と 中止症例の背景因子についての検討(136KB) | 勝田 秀紀 |
2022年11月の日本内科学会関東支部関東地方会において
藤本医師(内科専攻医)が特に優秀な発表を行った功績として奨励賞を、
浅川医師が優れた指導を行った功績として指導医賞を受賞しました。
2022年9月、高木医師が優れた発表を行った功績として
日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会において会長賞を受賞しました。
2021年9月、研修医の仲医師が優れた発表を行った功績として
日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会において会長賞を受賞しました。
平成26年4月、川村前部長がPRC委員長として貢献している
ACP(米国内科学会)の日本支部が、
ACP本部より2013 Evergreen All-Star Awardを授与されました。
同じく、ACP本部より2013 Special Recogniton Awardを
授与されました。
平成22年10月、日本肥満学会より
「日本肥満学会学会賞」を受賞しました。
平成20年6月、日本肥満症治療学会より
チーム医療による「肥満症治療優秀賞」を
受賞しました。
糖尿病と感染症
内分泌・代謝内科 主任医長 勝田 秀紀
糖尿病食事指導における管理栄養士の役割
内分泌・代謝内科 主任医長 勝田 秀紀